空き家急増の真実: 放置・倒壊・限界マンション化を防げ

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532355210

作品紹介・あらすじ

人口減少が始まり、やがて世帯数も減少へ。高齢化、過疎、建物の老朽化など、多くの問題が絡み合い、地方や郊外では放置される空き家が急増、倒壊・放火・不審者の侵入など社会問題化している。解決には、新築抑制と中古住宅活用の同時推進が必要だ。

感想・レビュー・書評

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  •  空家が増えているというのはまぁそうでしょうという感じ。
    だけど、そう少なくない自治体で空家対策の条例を制定しているというのはちょっとした驚きだった。

     空家になった建物を半ば強制的に撤去するには大きく分けて二つ建築基準法と景観法とがある。だけど、どちらも使いづらいということで、各自治体で空家対策の条例を作っているらしい。
     住まいの質という点では、日本の戸建て住宅は欧米のそれとは面積においては遜色はないらしい。
     なので、ウサギ小屋と揶揄されるのは主に賃貸住宅の質の低さであって、借家人は手入れをしないからという理由で安っぽい仕上げ材を使ったり、長居されては困るからということで狭い部屋にしてみたりと、その質の低さは意図されたものだった。
     この借家の質の低さを、「つながり」だとか「ふれあい」などで飾りつけたのがシェア~といわれるものなのかもしれない。

     都心部の超高層マンションの売れ行きから、広さを犠牲にして都心部に住むことを選択する家庭が増えてきたということを考えると、居室面積で質を図るのは時代とフィットしなくなりつつあるのかもしれない。

  • 近年、空家が急増している事実を詳細かつ多大なデータで裏付け、その背景や具体的な対策を検証している。

    まず、空家が急増している背景には、少子化による住宅需要の減少とそれにも関わらず新築住宅が供給され続けていることがあり(税制上の優遇措置がそれを助長している)、このミスマッチが空家を急増させている主因だとする。

    そのうえで、この空家に対する対策として、いくつかのおもしろい提言をしている。

    そのひとつは、空家の撤去についての検証である。
    空家にも色々な形があるが、老朽化が著しく進行し、台風などにより近隣の家屋に物理的な損害を与えそうな空家などについて、自治体などが解体費用の助成を行っている事例があるという(足立区の空き家管理条例)。

    本来、このような場合、条例等に基づき自治体等が強制的に空家を解体できれば良いが、現行の法律との関係でいえば、これは私権の侵害ともいえ、問題であるだけでなく、解体費用の負担の問題もあり、うまくいっていないのが実情のようである。

    一方、海外では自治体が一定の手続きの後、強制的に空家を解体し、かつその費用を所有者に請求し、その支払いがない場合、その土地が自治体の所有になるという制度があるようである(米国オハイオ州のヤングスタウン市)。

    これは非常に合理的なシステムだと思うので、日本でも導入を検討してはどうかと思った。

    • lacuoさん
      この問題は、日本も今すぐに具体的な対策をたてるべきですよね。ヤングスタウン市の制度は合理的。
      この問題は、日本も今すぐに具体的な対策をたてるべきですよね。ヤングスタウン市の制度は合理的。
      2015/04/18
    • 1492さん
      コメントいただき、ありがとうございます。
      日本(東京)でも足立区など空き家解消に向けた行政的な取り組みが始まっていますね。
      また、先日『...
      コメントいただき、ありがとうございます。
      日本(東京)でも足立区など空き家解消に向けた行政的な取り組みが始まっていますね。
      また、先日『カンブリア宮殿』で東京R不動産という会社が「空き家は宝」と言われていましたが、このように空き家をビジネスにつなげようというポジティブな視点も必要と感じました。
      2015/04/20
  • 社会

  • 主に2008年のデータや取り組みをもとに考察が進むが、ここ10年で不動産環境も大きく変わった。人口動態は変わらないので、空き家問題が深刻なのは同じだが、対策や取り組みに変化はあったのだろうか。

  • 空き家対策ビジネスの研究用に読んだ1冊。空き家法施行前の状況だが、問題点とその裏付けとなるデータも豊富で非常にわかりやすい。

  • 少子高齢化、都市への人口流動を背景として、空き家の増加が問題となっている。

    問題への対処として、外部不経済をもたらすほどの空き家の除却と、中古住宅市場の活性化が肝要である。

    また、人口動態を見ると、地域的には大幅な人口流出が予見され消滅の危機にあるような自治体も存在するが、そうした地域では当然、その帰結として空き家も急増する。そこに対して空き家対策を行うことは、無理がある以上、一定の都市部に集中すると割り切って対策を行うことが懸命といえる。

  • 空き家対策の現状・対策が載った本。

    対策として空き家撤去にはアメとムチが必要と提言。
    具体的事例としては下記。海外も含めての事例はこの本の特長。

    そもそも人の家を撤去するのに市民の税金を使うのも如何なものかとも思われる。足立区は使い分けを実施している。
    空き家バンクは自治体によってさがある。成功事例は島根県江津市と雲南市。きめ細かなワンストップサービス。
    隣地と敷地を合わせた活用パターン。北九州市。
    欧米と都市縮小。
    ヤングスタウン。勧告し解体費用は所有者に請求。支払いがない場合、市の所有。固定資産税二年滞納。ランドバンク所有。非情な対応。
    ライプチヒ。ライネフェルデ。このような地域でも事例あり。
    再販ビジネス。
    アライエは東急が数年前より運用。

    空き家の現状と対策に関しての本。
    様々な事例が載っている。コンバーセーション

  • 空き家を持っていて活用したい、という人向けの本ではなく、行政や不動産業向けの本だと思われる。
    空き家の実態、現状、展望がデータと実例とともに載せられているので、この本を読んで具体的にどうするか、ということよりも資料として使用するのに適している本。

  • 2050年には世帯数は2割減少する。新築促進政策から、中古住宅の活用政策に切り替えるべき。

    人口減少の論理的帰結。

  • 空き家の建築時期
    持ち家→1970年代
    借家→1970-80年代

    持ち家空き家の大半は未利用でほったらかし。

    23区内で空き家が多いのは密集地域と高齢地域

    神奈川郊外で空き家が多いのは交通不便地域

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著者プロフィール

富士通総研経済研究所上席主任研究員

「2016年 『空き家対策の実務』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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