カモメに飛ぶことを教えた猫 (白水Uブックス)

  • 白水社
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感想 : 68
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  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560071519

作品紹介・あらすじ

銀色のつばさのカモメ、ケンガーは、ハンブルクのとあるバルコニーに墜落する。そこには一匹の黒い猫がいた。名前はゾルバ。瀕死のカメモは、これから産み落とす卵をこの猫に託すことになる。が、その前に三つの厳粛な誓いをゾルバに立てさせるのだった。

感想・レビュー・書評

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  • 泣かずに読めない。冒頭から泣き始め、最後のページでまた泣いた。ゾルバが野良猫二匹を脅す時のセリフが良かった。。挿絵もかわいい。あっという間に読み終えた。

  • 「猫」とは身近でミステリアスな生き物

    「猫」を擬人化した物語は、世界中に多く存在する。
    日本でもあの超有名な「吾輩猫」がある。

    この「カモメに飛ぶことを教えた猫」は、劇団四季でミュージカル公演されている。
    作者はチリ生まれ、ドイツやスペインで活動も2020年4月にコロナウイルスがもとで亡くなった。

    環境問題やマイノリティの問題を時折チクリとさせながらの170ページほどの中編の寓話は、シンプルな展開で「大切な」ことを感じさせる「良い」作品でした。

    黒猫ゾルバと「大佐」「秘書」「博士」「向かい風」の名を持つ「誇り高き港の猫」たちが、死んでいく親カモメから託されたカモメの子を飛べるように奮闘する。
    最後に飛ぶことができたとき「足りなかったのは飛びたいという強い意志」だった。

    読後の感動としては月並みだけど、何だかホッとするお話でした。

  • とっても面白かった!
    タイトル通り、「カモメに飛ぶことを教えた猫」の話。

    原油に呑まれて死んでいったカモメとの約束を守り、卵を食べずにヒナをかえし、そして飛ぶことを教える。どうやって?と思った方は、ぜひ読んでみて。

    猫たちが、百科事典を使っていたり、とても真面目だったり、環境問題を訴える場面もあり、切り口によつていろんな紹介ができそう、と思った。

    個人的にはラストがすごくよかった。
    最後までぜひ読んで欲しい。

  • 人情ならぬ猫情にホロリ。
    男気溢れる黒猫ゾルバが時に可笑しくたまらなく可愛い。
    良い話、楽しい話、だけでは終わらないメッセージをキッチリと盛り込み、
    丁度良い塩梅のテンションも◎なのでした。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「たまらなく可愛い。」
      本当に良いキャラでした。。。
      若い人に飛ぶコトの意味を知って貰いたい!
      「たまらなく可愛い。」
      本当に良いキャラでした。。。
      若い人に飛ぶコトの意味を知って貰いたい!
      2013/02/20
    • naminecoさん
      >若い人に飛ぶコトの意味を知って貰いたい!
      そうだそうだ!笑
      >若い人に飛ぶコトの意味を知って貰いたい!
      そうだそうだ!笑
      2013/02/20
  • なんか久しぶりに読んだ。こんなだったっけ。でもよかった。

  • ほぼタイトルの猫に釣られ手に取ってみましたが、お昼休みのほんの30分前後で読み終わるほど感動と面白さがあって何度も再読してしまう。不器用そうに感じられるゾルバの愛情はじんと来ました。猫たちみんな心優しいですね。

  • 小規模な中編なのに、この躍動感はどうだろう。セプルベダは中編がほんとうに素敵だと思う。
    冒頭のカモメの飛行、モノローグは短いのにカモメの品のよさを十分に伝え、カモメが空を飛ぶまでの猫たちのやり取りは軽妙だが説得力があり、空へ飛びたした瞬間の行間の広がりは、ほんとうに素晴らしい。大人も子供もそれぞれが楽しめる中編。

  • 舞台はハンブルクの港町。
    太ったオスの黒猫・ゾルバが日向ぼっこをするバルコニーに、一羽のカモメが墜落してきました。
    原油にまみれ、瀕死の状態のカモメを、なんとか救いたいと思うゾルバ。
    カモメは親切なゾルバを信じ、3つの誓いを立てさせました。

    一、これから産む卵を食べないこと。
    一、ひなが孵るまで卵を温めること。
    一、ひなに飛ぶことを教えること。

    ゾルバは"港の猫の名誉にかけて"3つのことを約束します。
    カモメは安心したように、最後の力を振り絞り、1つの卵を産んで死にました。

    卵を託されたゾルバですが、どうしたらいいのかさっぱりわかりません。
    そこで、港町の猫の仲間たちに協力を求めます。

    この仲間たちもとってもユニーク。
    親分格の<大佐>、百科事典を読む猫<博士>、船乗り猫<向かい風>…などなど、個性的で絆の強い仲間たちが、カモメのひなを無事に育てて大空へ羽ばたかせるために、力を尽くします。

    自分と異なるものを認めて、心を通わせること。
    言葉で言うのは簡単だけれど、いざとなると難しいことです。
    猫とカモメの絆に託した著者のメッセージ、ぜひ子供から大人まで、多くの人に読んでもらいたいと思いました。

  • 柚月裕子さんのエッセイで紹介されていた本。
    人間による原油の海への垂れ流しの被害に遭って,傷つき力尽きて落下してしまったかもめが,落下地点に偶然いた猫に3つの約束を守ってくれるようにお願いするというもの。1つ目がこれから産み落とす卵を食べないこと,2つ目は雛が生まれるまで卵の面倒を見ること,3つ目は生まれてきた雛に飛ぶことを教えること。猫のゾルバは仲間たちの力を借りながら律儀に3つの約束を果たす。
    種族の違うものの間の愛情をテーマにした作品らしい。
    登場する動物たちの心理や会話が描かれるが特に擬人化しているわけではないようで人間のいるところでは人間の言葉を喋らないだけで動物たちは人間の言葉を扱えるというファンタジーっぽい設定のようだ。しかし一方で書物を読む猫がいたりやはり現実の猫ではないようでもある。
    すべて動物たちの知恵で解決するのかと思いきや,最後に人間の力を借りてしまうあたりが残念というか示唆的と感じた。
    あと,最初のかもめの要求する約束が若干理不尽というか,縁もゆかりもない猫にいきなり見返りもない約束をさせるのが無理があるようにも感じた。ゾルバが良い猫だったから良かったというだけなのではと。

  • 2023.07.02

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著者プロフィール

1949年、チリ北部のオバージェに生まれる。アナキストであった祖父
の影響をうけて若くして社会主義運動に参加(祖父の話は『パタゴニ
ア・エクスプレス』に詳しい)73年、アジェンデ社会主義政権を倒し
たピノチェト将軍による軍事クーデタの後逮捕され、南部テムーコの
刑務所に入れられる。二年半の服役の後、アムネスティの努力で釈放
される。80年からドイツのハンブルグに居を定め、そこでジャーナリ
スト・作家活動を始める。89年発表の『ラブ・ストーリーを読む老
人』や96年の『カモメに飛ぶことを教えた猫』がヨーロッパ諸国でベ
ストセラーになり、新しい世代のラテンアメリカの作家として注目を
集めている。

「1999年 『センチメンタルな殺し屋』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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