- Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560090220
感想・レビュー・書評
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心理描写がうまく、徐々に夢中になっていった。
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訳のせいなのか、それともアイルランド人と日本人に似ているところがあるのか、日本の女のコのお話のようなのだ。はっきり言えなくて、流されちゃうところなんかもね。
船酔いで吐いちゃうシーンなんか、生き生きとしてコミカルな印象。 -
丁寧な心理描写、引き込まれました。
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アイルランドからニューヨークのブルックリンへとやってきた主人公の少女、アイリーシュ。彼女が新大陸で働き、学び、恋をして……と書くと平凡な小説に感じられますが、とにかくこの主人公、いろいろと考えます。訳者あとがきやさまざまなレビューでも心理描写が秀逸と書いてありますが、秀逸と言うよりも、読んでいてイライラさせられっぱなしです。そんなこと無視すればいいじゃないか、ほっといたって構わないと言えるようなことを、グタグタ考えるのが好きなようです。考えて考えて、悩みに悩んで、迷いに迷って、結局もとのままとか、一歩を踏み出さないというシーンが目に付き、現代人の目からすると本当にイライラしてしまいます。ただ、後半、その主人公がアイルランドへ帰郷してからの流れは、古い伝統を残す田舎町ならではのしがらみ、母親や町の人のまとわりつくような関係性が、実に秀逸に描かれていると思います。そして、これだけまとわりついたしがらみをどうするのか、故郷にそのまま残るのか、それともニューヨークへ帰るのか、上に述べたように主人公はなかなか決められず、結論の先送りを続けています。しかし、最後の最後の展開、あっと言わせるような流れです。そして、その流れを作ったのがいかにも田舎の人間関係というところがまた冴えています。