- Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560092675
作品紹介・あらすじ
遺稿から発見された初期の重要作
ウド・ベルガーはウォーゲーム(戦争ゲーム)のドイツ・チャンピオン。恋人のインゲボルクと初めてのバカンスを共に過ごすため、カタルーニャの海岸地方を訪れた。ここで第二次世界大戦をモデルにしたゲーム〈第三帝国〉の新たな戦法についての記事を書こうとしている。
二人は近くのホテルに滞在中のドイツ人カップル、チャーリー(カール)とハンナと出会い、〈狼〉、〈子羊〉、〈火傷〉という地元の若者と知り合う。記事が捗らないまま日々が過ぎ、ある日、サーフィンの最中にチャーリーが行方不明になる。夏が終わりに近づくがチャーリーはいっこうに見つからず、ハンナ、そしてインゲボルクはドイツに帰国する。ウドはなおもホテルに留まり、ホテルのオーナー夫人、フラウ・エルゼに言い寄りながら、〈火傷〉を相手に〈第三帝国〉をプレイし続ける。ウド率いるドイツ軍の敗色が濃厚になるなか、現実を侵食しつつあるゲームの勝敗の行方は……。
1989年に書かれた本書は、作家の遺稿の中から発見され、2010年に刊行された。日記風の体裁や、現実と虚構の中で得体の知れない暴力や恐怖に追い詰められていく点で、後年の『野生の探偵たち』や『2666』の要素を先取りする初期の重要作。
感想・レビュー・書評
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傑作。
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文学
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この小説は雑だなぁ。
AH『第三帝国』を深く知っている者として読んでも漠然としている。というか、マップのヘクス番号言われたって、世界中で何人の人が分かると言うのだろうか…。
ボードゲームの進展が漠然とし過ぎて、ルールの説明は不要だと思うが、物語に全く入り込めない。せめて図は必要だと思いますがね。
まぁそれをするとボードゲームの展開が不自然すぎるのがばれるし、ドイツ人のチャンピオンしょぼくね?と言われるのは必至なのであえて雑に分からないようにしているのだとは思いますが、それならシミュレーション・ウォーゲームを伏線に使っちゃダメでしょう。そもそも設定が無理ということ。だいたいリア充のボードゲーマーなんてのにリアリティは…
訳もボードゲームから解離しすぎて笑うしかない。「駒溜まり」というのは「Force Pool」のことなのか?1980年代のGDWとAHのゲームが良く出てくるので(World in Flamesも)その時代にウォーゲームをプレイした人なら変な直訳からオリジナルのゲームを脳内変換できるかもね(「ブーツと鞍」とか。笑)。
いずれにしても凝った伏線を使用したのに、全く活かせていないのでもったいない。一部のマニアをくすってさせただけじゃないかな。 -
ウォーゲームのドイツチャンピオンのサマーバカンスが物語の設定。主人公は共にカタルーニャのバカンスを過ごした友人や恋人が去った後も寂しくなっていくその地に残りゲームに熱中する。
後半の現実から浮遊していく感じがとても良い。 -
恋人インゲボルグと避暑にやってきたウド.楽しいはずの休暇が,始めから暗い陰りを帯びている.「第三帝国」というウォーゲームもナチの匂いがして胡散臭いし,子供の頃の憧れのオーナー夫人フラウ・エルゼの不可解な行動やその夫の謎めいた言葉,知り合った旅のカップルチャーリーとハンナの破天荒さ,そして何より得体の知れない<火傷>等々が,底なしの暗闇の待ち受けている何かを予感させる.死を振りまきながら最後まで物事をはっきりさせずに,ウドの妄想か不本意な現実かを曖昧にして物語はある日,日常?に戻って終わっている.余韻を引きずる物語である.
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書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記は控えさせていただきます。
http://www.rockfield.net/wordpress/?p=7958