楊家将〈上〉

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569666587

感想・レビュー・書評

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  • 「北方水滸」で早々に命を散らすことになる青面獣楊志、そしてその養父の死を目の当たりにするあたりからかなり特異な光を放ち始め、挙句、続く「楊令伝」ではタイトル・ロールを演じることになる楊令。  そんな2人のルーツ(と言っても楊令は楊志の養子だから厳密な意味ではルーツとは言えないかもしれないけれど)ともいうべき宋建国の英雄・楊業とその一族の物語ということで、ついつい手を出してしまった1冊です。  全2巻のうち現段階ではまだ上巻なので話は始まったばかり・・・・・という感もなきにしもあらずですが、年代的にはこの後に続く水滸伝、楊令伝でも描かれた文官 vs. 武官の確執とか、多くの小国が建っては滅びていくその空気感みたいなものがじわ~っと漂ってくる物語だと思いました。

    さて、この楊業さん、現代の少子高齢化日本では想像できないほどの子沢山で7人の息子と2人の娘がいるそうな・・・・。  そしてこの男の子たちがそれぞれ「武家の男」として鍛え上げられているわけだけど、それぞれが少しずつ資質が異なり、戦の仕方や配下の兵との接し方も違うらしい。  そのあたりの書き分けみたいなものは「水滸伝」や「楊令伝」と比較するとちょっと粗いような気もするんだけど、これは上下2巻という冊数の少なさによる部分も大きいのかもしれません。



    KiKi にとって「水滸伝」や「楊令伝」が面白かったポイントに、テンポ・臨場感のある戦の描写というのももちろんあるんだけど、それ以上にそれ以外の部分(時に世論的には「中ダルミ」と捉えられがちだったみたいだけど)、特に心理描写や生活様式、生産活動やら経済活動といった周辺の描き込みの部分に魅せられたということがあったのでそういう面ではこの作品はちょっと物足りなさも感じないではありません。  武家の物語だから仕方ないのかもしれないけれど戦、戦、調練、戦という感じだし・・・・・・。

    でも、そんな不満をちょっぴり抱きつつも、結構楽しめちゃったのは敵側(≒ 遼側)の描写が緻密なうえ、恐らくこの楊家軍の最大の敵となるであろう「白き狼」こと遼の名将・耶律休哥という人物が何とも魅力的だったおかげかもしれません。  それに宋という国が文治主義の国であるのに対し、遼という国が古代ギリシャのスパルタそのものの軍国家であるというあたり、この2つの毛色の異なる勢力が乱世の中でどんな風に絡み合っていくのか、好奇心をかきたてられます。

  • 北漢を見限り宋に帰順した楊業と息子たち。遼との戦い。楊家はもちろんのこと、遼の耶律休哥も目が離せない。今回は六郎と四郎の活躍が目立ってた印象だけど、他の兄弟たちの活躍もあるのかな。

  • レビューは下巻で。

  • 北方謙三の「三国志」、「水滸伝」、「楊令伝」を読み終わってから読んだ。

    水滸伝のプロトタイプのような位置づけでもあり、楊令伝へと続く「原野での騎馬戦」が手に汗握る、戦う男たちの物語だ。

  • 京劇にもなってる楊家将の話。
    宗の時代、遼との攻防で名を馳せた楊業とその息子たちの戦いは熱く、兄弟(二郎、三郎、五郎を除く)たちそれぞれの個性が描かれていて面白かった。悲劇とわかっていても下巻が楽しみ。

  • 久方ぶりの北方作品。やっぱり初期作品だけに荒削りで、三国志、水滸伝みたいな奥行きには欠ける気がする。でも、その分、混じり気はなく、純度100%。気圧される面白さはさすが、北方ハズレなし。

  • 熱い漢達の闘いの序章の物語。
    国の威厳をかけて、先代からの悲願を果たさんとする
    帝と、その絵の実現のために、文字通り命を懸けて闘う
    武将達の闘い。

    圧倒的な力同士がぶつかりあったときに、
    そのレベルについて来れないような
    足を引っ張る味方がいないことがどれだけの
    差を生むか、また、直接の対決で
    「負ける」ということに対して、どれほどの
    憤りを持ち、矜持を保つための形で見返すのか。

    あくまで、物語の序章だけれど、
    己が掲げたもののために闘う、という姿勢が
    如何に誇り高く、如何に儚く、美しいか、を
    感じることができる本。

  • 「楊令伝」で消化不良に終わった北方さんでしたが、以前に書かれたこの作品はいいです。水滸伝を髣髴とさせます。いつも書いてますが、魅力的で強い敵を書くのが北方さんは本当にうまい。この話ではそれが耶律休哥。楊家軍団と彼の軍団の戦いがどんどん盛り上がってきて後半に続くですね。

  • 三国志の後、楊家将へ。

    相変わらず武将の生き様がかっこいい!あんな風に生きられればなぁと思う。やっぱり戦の書き方が秀逸。情景が浮かぶ。この頃簡単に万単位の兵の数が出てくるがどんなもんやろう?・・・想像がつかん・・・

    下巻での楊業と耶律休哥のライバル争いが楽しみ。六郎の活躍に期待!

  • 水滸伝、ヨーレー伝がそれぞれ文庫版でも完結して、次の岳飛伝は単行本で刊行中。文庫版になるまでまだ時間かかりそうだから、その合間を使ってってことで、たびたび話題にも出てくる楊家将を読むことに。これはまだ宋の黎明期の話で、やっとこさ中華は統一されたけど、外部に遼って難敵を抱えてて、まだまだ安寧には程遠い、って時代背景の物語。岳飛伝の時にも思ったけど、ただひたすらお上のために戦って、でも優遇されずにこき使われて、みたいな人を英雄にするのが好きですね。内容的には、さすが北方作品だけあって、少し前に読んだ岳飛伝・翻訳版よりずっと楽しめるけど。

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著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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