Happy Box (PHP文芸文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569764542

感想・レビュー・書評

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  • ”幸”が名前についている作家さんに”幸せ”をテーマに短編書いてもらおうって発想が面白いよね。個人的に、ああ、あの作家さんにも”幸”ってついてたか、そうかあって所に感慨深かったりして。

  • 読み慣れているせいか、やはり伊坂幸太郎が一番面白かったです。

  • ペンネームに「幸」の字がつく作家5人による作品集。いずれも60頁弱で、テーマは「幸せ」。収録順に、伊坂幸太郎、山本幸久、中山智幸、真梨幸子、小路幸也。このうち、伊坂幸太郎はもともと大好き。山本幸久は去年の私のマイブームながら、たまに受け入れがたい作品あり。中山智幸は読んだことなし、真梨幸子はどろどろしすぎていて苦手、小路幸也はまぁまぁ、という私にとっての布陣です。

    以下、オチの幸せ度についてネタバレが入ります。

    伊坂幸太郎の『Weather』は、主人公が友人の婚約者に会ってみたら、なんと元カノ。過去にわずか半年つきあっただけの元カノとはいえ、友人にはその事実を打ち明けられない。友人は無類の女好きで、それに気づいている様子の元カノからはスパイを頼まれる。予想のはるか上を行くハッピーエンディングで、さすが伊坂幸太郎。

    山本幸久の『天使』は、ベテラン掏摸の老婆がショッピングモールで幼い姉弟に遭遇。その姉弟は母親の恋人であるろくでなし男から、掏摸の手伝いを強要されているうえに、虐待も受けているらしい。他人にはできるだけかかわらずに生きてきた老婆だったが、姉弟を黙って見ていることができず、救いの手を差し伸べる。一見良さげ、このオチは嫌。

    中山智幸の『ふりだしにすすむ』は、日常にも仕事にもたいして楽しみを見いだせない女性が主人公。そんな彼女の前に「あなたの生まれ変わりだ」という変な老人が現れる。なぜ自分の生まれ変わりが、自分より何まわりも年上の、しかもおじいさんなのか。そして老人の頼み事とは。ややこしくも興味をそそる展開で、他の作品も読んでみたくなりました。

    真梨幸子の『ハッピーエンドの掟』は、母子家庭に育つ小学生女子の目線で。ホステスで稼ぐ母親は夜になると出かけてしまうから、いつもひとりぼっちの彼女。学校の先生は「お父さんがほしいでしょ」と押しつけがましい。いつもはドロドロの真梨さん、こんな微笑ましい話もお書きになるんだと思っていたら、最後はちっとも微笑ましくない。やっぱり真梨さんでした。

    小路幸也の『幸せな死神』は、イケメンの死神が家に居座るという話。ひょんなことから死神が見えるようになった主人公。目の前にいる死神がタイプなものだから追い出せない。死神が去らなくてはならないときとはどんなときなのか。面白そうではあるけれど、死神の話なら断然、伊坂幸太郎の『死神の精度』。

    結論としては、もともと好きだった作家の作品ならば短編でもやはりツボに入ります。もともと苦手な人は短編もやっぱり好きになれません。伊坂幸太郎には★4、初めて読んだ中山智幸には★3.5、あとは★3で。

  • 伊坂さんの作品が出てたので読んでみた。

    一作目、伊坂さんのweather。
    色男の友人が結婚する披露宴から。
    友人の彼女と話すと、うっかり墓穴を掘るために、当たり障りのない天気の話をするうちに天気の豆知識が豊富になってしまった主人公。
    披露宴にて白っぽいドレスやアクセサリーといった小さいマナー違反に逐一反応しちゃう生真面目な男性。
    いつもの伊坂さんワールドで、新婦から新郎の浮気の探りをいれらろと強要されて断れない主人公の独白にクスリ。
    でも最後は、疑われてると知らないモテ男こと花婿の粋な計らいに、素晴らしい!と叫びたくなった。
    遊んでる(た?)男が本気だすと、なんてすごいギャップを産み出すのか(笑)

    1作目がほがらかハッピーエンドだっただけに、2作目、3作目のダークな話が際立つ。

  • 収録作品は以下の通り。


    伊坂幸太郎「Weather」
    山本幸久「天使」
    中山智幸「ふリだしにすすむ」
    真梨幸子「ハッピーエンドの掟」
    小路幸也「幸せな死神」

    =================

    伊坂の「Weather」では、琴線に触れることが多すぎて、かなり心にグサリと刺さった。
    自分では決して結婚式に呼ぶことのない父親を、あんな風にサプライズで呼んでくれること、素直に嬉しく思えるかどうかは別として、感慨深かった。

    どれも素敵で、アンソロジーの良さが“生きている”1冊でした、ごちそうさまです。

  • 伊坂幸太郎含む

  • 名前に<幸>が付く作家達が「幸せ」をテーマに書いた短編5作のアンソロジー。どれもそれぞれの特徴がありつつ良い感じの短編で楽しめました。伊坂幸太郎以外読んだことなかったけど、他の著者の作品も読んでみたくなった。

  • 「weather 」、「幸せな死神」は既読

  • ペンネームに「幸」の付く五人の人気作家が、「幸せ」をテーマに紡いだ小説アンソロジー。結婚披露宴を舞台にサプライズと感動が盛り込まれた「Weather」(伊坂幸太郎)、おばあちゃん掏摸師を主人公にした「天使」(山中幸久)、SFテイストの「ふりだしにすすむ」(中山智幸)、搦め手から幸せに迫った「ハッピーエンドの掟」(真梨幸子)、幸せの対極的な存在を登場させた「幸せな死神」(小路幸也)の五つの物語を収録。

  • 「幸」が名前にある作家達の「幸せ」をテーマにした短編集です。
    思っていたより面白くってササッと読んじゃいました。

    特に好きなのは「Weather」と「幸せの死神」でした。
    どちらも意外な結末でしたがとてもいい気持ちになりました。
    嫌味な、と言う意味で悪い人(「天使」に出てくる親父は嫌で悪いヤツだしおばあさんも悪い人と言えば悪い人なんですけど)本当にがほとんどいないのがいいですね。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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