官僚の責任 (PHP新書 745)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569798059

感想・レビュー・書評

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  • 「霞が関は人材の墓場」―著者はそう切り捨てる。
    利権拡大と身分保障が目的の官僚達の姿を描いた新書。

    辞職を迫られた経産省の改革派官僚が書いているだけあって、ただの評論ではなく危機感を持って受け入れる話だった。
    漠然とした不安が現実身をおびてきて、読んで行くと怖くなるほど。
    こんな未来のない日本は、これからどうなっていくのだろう。変わることは無理なのではないかと思ってしまう。

    願わくば、官僚はもう変わらないとして、
    国民が一人でも多く意識を変えて
    官僚を変えて行ける政治家を選べますように。
    人気取りや地元利益だけを考える政治家がトップに立ちませんように。

  • 資料ID:92113166
    請求記号:080||P||745

  • 原発事故が起こった直後に、非常に明確に今後の問題解決をロジカルにまとめて報道していた官僚の一人。それと前後して退職勧奨され退職した。こういうまともな人が排他される国が今の日本なのだ。

  • 官僚機構の内部にいた者として、官僚の行動様式やメンタリティがわかりやすくリアルに解説されており、官僚批判を喜ぶ人々からは受けがいいだろう。しかし、現行の官僚機構の弊害を取り除くための改革案として古賀氏が提示している人事制度改革は、一昔前に民間企業でももてはやされたものの焼き直しで、運用面で課題がある。より根本的な原因は政治家達が国民受けを狙って官僚をスケープゴートにしたり、都合の良いときだけ利用しようとすることではないだろうか。大臣が「全て自分が責任を取るから、正しいと思うこととどんどんやれ」と現場を信頼するだけでも、官僚たちがその能力を前向きに活用するようになるのではないかと思う。そうした点では、古賀氏の官僚批判も従来からのステレオタイプの域を脱していない。ただ、社会保障について「ちょっとかわいそうな人は救わない」という考え方は、現実を冷徹に見つめれば、正論であると評価できる。

  • ・経済産業省大臣官房付。
    ・同期の誰かが審議官か部長のポストについたら、それ以上の出世は望めない→天下り
    ・天下りポストの確保と維持が至上命題になっており、無駄な仕事と予算がどんどん作られてしまう。
    ・天下りの悪は、無能な人たちに高給を保障するために税金が使われること。
    ・民主党は官僚を使いこなせなかった。
    ・事業仕分けのまやかし:廃止の結論がでても、事業内容はそのまま存続させ看板をつけかえる(見せかけを変えるだけ)
    ・民主党も事業仕分けを単なるショーだと割り切っていたフシがある。「官僚をたたく」というポーズだった。
    ・農業は守られ過ぎ。作付面積が1ヘクタール未満の農家が約7割。きわめて生産効率が悪い、国際競争力が限りなく低い。
    ・農家は税制も優遇されていて土地の保有コストはゼロ。
    民主党の戸別所得補償:製造業からの大きな不満。中小企業は倒産しても1円ももらえないのに、どうして農家に生まれただけで、収入が保障されるのか。

  • 読みやすかった。社会保障、農業政策や公務員制度などといったものが官僚その他の既得権保護のためのものに成っているという指摘は説得力はあるが論拠が弱いか。

  • 官僚の負の側面を延々と綴った本。
    じゃあ具体的にどういった対策がよいだろうか、という部分が薄かったのが残念です。

    おそらくここに書かれている負の側面は事実でしょうが、正の側面も正しく知りたいですね。
    いかに官僚たちが頑張っている・きたか。両方知ったうえで初めて官僚を批評したいと思います。

  • 文句ばっか。内輪への捌け口の本

    ヘドだらけで読んでられない。

  • ストイックに古賀さんが書き綴ったのだろう。

    我々国民は官僚を崇めてる場合ではない。

  • 経済産業省を優秀な成績でエリートコースを歩んでいた古賀氏によって書かれた本です。彼が辞めた瞬間にテレビに出ていたので印象に残っていますが、今でも日本は「出る杭は打たれる」のでしょうか。

    国のためよりも「省のため」に貢献する方が省内で昇進していくシステムは、今ではまだ成り立っているようですが、このようなやり方はいつまで続けることができるのでしょうか。

    多分官僚たちも薄々気づいていると思いますが、限界が来たときに「すべてご破算にしてゼロからやり直す」ことを考えているのでしょう。その方がだれも責任を取らなくても済みますからね。この状態が永遠に続けば良いのですが、そうは行かない気がしています。その日が来ても慌てないように自分を鍛えておきたいを思いました。

    特に年金について、制度が成立した時の平均年齢を考慮して80歳程度に受給開始すべき(p175)
    という考え方は、感情的な面は外にして納得できました。

    以下は気になったポイントです。

    ・経産省にとって東電は最高の天下り先の一つである、実質的にはほとんど仕事はない(p27)

    ・被災が起きていたときに、実際に霞が関の官僚たちが夜を徹して取り組んでいたのは、大臣のための想定問答集をつくることだった(p30)

    ・電力自由化や核燃料サイクル計画に反対しようとした官僚はいるが、ほとんどは経産省を去らざるを得ない結果になった、古賀氏(著者)も出世する人間が一度は通るとされる資源エネルギー庁への出向はなかった(p50)

    ・福島事故では、原子力安全・保安院が、じつは経産省の一組織であることが知られることになった、保安院とは、原発に関する規制と安全確保を担う機関であるが、それが原発推進の経産省内に置かれているおかしな話である(p51)

    ・「改正について」ではなく「改正等について」とすることで、内容をまるっきり変えてしまう(p62)

    ・産業革新機構は、役人的発想でできあがったファンド、先端技術による新事業や有望なベンチャーなどを投資対象としているが、政府が出資している820億円、機構が金融機関から資金調達する場合は8000億円まで政府保証をつけるので国がリスク負担する(p79)

    ・民主党は予算編成において、財務省に妥協するしかなかったことが分かった(p93)

    ・民主党の多くは、「自民党を否定すること」=「変える」と錯覚していた、変えるためには哲学や理論が不可欠であり仮説思考が大切(p98)

    ・仕分けの目的は「無駄を省く」ことにあるが肝心なのは「その無駄がどこから生まれたのか」ということ(p105)

    ・事業仕分けでいくつもの事業が「廃止」の烙印を押されたにもかかわらず、霞が関が慌てなかったのは、骨抜きが可能であることを官僚は承知していたから(p107)

    ・官僚の世界では、先輩に不利益になることを言い出すこと自体がタブーである(p115)

    ・組織とは、異質なもの同士がぶつかりあい、化学反応を起こすことで大きな力を発揮する、同質のものが集まっていては異質な発想は生まれず、あらかじめ想定できる程度の成果しか期待できない(p128)

    ・法律を作ると同時に予算を取り、関連団体をつくると、成果を公言できる、これば民間企業における営業成績になる、権限・予算・天下りポストが三点セットになる(p134)

    ・産業再生機構は2007年に、国家負担に頼ることなく全ての対象事業者の支援を終えて解散した、赤字どころか税金を払った上に500億円もの利益をだし、5年と定められた業務期間を1年前倒しした(p160)

    ・年金受給開始年齢は80歳でもかまわない、年金制度が成立した当初の平均寿命はいまよりはるかに短かった、年金とはもともと平均より長生きしたことで生活を営むことが難しくなった人のためのもの(p175)

    ・平均年齢くらいまでは、働くなり、不労所得を得る方法を考えるなりして、年金制度ができたときの考え方に戻すしかない(p176)

    ・中小企業支援に関する補助金を受け取った経営者の回答では、「一番役人に世話になったのは、申請書を書いてもらったこと」、彼らはもともと優秀な企業なので放っておいても成功する(p187)

    ・中国人経営者が言うには、日本人は、その場で自分で決められる案件でも、持ち帰って夜中まで討議して決めるのに対して、中国人は即断即決」(p194)

    ・再生可能エネルギーへの推進として、発送電を分離、発電部門をいくつかの規模に分割すれば、送電会社はどこの発電会社も差別せずに送電することになり、政府は再生可能エネルギー発電を行う発電会社を支援できる(p206)

    ・東電は、資財や原料を言い値で買ってもらっていた製鉄・石油会社の最大にして最高のお客様、被災者よりも、銀行・株主を守るため、増税や電力料金値上げで「賠償金を払わせるため」という名目で東電は存続させることになりそう(p214)

    2012年8月28日作成

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著者プロフィール

1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部を卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。産業再生機構執行役員、経済産業政策課長、中小企業庁経営支援部長などを歴任。2008年、国家公務員制度改革推進本部事務局審議官に就任し、急進的な改革を次々と提議。09年末に経済産業省大臣官房付とされるも、11年4月には日本ではじめて東京電力の破綻処理策を提起した。その後、退職勧奨を受け同年9月に辞職。著書・メルマガを通じ活発に提言を続けている。『官邸の暴走』(KADOKAWA)、『日本を壊した霞が関の弱い人たち』(集英社)など著書の累計発行部数は100万部を超える。自身が企画・プロデュースし、本書が原案となったドキュメンタリー映画『妖怪の孫』が2023年3月に公開され、大きな話題を呼んだ。





「2023年 『分断と凋落の日本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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