デスダイバー

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569812076

作品紹介・あらすじ

究極のエンターテインメント「ヴァーチャル・デス」。開発の裏に隠された「デスダイバー」なる存在の秘密とは。興奮と緊迫のサスペンス。

感想・レビュー・書評

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  • バーチャル・リアリティが日常の娯楽として普及した世界で、新たに生み出されようとしているのは「バーチャル・デス」。誰もが一度は体験する、しかし逆に一度しか体験できず、それまでは未知のものである「死」を最大最強の娯楽として提供しようとする企業で起こった不可解な事故。その裏にあるものは何だったのか。なかなかにぞっとさせられるSFです。
    個人的には、「死」ってただ単に何もかもが消えてなくなるだけだと思っているので、恐ろしいとは思いません。恐ろしいし嫌なのは「死に至る苦痛」の方で、だからその「死に至る苦痛」をバーチャルとはいえ娯楽にするって……何なのそれ、全然理解できない、と思ったのですが。誰も味わったことのない体験というだけで飛びつく人はそれなりにいそうかなあ。それと、来世を信じたい人はね。
    それでも、いくら科学と技術が発達したとしても、人間が踏み込んではならない領域ってあるのではないかと思いました。そして何もかもを自分で支配できるという驕った考えを持つ人は、こういう場合ろくな目に遭わないよなあ。

  • 「死を遊びましょう。死を楽しみましょう。いずれ来る死に親しむために」バーチャルリアリティが娯楽として定着しつつある昨今、人々はバーチャル・セックスだけに飽き足らず、ついにはバーチャル・デスと称して死すらも娯楽の一部として迎え入れようとしていた。 一度きりの死をVRを通じて何度も楽しもうというとんでもない娯楽が発生し始めた日本。VRを楽しむために、頭の皮下に端子を埋め込む時点でだいぶどうかしているが……。死をテーマにしているため重めの作品かと思ったが、むしろ死が軽々しく扱われていた。それは死が娯楽として受け入れられる傾向を見せつつある作中の世界にそぐう扱い方だったと思う。6年前の本なので発展しつつある現代のVRとは少しずれがあったが、いずれこういう時代も来るのかもしれない。SFの傾向が強いが、主に人間の身勝手さの方が印象に残った。

  • バーチャルの死体験が普及した世の中で,供給元企業での謎の事故と,それを捜査する捜査官の話。
    この作者の話は,中二掛かっているが大体面白い。

  • 人間はバーチャルリアリティなるものを手に入れた。バーチャルセックス・・、その次はバーチルダイだ。
    死をバーチャルリアリティすること、その開発にはデコーダーが不可欠。死の世界との往還を果たしたい、人間の所業は果てしない。「名状しがたい閉塞感」からの逃亡なのか。
    未来小説は、ちょっぴりリアルなので恐ろしいばかりだ。

  • バーチャル・リアリティが日常の娯楽として定着しつつある中、究極のアミューズメントとして期待のかかるVD(バーチャル・デス)の開発に世界に先駆けて日本の企業ある程度の成功を収めていたが、原因不明の爆発を起こし、VDの関係者ほぼ全員が死亡した。
    死をバーチャルとして楽しむ。そんな時代が来るのだろうか?そこは疑問であるし、内容としてはダークなものではあるが、この小説自体は楽しめた。
    後半の藤森の置かれた状況と、送られてくる拝島の告白が交互に出てくるあたりは、まさに佳境。そして、最終章での藤森の想像と確信。ラストの文字。
    続きが読みたい。

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著者プロフィール

1960年埼玉県出身。北大教養部理Ⅲ系中退、一橋大学経済学部卒。2010年『ラガド煉獄の教室』で第13回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞。著書に『人間性剥奪』『ブラッグ』『ハンザキ』『困った作家たち』など。ショートショートから長篇まで、幅広く執筆している。twitterで「両角長彦の140字小説」発信中。

「2020年 『ある実験 一人選べと先生が言った』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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