告白

著者 :
  • 双葉社
3.94
  • (2570)
  • (3147)
  • (1969)
  • (363)
  • (121)
本棚登録 : 17911
感想 : 3104
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575236286

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • やっぱり、これはすごい!
    ゾクゾクしっぱなし!

    オチも好きです。

    この教師、上手に話すなー賢いんやろなーとか
    色々複雑やけど、面白かった。

  • 「告白」
    我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。


    正義とは主観でどのようにも変わる。果たして、一体誰が悪なのか。悪とは、どこからどこまでを言うのだろうか。人間は性悪説で染まっているのか、それとも性善説を見出せる存在なのか。


    聖職者:教師の告白。
    殉職者:同級生の告白。
    慈愛者:母の告白。
    求道者:少年Bの告白。
    信奉者:少年Aの告白。
    伝道者:教師の告白。


    1つの事件に対する様々な立場の人間から発せられるその多くは「正義」ではないでしょうか。娘を失った人間が娘を殺した人間に復讐することは正義である。殺人を犯した人間に制裁を加えるのは正義である。自分の息子をここまで貶めた人間を憎むのは正義である。自分の才能を認めてくれない人間を弄ぶのは正義であるetc


    彼らは決して正義という言葉を口にしてはいないけど、憎むべき対象や個人の目的に向かう為に、自分の後ろに正義という絶対的に正しいものがあることを確認していたのではないかと感じました。


    しかし、正義とは常に主観の上に成り立っています。この事件において、娘を失った教師は被害者であり、娘を殺した少年に復讐することは正義に見えます。しかし、事件に関係ない人間からすれば、それが事件から離れる人間であればあるほど、彼らには彼女の復讐は正義と思えなくなります。きっと、「気持ちは分かるけど、犯罪は犯罪でしょう」という反応が大半でしょう。


    これは大切なことだと思います。自分が思った正義を周りが判断し、過ちであれば正し、批判し、諭す、これは必要だと思います。皆が思う正義を行えば、それこそ、世界は終わり、人間は地球上で最も醜い生物となります。そもそも、生き残る為以外に殺人を行う生物は人間だけだから、人間こそが地球で最も劣等だ、とも言えますが。


    と堅い話はここで置き、感情的に読んだ感想を言うならば、「なんだ、このぞわっとする、感覚は」です。正直、正義は主観の上で成り立っているなどと言いましたが、私(事件から離れている、そもそも現実世界にいる私)は、復讐をしようとするこの女性教師を責めることは少し難しいです。


    なぜならば、人を殺すことは絶対に許されないからです。その人間がたとえ未成年であろうとも変わらないし、今で言えば、現在の少年法を見直すべきだと思います。「未成年だからこそ、更生する権利を!」などと言う意見には、いち人間として真っ向から論議をお願いしたいところ。更生を願うからこそ、少年法を改正し、より罪を認識させるべきではないだろうか・・・、などとどうしても考えてしまいます。


    そんな娘を亡くした教師への思いに加え、様々な立場の人間から発せられる苦悩にも大きな衝撃を感じました。ぞわっとする感覚はこっちの方により強く感じたかも知れません。例えば、「失敗」という言葉で一気に砕けてしまった少年Bが抱えていた、加害者であり、共犯者であり、被害者であり、弱い人間でありの苦悩には、ぞわっとした怖さと悲しみを感じました。また、少年Aにも様々な思いがありますが、うーーーん、それでもクソッタレでしょうか。これはぞわっとする怒りです。


    ちなみに、最後の結末には驚きました。ここまで、徹底する復讐には、正義を感じてしまいます。


    読むと、多くを感じる作品。映画が見たくなる。

  • 湊かなえさん作品初読み。
    終始引き込まれ、文章力に驚いた。始めのページから独特な語り口で異様に感じた。
    なんというか全体的に文章が冷たいんだ。

    決して人に勧められる本ではない。
    人間の醜い部分をかい摘まんだ恐ろしい内容。読後感は全く良くない。
    ラストはぞっと鳥肌が立った。

    だけど夢中になって読んだ。
    物語としてすごく面白かった。
    親の接し方次第で子供は歪んでしまう。
    過保護にしすぎてもだめ。褒めすぎてもだめ。認めることが大切なのかなと感じた。
    まだ結婚もしていない私には子供を育てることに恐怖を感じた。

  • どうしても流行りに乗るのは好きでは無く、読むことを迷っていた作品。
    でも読んで良かったです。
    素敵な作品です。
    読んでる間、読み終わった後、ゾクゾクしてました。

    淡々と描かれている文章の中に、じわじわと効いてくる毒が含まれている。そんな書き方が好きです。

    各章がそれぞれの視点で描かれている。
    でも、それぞれの視点で同じ事件の一連を見ているはずなのに、悲しいかな会話が無いゆえにすれ違いが起こってしまっている状況。
    人間同士の関わりで絶対あり得そう。
    話し合えてればすれ違いは起きなかったのに、もっと最悪の事態が回避できたのではないか?って。
    そんな事を考えてしまった。

    湊さんの作風好きです。
    今後も色んな作品読みたいです。

  • スルーするつもりだったけどあえて書きます。

    読み終えて・・・
    無邪気な小学生が目に見えないものをなすりつけあって
    「バリアっ!」と遊んでいる光景が浮かんだ。

    倫理的に問題があると考える私は古いのでしょうか。

    町の本屋さんたちがこぞって推薦しているというところが
    さらに怖ろしいです。
    日本、大丈夫か?

  • それぞれの視点から語られるのが分かりやすく、また心情の動きもよく伝わった。
    それぞれの復讐の形が望んだものとは違う形に終わっていくところに儚さを感じた。

  • かなり前に映画を観たことがあり衝撃を受けた覚えがあった。忘れている部分があって改めて本を初めて読んだが、やっぱり衝撃的なものだった。中心の人物たちが狂気的で恐ろしいけど、考えもよらない展開に引き込まれてしまっていた。

  • 映画を観ていたので、あらすじは知っていたが楽しめた。後味が悪く、さすがイヤミスの代表作といったところ。

  • 面白すぎる。こんな話が書けるのは…やはり天才なんだろうな…と思った。

    最後まで展開が予想できな過ぎるし、読者は登場人物に裏切られまくる。
    真実を返せば返すほど人の本性が渋く苦くなっていく、読んでて同情するというより、やり過ぎじゃね…と思ってしまうような話だった。
    最後までのめり込むように読むことができた。最高に楽しみました。残酷ですが、私的にはゾクゾクして本当に面白かった…

  • イヤミスの女王と名高い
    湊かなえさんのデビュー作にして
    本屋大賞受賞作。
    もちろん、私の湊かなえ作品デビューは
    こちらの作品です。

    面白かったです。
    嫌な人しか出てこないし、
    みんな自分勝手でク○みたいな人達
    ばかりなんですけどね…。

    とても文章に引き込まれ、
    本を読むのがめちゃくちゃ遅い私が
    二日間で読了してしまいました。
    ページを捲る手が止まらない、とは
    この事なのね⁈

    ゾワゾワするような話は苦手なのですが、
    ちょっとだけハマりそうです。
    映画化もされていますので、
    見比べてみるのも楽しいですね。

    主演は松たか子さんです。
    ピッタリの配役だと思います。

  • 湊かなえのデビュー作であり、代表作の1つでもある事は知っていた。ようやく読むことができた。
    文句なしの作品で一気に読んでしまった。

    人それぞれ本人しかわからないことだらけだが、
    これ程ギャップがあるかと少し怖くもある。
    そんな所が、「イヤミス」たる由縁かもしれない。

    早速映画も見ることにしよう。

  • 10年ぶりの再読でも緊迫して読むことができた。
    2人の生徒へ下した娘の復讐方法が恐ろしい。

    ただ、結末が残念。
    ターゲットが不確定な上、無関係な人を巻き込む方法を選ぶだろうか?
    狂言なのか?
    後味の悪さが際立つ作品である。

  • ◆「母親」という存在の大きさ◆
    とある中学校の終業式のホームルーム。このクラスの生徒に愛娘を殺された、という担任教師からの告白。―それだけでじゅうぶん衝撃的ですが無論それだけに終わりません。語り手を変え、視点を変えながら、徐々に事件の全貌が明らかになっていきます。
    読んでいて胸が痛むかもしれませんが、ラストまで読む手は止まらなくなります。
    中島哲也監督の映画も、原作を裏切らない良さがありオススメ。

  • 映画などでも話題になって気になっていたので、読めて一安心。勝手にこの教室の中に犯人が…!的なホラー系のイメージがあったのですが、全く犯人探しじゃなかった汗
    面白かったけど、読後感よく無いね。人殺ししておいて罪悪感とか一切ない人間がいたもんだ…と思わざるを得ないと言うか。結局、自分のことしか考えてないです。人間なんてそんなもんか。復讐に意味はないなんて言うけど、復讐するよなぁ。まぁ、私ならもはや生徒とは一生関わりたくないけども。
    先生と生徒の関係の難しさとか、少年犯罪とかなんか色々テーマはあるんですが、うん。犯人はどっちもクズだし。でもA君はどーなるのかな、改心しそうにもないけど。
    先生のたんたんとしつつも怒りに満ちてる?激情はしない大人な感じ?は空恐ろしさはあるけど、ハラハラはしないかな。なんか嫌な事件の手記を読んだ感じです。死んだ娘は帰ってこないし。

  • 先生から生徒への復讐のみが描かれているのかと思っていたけど、実際は様々な登場人物からの視点から物語りが展開していた。

    人によって思いが違い、通常とは違う世界がリアルに描かれているような気がして面白かった。

  • 最初の章がすごくセンセーショナルだった。
    どんな人にもお薦めできる内容とは言い難いのと、
    そんなに巧くいくもんだろうか?
    と疑問に思う部分が数カ所あったものの、キライなストーリーではありません。
    事件に関わりのある登場人物達がそれぞれの立場で『告白』しながら話が進んでいくのが面白い。
    全員が自分なりの正義を持っているけれど、客観的な読み手からはそれらが狂気に見えるのが怖いと思いました。
    程度は違えど、独りよがりな正義は誰しもが持ち合わせているものなのかもしれない。

  • 「愛美は事故で死んだのではなく、このクラスの生徒に殺されたのです」。一学期の終業式、担任はそう告白した。そしてその日からすべてが、瓦解した。

    2008週刊文春ミステリーベスト10第1位。2009年このミス第4位。2009年本屋大賞受賞。映画は第34回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞。そんな輝かしい受賞歴を持つ本作ですが、その肩書に見合うだけの素晴らしい作品でした。少年犯罪を描いたミステリーの中では貴志祐介作『青の炎』が最高傑作だと思っていましたが、それに並ぶ名作。もう第一章からゾクゾクさせられます。

    第一章の完成度に比べれば最終章は若干お遊びが過ぎるかなって印象も受けましたが、文句なしの五つ星です。

  • 中学の終業式の日に、辞任の挨拶を語り始めた女性教師。
    自分の幼い娘が中学のプールで水死したのだが、それが実は殺人だったと。
    このクラスに犯人がいると…
    それが第一話。
    続いて、クラスの女子や犯人、その家族の視点など、つぎつぎに展開するのはなかなか発想が面白い。
    後味悪いんですけど〜?
    有名な事件いくつかについて言及があり、そういうところも大勢が読んでみて考えるにふさわしいのか?

  • 別視点でも話が進むがそこまで必要じゃなかったかな。省いても良い箇所が多かった気がする。
    最初の緊張感は凄かったけど、全体を通しての驚きはそこまで感じなかった。
    最後もちょっと無理を感じてしまった。
    読書好きには薦めるけど、家族には薦めない。

  • 筆者の本で初めて読んだ作品となります。
    読了後の何とも言えない感触が、なるほど評判通りであると感じた記憶が鮮明に残っています。
    その後他の著作も読んで感じたのは、嫌な人物の書き方(ありえない狂気ではない)がとても生々しく感じられ、魅力となっているように思います。
    一番印象に残っているのは、気持ちを同じくしていたように思われていた同級生の二人が、悲劇的な最期を迎えるシーンでした。男子生徒は見下していたはずの対象に、自分の芯にあるもろい部分を言い当てられてしまう。
    子供ができた今では読み返せない本だな、と明確に感じる本です。

  • 「自分の子供が亡くなった」
    「担任の先生の子供が亡くなった」
    「担任の先生の子供を殺害する計画に失敗した奴を成功に導いてやった」
    「殺害に失敗した」
    1つの事件に様々な登場人物の歪んだ考え方と行動、そしてその後が絡みあっている。
    全て登場人物の証言記録のような書かれ方で読みやすい。

  • 「目の前にあることを精一杯にこなしていけばいいのではないでしょうか。それは、やりたいことを見つけたときの自分にとって決してマイナスにはならないでしょう」

    やりたいことを見つけたときに、今までやってきたことが自動的に役に立つのではなくて、やりたいことを見つけたときに、かつての経験を活かすという心持ちが大切。

  • 100%の悪人もいないがまったく罪のない人間もいない絶妙な登場人物と人間関係はさすがだと思った
    遠隔爆弾作れる割に感電死に失敗してるのは変な気もするが

  • 強烈。

    背筋がほんとにぞっとしました。
    些細な話がすべて恐怖に繋がり、とんでもない方向に進んでいってしまう。
    見事。

    何とも言えない後味の悪さをそっと残して、物語はさっと終わる。
    最後の一行まで裏切りません。

  • 娘を殺された教師の告白から始まり、それぞれの視点での告白への繋がる。復讐が色々なところへ影響を与え、狂っていく様子が恐ろしい。登場人物ほとんどが歪んでいた。
    衝撃のラストにゾクッと…。後味の悪さも含めて素晴らしい作品だった。

  • 学生時代になんか面白い本ないかなーと本屋をフラフラしていて、なんとなく立ち読みしてそのまま1章を読みふけってしまい、こりゃいかんと買って帰った思い出。
    短編的で読みやすく、でも1冊読み終える頃にすべてが繋がっていく感覚にゾクゾクした。

  • だいぶ前に読んで、登録してませんでした;;;

    丁寧な文章で書かれているのが、逆に激しい感情が伝わってきてどんどん引き込まれていく。
    全体に一定した雰囲気が漂っていて、落ち着いて読めるんだけど、最後には「とんでもないものを読んでしまった…」っていう衝撃が残る。
    不思議だ。
    話題になっただけ、お勧めの本。

  •  ずっと一人称で各章ごとに主人公の目線で進んでいくけど、その度に違う目線と背景から物事が進んでいって、また別の角度から・・・。主観で物が進んでいくスタイルだけど、たくさんの人の主観から全体像が浮き上がる手法でよく作りこまれていて読めば読むほどおもしろかった。最後のシーンなんてなかなか鳥肌でした。ブラックな意味でスカッとした。なかなかブラックにスカッとする作品に出会っていなかったから楽しかった。

  • 本書を読もうか迷っている人がいるのなら、まず一章だけでも読むことを薦めます。一章を読めば、間違いなく一章だけで終わろうという気持ちにはなれないと思うので、こう薦めたいのです。
    本書を読んでいる最中で、「読ませ方がうまい」という表現が浮かびました。すらすら読ませる軽快な文体と、それに乗せられた「殺人」や「いじめ」という重い内容、そのアンバランスさが新鮮に感じたのが理由かもしれません。特に魅力を感じた点は、すべての文章やその内容における無駄のなさにあると思います。余談かと思わせ、しかし少し読み進めると思わずその繋がりに納得してしまう。そんな複線回収の鮮やかさに驚かない人はいないと思いました。

  • 一ページにぎっしりと文字が埋まっていて、当初は途中で読む気がなくなるのではないかと思ったが、そんな心配は不要だった。
    休憩も挟まずに最後まで一気に読み終えることができた。
    それだけ引き込まれるもにがあった。

    テーマについては、ここでしたり顔に書いて主張する気は起きない。いや、そういう勇気が無いだけかもしれないが。


    一つ言えるのは、人の気持ちなんてわかったようなつもりでいるだけなのかな、と。
    自分の気持ちは自分にしか本当にはわかってないにだから、他者にわかってもらうには自分からでもわかってほしいと伝える努力が必要なんだ。相手にわかってもらえないと嘆くにはそういう努力をしたあとだな。

全3104件中 31 - 60件を表示

著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

湊かなえの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×