君の膵臓をたべたい

著者 :
  • 双葉社
3.90
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感想 : 1469
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575239058

感想・レビュー・書評

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  • 文章は書き慣れた感じでこなれてはいるものの、細部はやや説明口調でお世辞にも上手い文章ではなかった。奇抜なタイトルではあるが、奇抜なのはタイトルだけで中身はありがちな難病モノ。少し一般から浮いている天真爛漫な変わり者の少女と、少しひねくれている少年が、独特な少女の感性に振り回されながらも変わっていくという目新しさのない物語で、やはりシチュエーション先行で描かれた印象が強い。いうなれば「難病の美少女モノ」という手垢のついたテンプレートに則っているだけで物語としての深みはまるでない。クライマックスで、彼女は病気とは違う不幸な結末を迎えるわけだが、それが表しているのはただの「理不尽さ」であり、そこから死に対して何かしらの教訓は得られるものではないと思う。特別な関係での日常に憧れる人間にとって難病と知っている人間同士という共犯関係は都合がいいのであろうが。主人公とヒロインの関係ばかりで、置いてけぼりにされた親友が少し可愛そうだと思った。一応ラストで救済はあるものの、死後でなければ物語に関われないというのは中々に残酷な話である。その「閉じた」関係と世界観は確かに青春モノの王道ではあるのだが、他者との関わりを大事にするのが物語の結論である以上、主人公とヒロイン以外の他者との関係性の異常なまでの薄さはやはり失敗だったように思う。まあこの手の話にしてはウェットの配分は絶妙であり、重苦しくなり過ぎず爽やかにまとめあげた筆致は賞賛に値する。

  • 全体的に薄いというか、ラノベっぽい。
    桜良の笑い方とか主人公の泣き方とか、いかにもラノベというか漫画っぽくてあんまり得意ではなかった。
    話も特記するほど内容がないような…。
    主人公の名前もキーワードになるのかと思いきや、全然大したことなくて伏線にもなってなかった。勝手に二葉亭四迷かと思ってたよ。

  • 私もタイトルで気になって読み始めたけれど、まず第一にこれだけ話題に上るタイトルを発表できるという点ですごいと思う。本の第一印象は圧倒的にタイトル、そして表紙。爽やかなイラストに不釣り合いのタイトルが、見る人の興味を引く。

    開けてみると想像よりライトな文章と軽快なテンポの会話劇。展開はわかりやすいし王道路線で特に変なひっかかりがなく読める読みやすい現代小説の印象。
    名前が最後まで出てこないのがなんでだろうと思ってたけど、最後を読んで納得。人との関わりを持って、あの瞬間初めてちゃんと、彼は自分の「名前」と向き合ったのだと思う。
    草船に乗って流れていたと思ってたけど、全部自分の意思だったと自覚して動き出すあたりが少年少女の青春劇で良いなあ。
    丁度今の春先な季節にぴったりの作品でした。

  • 2017年4月6日読了。途中からノンストップで読み切ってしまいました。泣いた泣いた。二人の掛け合いがとても楽しくてリズムよかったのが好印象です。話の流れも青春って感じで甘酸っぱいのがたまりません。途中驚きの展開が待ってますが、ここからがこの作品の山場。主人公の心の成長が著しかったです。デビュー作でこれだけ書けたらすごいなと純粋に感心しました。

  • この本が伝えたかったことは
    命の大切よりも、【日々の大切さ】だと思う。
    それが最後の通り魔に刺されて死ぬところで、自分の中でハッキリした。
    ひとはどうやって、いつ、死ぬかはわからない。どんな時でも、後悔の無い選択をして生きたい。それが日々を大切にしていくことであるとも思った。

    人に興味のない主人公は、わたしの生きてみたい生き方であり、羨ましい存在にあたる人。
    自分の中学の頃からの親友がまさにこんな感じの性格で、重ねて読むことがあった。
    でも人に呼ばれる時に相手が自分をどう思っているから想像することが癖な時点で、彼は誰かと関わりたかったのではないかと思った。

    主人公は人が周りにいることが、生きていることだと桜良に教わった。
    桜良は主人公が人がいなくても、輝いていると感じていた。
    2人ともお互いの良い点を自分なりに吸収していて素敵だった。

  • ★3.5

    偶然、僕が病院で拾った一冊の文庫本。
    タイトルは「共病文庫」。
    それは、クラスメイトの山内桜良が綴っていた
    秘密の日記帳だったーー。


    冒頭に彼女葬儀のシーン…。
    そこから遡って彼と彼女の物語が始まる。
    名前のない僕と、日常のない彼女が出会い
    同じ時を過ごし、僕がある想いに気付くまで…。

    日記帳には、彼女が膵臓の病気により
    もう余命いくばくもないと書かれていて、
    タイトルの意味は割と序盤で明らかにされますが、
    このタイトルに込められた二人の想いが明かされた時、
    胸がギュッとなりました。

    病を患う彼女にさえ降りかかった残酷な現実には
    そんな…酷い…って思った。

    他人に興味を持たずに孤立している僕
    他の人から見ると、暗くて地味な僕が
    彼女と過ごすうちに沢山の事を学んで変わっていく。
    他人と心を通わせる事で初めて生きてると感じ
    変わっていく姿が、とっても良かった。
    彼女亡き後も、彼女みたいな人になる事を選び
    人を認められる人間に。人を愛せる人間になる努力をしてた。
    読了感は爽やかでした。

    ただ、帯の様には涙・涙にはならなかった…。

  • 余命いくばくもないクラスメイトと、僕の物語。
    冗談やユーモアのある、ふたりの掛け合いが楽しい。
    ノリがラノベっぽい。
    地名やゲーム名をあえて書かなかったり、僕の名前を置き換えたり、固有名詞を避けることで、独特の雰囲気を作り上げている。
    桜良と僕の関係性が、甘酸っぱく、ほほえましい。

  • 最初はタイトルみてミステリーだと早合点して読みだしたら…ラストは涙でなみだで…

    本当に泣きました。


    ぜひ〜

  • 読んだのは数回目で映画を見てから改めて読む。
    桜良と"僕"の関係が言葉じゃ表せないくらいのもので、タイトルにも納得。お互いの気持ちがこの一言に詰まってるんだな、、と。

  • 言葉にすると安っぽく聞こえる。だから言葉にするのが難しい。
    すごくよくわかるし、心に刺さる言葉でした。
    最後はまさかの展開で桜良は無くなってしまうのですが、良い物語でした。
    日常の当たり前を大切にしなければならないということを再認識できました。

    こういうジャンルの本はほとんど読まないタイプでしたが、これからは読もうと思います。

    • Peach さん
      次に読むのは、「余命10年」どうですか?
      三島出身の作者の話です!
      おすすめです(笑)
      次に読むのは、「余命10年」どうですか?
      三島出身の作者の話です!
      おすすめです(笑)
      2022/03/03
    • NAMIさん
      Peachさん

      余命10年ですね!
      実は私も読んだことがあるんです。
      あれはもう、タオルなしでは読むことができない作品ですよね。
      ...
      Peachさん

      余命10年ですね!
      実は私も読んだことがあるんです。
      あれはもう、タオルなしでは読むことができない作品ですよね。

      いつかこのことについて語り合えたら嬉しいです(笑)
      2022/07/24
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著者プロフィール

高校時代より執筆活動を開始。デビュー作『君の膵臓をたべたい』がベストセラーとなり、2016年の本屋大賞第二位にランクイン。他の著書に『また、同じ夢を見ていた』『よるのばけもの』『か「」く「」し「」ご「」と「』『青くて痛くて脆い』『この気持ちもいつか忘れる』『腹を割ったら血が出るだけさ』がある。カニカマが好き。

「2023年 『麦本三歩の好きなもの 第二集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

住野よるの作品

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