三つの悪夢と階段室の女王

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 132
感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575240351

感想・レビュー・書評

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  • いわゆるイヤミス、全く救いのない話、4編で構成されている。
    ごく普通の人が軽い気持ちで犯した過ちがとんでもない悲劇を生んでしまうことがある…、
    人が持っている悪い部分だけを浮き彫りにしていて、とにかくどれをとってもなんの救いもない。
    生きてきて、故意にせよ無意識にせよ、誰一人傷付けたことがない人なんていないと思う。
    でもすっかり忘れていたある日突然、その報いが自分に降りかかってきたら…?
    そう思わずにはいられない話だった。

  • もしかすると私も明日巻き込まれるかもしれない厭ぁな事件。この厭さは事件そのものではなくそこに係るヒトの思惑。そして最初に思っていたのとは別の厭さ(しかも格上の厭さ)に絡まれる、本気の厭さ。いいねぇ。こういう不条理な巻き込まれサスペンス、大好きだ。

  • イヤミスなんだろうけど、どの話もインパクトが弱くて面白さもイヤミスならではの魅力もなかったです。
    「マグノリア通り、曇り」と「復讐の花は枯れない」は主人公のある行為が原因で家族を盾にされ追い詰められてしまう話。詳細は違うが設定は同じなので似た印象。
    最終話の「階段室の女王」は女の述懐がだらだらと続くだけで、緊迫感もなく面白くなかった。

  • 悪意のオンパレード

     元々一癖あるというか、脛に傷ある主人公たちが破滅へ転がる様を描く4つの短編。既読の記憶があるんだけど、今再読してもピンとこないので、次もきっと筋書きをほぼ忘れているのだろう。

     なぜピンとこないのだろうか?あまりに非現実的に感じるからかなぁ。数時間で読み切れる分量は就寝前に良いけれど、後味が残らないので、また図書館で借りて読みそうだな。ま、タイトルが短編の内容紹介のようで変わっているから区別できるかな。

  • 突然我が身に降りかかる悪夢のような事態。理不尽な要求にどのような選択をくだすのか・・・。
    第35回小説推理新人賞受賞作を含む、4作の短編集。
    誹謗中傷・正義感の暴走・恨みの連鎖・見て見ぬふり、といったところか。現代社会で顕著化している問題がテーマなので、興味深い一方よく取り上げられる題材でもある。
    短編なのでスピード感は大事だろうが、ちょっと深みが足りないし文章に面白みが感じられない。追い詰められる主人公を書いているのだろうが、もっと対処法があるだろうとイライラするし、正直言って自分のことばかりで同情できない。特に3話目はそう。成人したとはいえ自分にも子どもがいる人が甥の為にそこまでするか?という気がするし、みんな行動が過激すぎる。
    とかく後味がよくない話。

    マグノリア通り、曇り
     娘を誘拐された『斉木』が呼び出されたのは、かつて彼が他の衆人と同調し飛び降り自殺をしようとしている人物に暴言を浴びせた場所だった。同じように飛び降りるという犯人は、止めたければ人を殺すように要求する。

    夜にめざめて
     長らくニートだった『高橋』は、連続通り魔の犯人と疑われたうえ自警団につけ回される。彼らの行動を逆手に取り、勘違いで暴行を働いた自警団を逮捕させるも、逆上した団長に襲われ・・・

    復讐の花は枯れない
     いじめられっ子が窃盗の濡れ衣を被せられ自殺した。それに協力していた『沢井』は、25年もたってから自身や家族までもが命を狙われる。首謀者の『西田』は娘を誘拐され、お互いに相手を殺すように要求される。もみ合いの末西田を殺した沢井が、彼の娘を助けに向かうと・・・

    階段室の女王
     会談の踊り場で落ちて倒れている女性を見つけた『野口』自分をバカにしていた相手ということも有り面倒なので見なかったことにしようと外に出ると、男に声をかけられる。どうやらその男から逃げようとしていたらしいが、一緒に彼女を探すように強要され・・・

  • タイトルの奇抜さだけで手にとってみたが、これがなかなかどうして、とても面白かった。人の悪意の根深さを感じさせる短編が4つ。不穏で後味の悪い話ばかりだけれど、ここまで突き抜けていると立派にブラックジョークとして成立している。どの話も、いったいどこへ向かうのか予測できない展開と、予想をさらに上回る捻りが効いていて唸らせられる。平易な文章も読みやすく、たちまちのうちに読み通してしまった。まったくのノーマークだったけど、これは思わぬ掘り出し物であった。

  • イヤミスってやつ?サクサク読めるのに後味悪い。それはいいねんけど、これらの短編って、どうミステリーなんやろ?

    イヤな後味…っていう共通項以外は完全に独立した4編。であれば、本のタイトルは工夫が無さすぎる。話がつながっていくことを期待して、最終話に期待した俺の気持ちって(泣

    勝手な思い込みが外れたこと、イヤミス嫌いってこと、登場人物達の造詣の薄さ…、俺にはちょっと合わない本だった。

  • どれも犯人が粘着質で
    自分の正義を振りかざして追い詰めてくるのが
    とっても気持ち悪かったです
    もー しつこい くどい 執念深い
    気持ちはわかるけど 
    側にいて欲しくないタイプでした

  • 読後感の悪いお話四篇。
    タカハシくんが1番可哀想だった。
    彼はあの後どうなったのだろう。せめて助かっていれば良いのだけど…。ただ、弟が逮捕されれば生き地獄だろうから、あのまま召される方が良いのだろうか…。
    1番不愉快だったのは階段室の女王。しかも彼女だけ、恐らくだが平穏に暮らしていく可能性がある。
    多分ワザとなんだろうけど。
    そして、タイトルは変更前の方がどれも好みだったな、と。
    イヤミス的なのが苦手なので星は2つだけど、一気に読んでしまいました。

  • 人生のどこかで落ち込むかもしれない嫌な落とし穴にはまってしまった人たちの話。
    短篇集なのだけど、最後の彼女のみがタイトルに記されていることに意味はありそう。
    たしかに彼女は女王になったのだろう。

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