ケモノの城 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575519952

感想・レビュー・書評

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  • グロテスク。
    なるほど、こうやって解体したら…って違う違う。
    わたしは、なんか違う結末が良かったような…

  • 警察は、自ら身柄保護を求めてきた少女を保護した。少女には明らかに暴行を受けたあとがあった。その後、少女と同じマンションの部屋で暮らしていた女性を傷害容疑で逮捕するが、その女性にも、暴行を受けていたと思われる傷があった。やがて、少女が口を開く。お父さんは、殺されましたー。

  • 北九州連続監禁殺人事件をモチーフにしていると聞いて。
    主犯・梅木ヨシオの残虐っぷりがまさにサイコパスのそれだった。口からでまかせの話術に長けていて、他人を洗脳させることができる。
    そうしたマインドコントロールの恐ろしさ。人間は恐怖を与えられ続けると、逆らうことも逃げることも考えられなくなってしまう。
    話は2パートに分けられて進んでいく。警視庁の捜査により徐々に明らかにされていく事件の内容はあまりにも凄惨だ。
    同棲中の若いカップルの元に彼女の父親が転がり込んでくるもう一方のパートと、どのようにつながっていくのかが気になって最後の方は一気読みです。
    どんでん返しというか、驚きの事実も用意されていて、あぁフィクションで良かったと半ば安堵するほどでした。

  • 東京都町田市で起きた監禁事件から明らかになったのは、想像を絶する猟奇的事件だった。目を覆いたくなる描写が連続する衝撃の問題作。
    北九州市で起きた犯罪史上まれに見る凶悪監禁殺人事件がモデルになっている。参考文献でもある豊田正義「消された一家 北九州・連続監禁殺人事件」を併読すると、より一層恐怖感が増す。決して絵空事じゃない、いつ自分たち家族が巻き込まれるか分からない。現実にはどうすべきか考えさせられる。

  • 重い。ひたすらに重い。人間の残酷さと狂気を集めに集めた事件を基にしているとか。気分が沈んでいる時には読めない。

  • 実際にあった連続殺人事件をモチーフにした小説である。殺される理由が希薄であり、その描写が数ページに記載され、殺人犯の詳細がほとんど分からない、これほど恐ろしくて怖いはなしはない。小説では、前川裕著『アパリション』他、一連の殺人犯に共通する。話しの結末をぼかしながら更なる恐怖へと読者を誘う、一般人にはおすすめできないので★3つ。但し、グロに耐性がある人はOKかな

  • 最初は、表現のグロさで、歯を食いしばったり、気持ちが滅入ってしまったが、どんどん描写になれてしまって、最後はあまり感じなくなってしまった。
    この慣れが怖い。

  • 面白い、と言ってはいけない気がする。
    完全なるフィクションなら普通に引き込まれて、普通にこんなこと考える著者こえーーとか思ったりして、まぁ物語だし。と思えた。
    でも、実際にあった事件を元にしていて、現実に起こりえることでしかもいつ自分が巻き込まれるかわからないことに関して、こんな細かい描写されたら怖くて仕方ない。
    しかも、現実の被害者元少女も生きている。
    そういった犯罪と縁遠い人生を送ってきた人は楽しめるかもしれないけど、少しでも身近な人がそういう経験をしたことがあったら胸糞悪い趣味の悪いものとしか思えないんじゃないだろうか。

  •  自動車修理工場で働く横内辰吾が同棲中の恋人の待つ自宅に帰ると、そこには熊に似たホームレス風の中年男性がいた。男の名は「中本三郎」、同棲中の恋人小倉聖子の実父だった。少しの間だけと聖子に頼まれ三郎の居候をしぶしぶ認める辰吾だったが、愛想も悪く、仕事もせずに毎日ふらふらしているだけの三郎にだんだん不信感を抱き始める。
     その頃同じ町内で、17歳の少女から警察に身柄保護を求める通報が入る。香田麻耶と名乗ったその少女の全身には痣があり、足の指には爪が一本もなかった。ある2人の男女に監禁され、暴行を受けたという。そして麻耶は語る。
    「お父さんは、あの二人に殺されました。」
     麻耶が監禁されていたサンコート町田403号室には「アツコ」と名乗る女性がいた。アツコは麻耶監禁と暴行、そして麻耶の父殺害を認める。しかしそのアツコもまた麻耶と同じように全身傷だらけだった。出入口、収納扉、窓といった開口部全てに南京錠が仕掛けられ、浴室から大量の血液反応が検出された403号室。アツコの共犯、殺人事件の容疑者として「梅木ヨシオ」の名が挙げられる。麻耶の証言をもとに作成されたヨシオの似顔絵は熊に似た中年男性――。
     仕事中に三郎を見かけた辰吾は、三郎を尾行する。すると三郎はあるマンションを見つめ佇んでいた。マンション名は「サンコート町田」。三郎が見つめていたのは4階部分だった…。
     人間の皮をかぶったケモノは、一人二人と人間をこの世から次々に消していく。

     あまりの残酷さ、常軌を逸した死体処理方法に、報道機関でさえ自主規制せざるを得なかった「北九州連続監禁殺人事件」をモデルにしたミステリー小説。単行本刊行時に大反響を呼んだ誉田哲也の傑作かつ衝撃の問題作。


     読後、茫然としてしまう。何にか。犯行の残酷さにか、ストーリー展開にか、登場人物たちを襲う苦しさにか、作者の描写力にか、それともこの小説が現実の事件を基にしていることにか。いや、どれかではない。おそらく今挙げたもの「全て」にだ。全てが弩級の激しさで渦を巻き、読む者の心に深い爪痕を残す。私はこのハリケーンによる被害状況を把握してからでないと言葉が出てこなかった。
     「北九州連続監禁殺人事件」を基にした小説内の事件の描写に、何度も目を覆いたくなる。作者の筆力の凄まじさを恨めしく思いつつ、言葉の持つ力に感服するほど。そして読み手は紙背に立ち現れる実際の惨劇に胸を圧迫され、この小説から目を背けることができなくなってしまう。
     本作の恐ろしいところは、その上にミステリ小説としての完成度が非常に高いところだ。辰吾と聖子と三郎の章と、事件の全貌に迫る警察側の章の2章で構成される。2つの物語は巧みに絡み合って事件の真相を映し出し、互いに刺激し合って作品全体の物語の速度をグングン上げていく。そして3分の2を越えた辺りから、この物語のスピードは読者に制御不能となる。過言ではなく、私は本当に本書を読む手を止められなかった。
     悲しさ、焦燥、怒り、憎悪、吐き気、様々な感情を私の胸に堆積させ、そしてラストはどうしようもない程の哀切を残して物語は幕を下ろす。積み重ねられた感情は渦を巻き、加速度的に読まされた私の心には不思議な穴が開いていた。読後に言葉なんて出るはずがなかった。
     愛に飢え、歪んだ愛情を持った人が犯行に走ることはあるが、本作の犯人は愛が「ゼロ」。人の皮を被ったケモノ、善悪の物差しそのものを食いちぎる化物。そんな存在が現実にもいるのだ。下敷きとなった事件の犯人がそうであったように、人間社会にうまく溶け込み今も周囲の善良な人々を喰い物にしている。フィクションを逃げ道にさせてくれないというのは、これほどまで、震えるほどに恐ろしいものか。

     凶暴で、残酷で、ずるくて、でも魅力的で。こんな小説読んでしまったら誰でも読書にはまってしまうのではないか。小説の持つ「力」を感じることのできる傑作中の傑作!

  • おお…何の予備知識も入れずに読み始めたら…何とあの北九州事件がモデルやないですか!びっくりした!辰吾達の話とどう繋がっていくのかワクワクしながら読み進めたら、意外で面白い展開になりニヤけた!
    終わり方は…やっぱり新堂冬樹さんの『殺し合う家族』の方がダントツで良かったけど(笑)

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著者プロフィール

誉田哲也
1969年東京都生まれ。2002年『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞受賞、03年『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞。主なシリーズとして、『ジウⅠ・Ⅱ・Ⅲ』に始まり『国境事変』『ハング』『歌舞伎町セブン』『歌舞伎町ダムド』『ノワール 硝子の太陽』と続く〈ジウ〉サーガ、『ストロベリーナイト』から『ルージュ 硝子の太陽』まで続く〈姫川玲子〉シリーズ、『武士道シックスティーン』などの〈武士道〉シリーズ、『ドルチェ』など〈魚住久江〉シリーズ等があり、映像化作品も多い。

「2023年 『ジウX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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