息の発見

  • 平凡社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582834055

感想・レビュー・書評

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  •  息を意識し始めたのは、退職後、気持ちに、時間に、ゆとりができ、自分の体を改めて認識してからです。それまでは、呼吸は無意識でした。 五木寛之&弦侑宗久「息の発見」、2008.10発行。今は顔面筋トレ、口腔ケアをはじめ、深い呼吸、鼻呼吸、腹式呼吸につとめています。「人息を吐いて生まれ、息を吸って死す・・・・・」「日常のライフスタイル、柔軟さこそ、いのち本来の力」

  • 飲まず食わずでも人は直ぐには死なないけど
    呼吸を止めたら、ものの10分もあれば死んでしまう。

    とっても興味深い対談。
    たまに五木さんの頑なさが気になるけれど、
    とっても深いところで交わされる会話に、引き込まれる。

  • 生きているものは、呼吸が止まれば死んでしまう。
    しかし、ふだんは意識しないものだ。
    それを意識すれば、病気まで治す力があるという。
    意識ということは、イメージ力も手伝うという意味であろう。
    そういう意味でホゥと思ったのは、白隠禅師の「内観の法」である。
    それは、意識を集中していくと、臍下丹田に気が充実し心身の調和が保て、内臓器官が正常に働き病が治るという教えである。
    イメージ療法であろう。瞑想の一種なのだと思う。

    黄檗宗へ繋がる幻住派という流れの元には、中国の中峰(チュウホウ)禅師という方がいて、禅師にもかかわらず、念仏をも双修したという。
    要するに、浄土と禅をふたつ修したということである。
    人を見て、場合によってはときに応じて、念仏をやりなさいということもあったという。
    そういえば、良寛さんも、曹洞宗の禅師なのに、お墓は浄土真宗にある。
    こだわらない、そういうところがいいなあと思う。
    様々な話が豊かで面白かった。
    五木さんは他力主義であり、玄侑さんは臨済宗の禅憎である。
    だから、よけいにおもしろい。
    表紙は伊藤若冲の蓮池図。
    若冲のこの絵は、重要文化財なのだそうだ。
    全く媚びないが、かといって冷たくはない。
    全体を見たいものだ。

  • 五木寛之さん、玄侑宗久さんが呼吸について語り合った対談集。
    両者とも見識が深いので、読んでいて新しい気付きがあり楽しい対談になっている。
    絶命する際に息を吸って終わるか、吐いて終わるか、考えたことも無かったがなるほど、興味深い。
    自己流でも良いから自分に合った呼吸法を身につけておけば、ストレス過多な社会で生きていく上で役に立ちそうである。

  • 書かれている内容は、息の『発見』でもなんでもない。タイトルは適当につけられたもので、要するに呼吸をテーマにした雑談録。五木寛之と玄侑宗久さんは仏教に詳しく、採り上げる話題がいちいち興味深い。

  • 息の重要性とか、息から見る西洋比較論は面白いけれども、息についてもっと学問的な深みのある対話を期待してが、作家と坊さんではやはりそういう議論にはならない様だ。

  • 五木寛之著作の本は面白い。小説家なのであるが、小説は読んだことがない。エッセイや旅行記、仏教、宗教に関するものは読みやすく一気に読める。
    面白い本の条件は、どんなに難しいことがかかれていようが一気に読める。
    いつか役に立つだろうと無理して読んだ本は、再読するのもムリなので早々と読むのをやめてしまう。

    図書館で借りた本ならまだいいが、大枚をはたいて購入した本がはずれなのはくやしい。

    本書は対談シリーズになっており、今回は小説家・禅僧である玄侑宗久との対談。

    五木は「人は息を吐いて生まれ息を吸って死す」と述べるのに対して玄侑は「人は吸ってこの生を受け入れ、息を吐いて休息する…」とソフトに反論。
    両者に共通していることは、息「ソク」の大切さ、息を吐長く吐くことに重点をおき、吸うことは副次的なものであるという点だ。

    「長生き」は「長息」。
    丹田を意識した呼吸。

    純粋に呼吸法を実践するのもいいが、お経を唱えることはよい息をするという。僧侶は栄養学的には不足しているのにも関わらず、統計的に長寿であるという点は興味深い。

    「飽食よりは空腹を選ぶ」と玄侑。

  • 対談の多くは、互いの論を尊重するからか、反論・異論は出ないことが多いけれど、この本の対談者は呼吸(息)に関しての異論を含め、激論を交わす。古今東西の呼吸法が紹介され、特に「禅」におけるそれについて、また仏教論が飼わされる。玄侑師考案の「喫水線呼吸法」は、自分の体を空の容器とみなして息(水でも光でもよし)を吸うたびに足元から全身に満ちてくる様子を喫水線でイメージする。吸った息が水色だとイメージし、吐く時は金色の光になっ出て行くように色をイメージすると映像でイメージするのでやりやすいそうだ。


    五木さんの息についてのブッダの言葉を引用しておく。
    「息を吸う時には、息を吸っている自分に気付こう。吐いている時には吐いている自分に気付こう。歓びを感じながら息をしよう。心を感じつつ、心を静めて呼吸しよう。心を安定させ、心を自由にとき放つように息をしよう。そして無常を感じ、生の消滅を感じ、自己を手放すことを意識しつつ呼吸しよう」

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著者プロフィール

1932年、福岡県生まれ。作家。生後まもなく朝鮮半島に渡り幼少期を送る。戦後、北朝鮮平壌より引き揚げる。52年に上京し、早稲田大学文学部ロシア文学科入学。57年中退後、編集者、作詞家、ルポライターなどを経て、66年『さらばモスクワ愚連隊』で小説現代新人賞、67年『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、76年『青春の門筑豊篇』ほかで吉川英治文学賞、2010年『親鸞』で毎日出版文化賞特別賞受賞。ほかの代表作に『風の王国』『大河の一滴』『蓮如』『百寺巡礼』『生きるヒント』『折れない言葉』などがある。2022年より日本藝術院会員。

「2023年 『新・地図のない旅 Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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