新書769差別の現在 (平凡社新書 769)

著者 :
  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582857696

感想・レビュー・書評

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  • 障がい、部落、ジェンダー、セクシュアル・マイノリティなど、長年差別と戦ってきた人びとによる社会運動の歩みや、そうした人びとを取り上げた映像作品などの解説を交えながら、ヘイト・スピーチが日常のなかにある今日、差別とどう「つきあって」いくべきかが論じられている。本書における著者の核となる主張は、差別する側/される側という二項対立ではなく、すべての人がそうした対立構図の内部にあるのだから、自分の内なる差別と向き合うことから始めるべきだ、というものだと読んだ。興味深かったのは「他者を理解できる身体づくり」という考え方だった。最初に読んだときは具体的に何を/どういう状態を念頭に置いているのかが分からなかった。その後の章で新旧の様々な映像作品が解説されていくのだが、著者がそうした作品をどのような観点から見ていたのか、どういった感想を抱いたのかを読み進めていくうちに、障がい者差別であれ部落差別であれ、描かれた差別を読み解く直感や、描かれた差別に対して違和感を感じることなど、自己に内在的であれ外在的であれ、人を差別する、あるいは人に差別されるということの中に作用する力に対する嗅覚のようなものを研ぎ澄ませることが、他者を理解するための身体、ということなのかなと思った。

  • 視点は良い。差別をする可能性は「わたし」にもある。そこから他人との関係をつくっていく。しかし、全体に冗長な感じが。前に読んだ新書2冊が濃密で良かっただけに期待値が高過ぎたかもしれない。

    ・「本名を名乗ったら、差別や排除は余計にきつくなる。でもそのなかで、数は少ないけど、本物の人に出会える。本物の友人に出会えるのだ」
    ・日本にある「眼差しの地獄」
    ・適切で適当な察しが苦手で、それができない他者に対して、一方的に「コミュニケーションに障害がある」と決めるとすれば、それは当事者が抱えている”生きづらさ”を、有無を言わさず封殺してしまう、微細ではあるが強大で執拗な「権力」行使ではないだろうか。
    ・人間としての怒りや恨みの表出と差別的表現。はだしのゲンを例に。

  • 差別はあってはならない→私は差別などしない→私の言動に差別の意味合いはないという思考図式では気づかずに誰かを傷つけている恐れがあるから、絶えず自分の言動が差別に当たらないかを気をつけている必要があるなぁ。

  • 時々「ん?そうなの?そうやって決めつけてもいいの?」と思うんだけど、そうやって決めつけるべきもの(殺人とかいじめとか近親相姦とか)なのかもしれないと思い直しながら読んだ。でも好井先生のスマホ嫌いはよく伝わってきた。

  • 背ラベル:361.8-ヨ

  • SDGs|目標10 人や国の不平等をなくそう|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/684987

  • だれかの「生きづらさ」に目を向ける40冊

    所蔵状況の確認はこちらから↓
    https://libopac.akibi.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2001010132

  • 差別の現在ということで、現在の差別問題を様々な具体例から考えている。

    自分にも差別意識がある、それをなんとか見ないようにしていたところがあったのですが、差別を考えることと自分と向き合うことの関係性や、他人との繋がりについていろんなことを考えさせられました。

    差別というのは特定の、特殊な状況下だけの問題なんじゃない。女性は主婦業をして当たり前という意識にしても、実は自分自身が抱えていて、差別されるかもしれない、またはするかもしれない可能性は誰しもあるのだと思います。
    なにかが当たり前のことだと感じるときに、立ち止まって本当にそうなのか?これまでの常識について疑問をもって考えていくことが、自分自身と向き合うことになり、ひいては他人との結びつきも考えることなのだと思いました。

    今の時代、差別に関してある種のアレルギー反応的な激しい反応が返ってくることがあるけれど、なにか差別表現があったときに、その言葉や態度そのものを排斥するのではなく、そのような言動の元となる感情や感覚と向き合っていくことが大切だ、というような主張がされていて好感が持てました。
    また、差別される側の人に対しての同情的な視線や行動についても言及されていて、そのような人々も障害者だとか在日といったフィルタごしにその人を見ているということに気付かされることも。

  •  ヘイトスピーチに対するカウンターデモに正当な評価を与えていないのは疑問。

  • 2015年8月新着

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著者プロフィール

日本大学文理学部社会学科教授

「2023年 『新社会学研究 2023年 第8号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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