かなりや

著者 :
  • ポプラ社
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感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591106099

感想・レビュー・書評

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  • 祈り、想い。
    穂高明作品、今回も静かで力強い物語でした。
    装丁も素晴らしい。

  • 優しい世界が広がってて和みました。
    大和尚さんや長谷川先生が自分の近くにも居てくれたらと思いました。
    P210の、自死を選択するほど苦しんでる人に「生きていればいいことある」とか無責任なこと言えないというフレーズが強く印象に残りました。
    つい先日もTVか何かでこのフレーズを聞いて、人の気も知らないで…と思ったし、今までも何度か聞いてきたフレーズで好きではなかったので心にすっと入ってきました。

  • 4編の連作短編。
    各話毎に視点が変わりますが、登場人物達が他のお話にも緩やかな繋がりをみせる形で描かれています。
    軸となるのは、あの世とこの世の狭間の"裏の世界"を往き来出来る大和尚と孫の広海。
    そしてお寺の家族。
    このお寺の面々が良いですね。
    生と死が、科学的側面と仏教の説法を併せた独特の観点で語られています。
    心にすっと入って来ますね。
    様々な苦しみが描かれる重たい内容ではあるものの、それぞれが前を向いて終わる形なので読後感も良いです。
    細やかで、でも決して忘れてはならないものを気付かせてくれるような、素敵な作品。

  • この作家さんの本ってあったかい。

    何のきっかけで知ったのかもう忘れてしまったのだけれど、めぐり合えたことを本当に幸運に思う。

    生と死が交錯する裏の世界。抱えきれない荷物を解きたくて楽になろうと現実を捨ててしまおうとする人たち。そして、それを救う仕事を務める若い男の子。

    実際は、こんなふうに九死に一生を得る幸運・強運な人はごく稀である。ほとんどの人たちは誰に助けられることもなく、また誰に助けを求めることもなく、命を絶ってゆくのだ。その目を背けたくなる現状は他人事でも何でもなく、わたしたちのすぐ側にある。けれど、少なくとも物語の中では、こうして救われる人たちがいて欲しい。そして、彼らには悩みながらも苦しみながらも自分の人生をまっとうできる道が続いていって欲しい。

    “こんなふうにはうまくいかない”

    それを呟いてしまう自分が嫌でも、やっぱり登場人物の幸せを願って涙ぐんで読んだ。彼らの人生の8割は嫌なことで、あとの2割にご褒美のように自分を助けてくれる人がこうして現れる。きっと、それは誰もにあてはまること。と願う。

    各章のタイトルにもなっている科学事象は、浅学にして「シュレ猫」以外知らなかったから嬉しい驚き、発見だった。やっぱり面白い。また本を出してくださるとよいのだけれど。

    東北が舞台のこのお話。そして、ご自身も宮城出身の著者。生死にまつわるお話を書かれる著者が、今このときに何を思われるのだろう。
    (20110702)

  • 連作中編4編。ある特殊な能力を持った高校生男子を根っことして、そこにつながる四人の心温まる再生物語。読後感の良さは秀逸。「連作中編4編」と言う形式は前作「月のうた」と同様で、なにかこだわりでもあるのでしょうか。

  • 二回目読了。
    やっぱりおもしろい。
    ああおもしろい。
    量子論すごい。
    広海かっこいい。

  • 表と裏、見えるものと見えないもの。
    光と影、そして、生と死
    それは、別々のもんじゃなく、相容れないもが歩み寄って
    ひとつの世界を作っている・・・・
    か。

    きれいな表紙につられて借りた一冊だけど
    とってもいいものに出会えた。

    ***

    読んだあとに、この表紙を見るとね。
    「あぁ~!!!、そっかぁ~~!これか~~!」
    って、発見。さらに、感動。

  • とても良い作品です!
    扱っている題材は重いのに、周りの人々の優しさが本当に温かくて、読んでいて、心が洗われる感じがしました。
    物理を選択しなかったので、物理はちんぷんかんぷんなのですが、「アポトーシス」など、とても興味深かったです。物理を勉強したくなりました。
    広海くんは格好良いですし、サチはとても綺麗です。
    自分で気づかないうちに誰かの力になれる人たちです。
    私もこんな人になりたいなと思いました。

  • 読んでいて、これって私のことだ!って思ってしまった。
    パニック障害の症状や苦しみ、原因、治療の経過や薬のことなど、
    専門書並みに、けれども難しくなく(これって重要!)物語としてきちんと書いてある。
    あー、こんなふうに悩んでいる人ってやっぱりいるんだなー。
    まさかパニック障害のことが書いてあるなんて思わなかったから、
    とても驚いたし、出会うべきして出会った本という感じがする。

著者プロフィール

一九七五年、宮城県生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。二〇〇七年『月のうた』で第二回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞。同作は、傑出した筆力を書評家などから絶賛された。他の著書に『かなりや』(ポプラ社)、『これからの誕生日』『むすびや』(双葉社)、『夜明けのカノープス』(実業之日本社)がある。

「2019年 『青と白と』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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