([た]2-1)書店繁盛記 (ポプラ文庫 た 2-1)

著者 :
  • ポプラ社
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591117545

感想・レビュー・書評

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  • 田口さんのジュンク堂での書店員さんたちの奮闘が綴られている.クレーマー対応や,トイレに籠るお客さんの対応など,そんなことがあるのかというエピソードもある.2006年に刊行された本なので,amazonとの関係など今と状況が違うところもあるのかもしれないけど,20年たっても,あまり変わってない部分も多いのではないかなと感じた.

  • 書店員を40年続けている著者の古今をつらつらと書いている本です。
    かなりごちゃごちゃした文章で、書き手としてのレベルは低いと言わざるを得ないでしょう。内輪ネタ、個人名が多くてなかなか理解不能な部分が多い。ただ、書店員の飲み会にひっそり混じって耳をそばだてているような妙な楽しさも否定できない。人には勧めないけど書店が好きな人にはなんとなく貸してあげたくなる本です。

  • 「品揃えだけがとりえの愚直な本屋です」
     というのが、ジュンク堂書店新宿店がオープンしたときのキャッチコピー。
     これを見たとき、ちょっと感動した。書店のひとつの理想だと思ったからだ。
     実際、行ってみて、すてきだなぁとおもった。つーか、くらっときた。背の高~い書架が手前から奥までずわーっと並んでてさ。行けども行けども本また本で。ああ、この通路に寝袋敷いて泊まりたい……と切に思った。

     たぶん平均値より少しくらいは「本好き」だと思う自分にとって、この『書店繁盛記』はもりもりとおもしろかった。著者はジュンク堂書店池袋店の田口久美子さん。書店の現状、書店員の毎日の仕事、そして「本を売る」ということの難しさとおもしろさ……「リアル書店」の「リアル」が描き込まれていて、どの話もへーとかはーとかふーんとか鼻息すごーい感じに読める。
     とくにインターネットの大波が押し寄せて「この十年ほどで書店を取り巻く状況は大きく変わった」ことが、よくわかる。そうだよねー、単独書店としてはアマゾンってもう日本一の売り上げだよねとか。俺も「ウェブには在庫ありって載ってたもん」といって書店員さんを困らせたことあったなぁとか。身に覚えのあることが、書店員の視線から解説されて、なかなか興味深い話になっている。

     とくにおもしろかったのが、書店の「棚作り」について。ABCやリブロは、書店のセレクトを売りにしてきた。万引き対策(これがホントに書店にとっては大きな悩みなのだ)を考えると、書架は低いほうがいい。そして売れ筋の本を生鮮品感覚で仕入れして、旬のうちに売ろうとどかっと平台に積みあげる。
     それに対してジュンク堂は「どのジャンルも目いっぱい揃えました」という戦略。だから、売り場面積がいる。そして書架の「高さ」もいる。それで冒頭の「愚直な本屋」ができあがるのだ。
     そしてその広大な売り場・高い書架を、本で埋めなければいけない。この選書の作業が一苦労。「品揃えだけがとりえ」を実現するための「品揃え」の苦労だって、てーへんなのである。新宿店は正面に紀伊國屋書店を相手取っての出店なので、張り合おうと思うとなおさら通路が狭く棚は高くなる。書架の端っこには一般向けのを、中へはいるほどディープに……とか、並べ方にも気を遣う。ほんと、なにげーなく見ていても、そこには書店員さんの苦労と、そして職人的な苦心がにじんでるのだなーと思う。

     というわけで、本と書店を愛するすべての人にお勧めです。アマゾンは便利だけど、買えるものはなるべく「リアル書店」で買おう、と個人的には決意を新たにしました。

  •  池袋のリブロが人文書の棚作りで伝説を打ち立てていた当時、その場所で働き、ジュンク堂の東京進出と同時に、真向かいの店に転職したカリスマ書店員の実体験記だ。
     情報はちょっと古く、昔は良かったね的なとこがなくもないが、日々の悪戦苦闘の様子は共感するとことが多い。

     業界人以外の人が読んでも面白いかは疑問。  
     変な客に対する鬱憤晴らしの言動は接客業に携わる人なら、たぶん読んで面白い(実際はそんな態度や悪態はついていないと思うけど)

     しかし、つくづく思うのは、重労働のうえに薄給なのになんで書店員は、転職もせず働き続けるのだろう、ということだ。
     うまく説明できないけれど、この本を読むとなんとなくわかる。
     本好きの人は読んでいいのかもしれない。

     この本の中にも書かれているが、最近気になることがある。
     
     書店員に発売前の本の試し読みをさせて、感想を聞き、それを宣伝に利用する出版社の戦略だ。本屋大賞の成功からか、新聞広告でもカリスマ書店員推薦というコピーをよく見かける。そこまではいいが、たちまち増刷とか、たちまち何万部とかいう、正直いかがわしいものが多すぎる。
     そういうところに書店員を利用すると、そのうち読者の信用をなくすから、そろそろやめたほうがいい。出版社はよくよく考えるべきだ。

     カリスマ書店員という存在はもはや現状打開の切り札にならない。
     
     じゃあ、どうする?
     これがさっぱりわからない。たぶんアメリカと同じ淘汰される時代が早いうちにくるだろう。
     
     
     

     

      

     
     

  • 書店員という仕事について知る事ができます。

  • 実際の現場での書店員の働きがよく分かる本です。
    お客様の対応や客注、本の棚のことなどなるほど、こうなっているのかと思う事がたくさん書いてありました。
    けど、あくまで書店員の視点で書かれているので利用する側からするとだから何?って所もあったかな。
    これからはオンライン書店や電子書籍などもあり書店はよりいっそう存続が厳しくなっていくかもしれませんね。

  • 普段何気なく見ている書店の本棚の作り方の様子が面白い。
    しかし、笑いにすれば良いような話を、嫌味にしてしまう所がある。

  • 書店の知らなかった内情が解ったのは面白かった。ただ、それ以上の普遍的な何かは感じられず、タイトルから期待する以上のものは得られなかった。

  • カリスマ書店員が、若い書店員たちの奮闘を綴ったエッセイ集。ブログからの書籍化ということで、話題があちこち飛んだり若干読みにくい感じはありますが、まあその道のプロじゃないということで。「読みたい本が多すぎるから、大型書店に住み込みたい!」っていうのが長年の夢の読者としては(笑)バイトでもしないと知り得ない書店の裏事情をたくさん読めて斬新でした。クレーマーの話とかはどこの接客業でも必ずぶち当たる壁だろうけど、それにしても常識がない客って多いのね・・・と幻滅。よくキレずに対応してます、拍手。ジュンク堂の池袋店・新宿店は何度も行ってるので、あーあそこの本棚か!とかいろいろ思い返せて倍面白かった。

  • <本屋さんの棚には、私たちの未来がつまっている―。カリスマ書店員が、若い書店員たちの奮闘を綴ったエッセイ集。出版業界の現状、書店の事件簿、新規店舗の開店までの道のりなど、書店員ならではの視点で描かれた、リアルなエピソードが満載。>なりゆきで書店員になったという著者。それゆえ内容が「ビバ!本屋」だけではない点がリアル。

著者プロフィール

白梅学園大学特任講師

「2021年 『女性の生きづらさとジェンダー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

田口久美子の作品

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