- Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591118054
感想・レビュー・書評
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不幸な過去持ちでありながら、たくましく色気なく育った主人公
ツンデレ不良中年の師匠
クールデレな兄弟弟子
主人公にベタ惚れの残酷無邪気なラスボス
薄幸不思議美少女の親友
恋愛あり、バトルあり、家族愛あり、成長物語ありの
まさに少女が主人公のファンタジーの王道を盛り込んだ話
イレギュラーなのは下品な美形牧師かなあ
あーでも、こいつもツンデレ系だし、王道っちゃ王道か。
ラノベ作家でもある作者ならではなのか、文体は軽くて親しみやすく、ストーリーも分かりやすくて一気読みできる。
最近の本の中では結構好き。
乗りは『十二国記』の珠晶と頑丘の旅に似ている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
壁井節炸裂な中華ファンタジー。
キャラクターが魅力的。
少しずつ成長していく主人公のわがままさも意志の強さも孤独への恐怖も、全てひっくるめて愛しいと思えた。
逆ハーレム状態にニヤニヤ。
この一冊だけでは終わりそうにないので、続編に期待。 -
読みやすくて心地いい文章。加えて東洋系ファンタジー好きにはたまらない設定。シリーズ化だと信じたい。
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序章…?
うーむ。
男性キャラクターは魅力的だけど碧耀がユギに味方する理由があいまいな気が。
ただいい人なのか。そうなのか。
続きそうだけどどうなんだろう。
割とありきたりな内容だと思った。 -
9月26日読了。
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登場人物達のキャラが、良い。
師匠をはじめとする、ルーイン、イルラック、サジ。出てくる男達が、どいつもこいつも格好良い。私は特にサジが好き。
ストーリー展開も面白く、それぞれの人物の正体というのも意外性があってよかった。
ただ、まだ物語が続いていくような余韻を残した終わり方だったのが気になる。続編があったら、是非読みたい。
これアニメとか漫画にしても、いけるだろうなぁ。 -
面白くないわけじゃないんだけれど、なんとなく消化不良というか微妙。世界観が私には合わない感じ。
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おもしろかった。
やめられない・とまらない・・・
ユギちゃんの成長物語(序)といった感じ。
これからいろいろな経験をして術者として成長してイルラックとまためぐり合ってルーイとの絡みもあって!!!
絶対続きありでしょう!??
あってほしいな・・・。 -
“「……いつになったらわたしは認めてもらえるのかな。あと一年?二年?三年くらい?」
口を尖らせてぽつりとこぼす。答えを聞きたかったわけではなくただの愚痴だった。どうせ左慈がまともに参考になることを言うわけないのだし。
「そんな時間は残されていないかもしれません」
「え?」
左慈の長身を振り仰いで訊き返す。左慈が言うことはたいがいズレてはいるが、意味がわからなかった。
目を細めて左慈が微笑んだ。左慈が笑うところなど滅多に拝めるものではない。晴れた夜空に浮かぶ繊月を思わせる、薄いけれどとても澄んだ笑みだった。きょとんとして見あげるユギの頭に大きな手を乗せ、左慈は続けた。
「老師も俺も、なにより君の幸せを願っています。君の未来が、たとえば異常発生した蝗の大群が通り過ぎたあとの田畑のように果てしなく明るく開けているようにと……」
「……わたしの未来は蝗に食い尽くされるのか。夢も希望もない」
半眼でユギは突っ込みを入れる。話の繋がりがさっぱり読めない。「ユギのぶんも茶を煎れてあります。行きましょう」ユギのおさげを軽く撫でて左慈が歩きだしたので、不可解な台詞に隠された意味はうやむやになって追及しそびれた。”
ふぅ。
良かった。少し泣いて、それでもユギのこれからに期待を寄せる。
五歳のときに捨てられ、以後師匠に育てられた蝗嫌いの十五歳の少女、ユギ。
四十代独身で中背痩躯のやさぐれ道士、趙濤龍。
背のが高く感情と常識がどこか抜け落ちた青年導士にして符力の、左慈。
ユギが助け出した幼い少女(?)の龍人、珞尹。
その身躯に夷と蛙の蠱を宿す蜂蜜色の髪に白い肌の牧師、イルラック。
飾り牢の中の不思議な力を持つ美しい少女、碧耀。
珞尹の正体とか、左慈の正体とか、驚くことばかり。
師匠の性格も左慈の性格もイルラックの性格も、どれも壁井さんらしくって、自分でもすごく好きだ。
これでもかと言わんばかりに主人公をずたぼろにするのもどこか壁井さんらしい。「キーリ」のハーヴェイ思い出す。そしてその場面も自分は好き。ううう。
生々しいながらも繊細な描写で描かれた中華小説。
最後のイルラックと左慈のやり取りとか好きすぐる。
続編は……でない、かな。
でも、いい終わり方だった。
ユギがすごく好きだ。というか、登場人物みんなよかった。蛙までも。
良かった。
“「げほっ、げほっ」
息ができないほど大量に口に突っ込まれた符を吐きだしてイルラックは激しく咳き込んだ。
「なにしやがっ……」
抗議して跳ね起きようとしたが、顎の下に棍を差し込まれて押さえつけられ、さらに符を食わされる。何枚かは本気で呑み込むはめになった。山羊じゃねえんだぞ。
「手伝おう」
面白くもなさそうな顔で面白くもなさそうな声で、しかしそのわりにはやたらやる気満々で馬乗りになって袂から符をだしてはぐいぐいとこっちの口に突っ込んでくるのは、一度見れば忘れようのない異形の白髪をした、道服姿のでかい男だった。赤みを帯びた月明かりが白髪と白い道服をうっすらと朱に染めている。
符の魔人とやら、復活したのか……ていうか、
「なんの手伝いだなんの、あと降りろ」
符を吐きだしてイルラックは喚いた。棍の下でもがくが白髪の符人はまったく力をゆるめる気がない。
乾季のあいだは水が引いて河原はもっとだだっ広いのだろうが、今は雨季で増水した河川に河原のほとんどが浸食され、わずかに残った草むらも泥水でぬかるんでいる。冷たい汚水がシャツの襟から背中に浸入してくる。仰向けにされているため吐瀉物が喉に逆流してきて死にかける。
「蠱を抑えたいのだろう」
「別に手助けはいらん」
「今、蠱に支配されていたようだが」
言われるまで気づかなかった。そして慄然とした。
今、俺は誰だった?なにを考えてた?卑縷の思考と自分の思考が混ざりあい、いつの間にか卑縷が優位に立っていた。それを疑問に思わないまま卑縷の思考に同調し、子どもの臓物に舌なめずりなんてした自分におぞ気がする。
「貴殿の黒狗の蠱が街の幼子に憑いた。今からユギが蠱を祓う。蠱は貴殿に跳ね返り、貴殿は蠱が受けた苦痛をそのまま受ける。どれほどの攻撃がその身に跳ね返ってくるかはわからない。依存はないか?」
「ないね。夷が誰も殺めずに帰ってくるんなら是非やってくれ」
「けっこうな心構えだ」”