- Amazon.co.jp ・本 (177ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591118986
感想・レビュー・書評
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百年文庫は装丁が美しく、
縁のなかった文豪の作品も易しく読めるので気に入りです。
「妖」をテーマにした三作、
どれも大変面白うございました。
安吾と檀は強引。
でもその強引さに惚れ惚れします。
特に檀は物語の時代背景が似ているせいか、
芥川龍之介の「袈裟と盛遠」や「藪の中」を思い出しました。
どこか淫靡で妖しく美しい。青年時代の私の好物でした。
谷崎は、短編ひとつで映画一本になりそうなほど、
街角や劇場の人いきれが伝わってきます。
書いてあることはなんでもない話、
でも最後の白けたような切ない落ちが
この物語を胸の内に留まらせるのです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
可憐であどけなく無邪気な笑顔を持つ残酷な夜長姫の持仏を作る事になった耳男の姫への恐怖と憧憬を描く坂口安吾『夜長姫と耳男』、火焚屋の衛士の故郷に連れて行ってとせがむ帝の三の姫宮。さらって逃げた衛士は姫宮の命に従い罪のない農婦を殺す、檀一雄『光る道』、幼い頃の隠れん坊の様な気持ちを体験したく、わざと人の気付かない下町に身を隠した秘密を好む「私」は夜毎女装し出掛けた映画館で以前別れた女と出逢う。女は名も住居も秘密にし男に目隠しをして車に乗せる谷崎潤一郎『秘密』の3篇を収録した女の妖しさを散りばめたアンソロジー。
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111002読了
こういうの好きだーなのでどれもすごいよかった!
夜長姫の魅力がすごい -
うーん、女は魔物なのね。
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新着図書コーナー展示は、2週間です。
通常の配架場所は、2階文庫本コーナー 請求記号908.3/H99/16 -
◎ 谷崎潤一郎 「秘密」
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私は少しばかり妖しいということばの意味をはきちがえていたのかもしれません。谷崎以外の二篇からはなまめかしい妖しさを感じることが出来ませんでした。
私には妖というよりも歪。輪郭がはっきり縁取らた歪みのように思え、私が今まで妖という文字から連想していた、むしろ縁取られないぼかされた歪みを感じることが出来なかったからです。とても面白かったのですけれども。あ、てか今思えば妖怪の妖でもあるわけですね。なんか納得。自己完結出来ました。 -
夜長姫と耳男、秘密は既読。読んでいてあらためてすばらしすぎると思い直した。夜長姫と耳男はあの暗い、汚い、どんよりとした様子の中の無邪気さ、きれいさ、すなおさのきらめきがすばらしい。大好きだし、こころをかけるというかんじ。秘密はうっとりとした陶酔の時間がてにとれるようにとろりとした文章で描かれているのがすごい。
檀一雄が初めて読んだのだけどきれいでかわいらしい。詩のように情景がこころの中にしまわれていく。わたしもお姫様と一緒にゆれるすすきをながめていたよう、さわさわと、空に、ゆれるすすきと。夢の中にいるみたいで、うやむやなじかん。