(016)妖 (百年文庫)

  • ポプラ社
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感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (177ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591118986

感想・レビュー・書評

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  • 百年文庫は装丁が美しく、
    縁のなかった文豪の作品も易しく読めるので気に入りです。

    「妖」をテーマにした三作、
    どれも大変面白うございました。

    安吾と檀は強引。
    でもその強引さに惚れ惚れします。
    特に檀は物語の時代背景が似ているせいか、
    芥川龍之介の「袈裟と盛遠」や「藪の中」を思い出しました。
    どこか淫靡で妖しく美しい。青年時代の私の好物でした。

    谷崎は、短編ひとつで映画一本になりそうなほど、
    街角や劇場の人いきれが伝わってきます。
    書いてあることはなんでもない話、
    でも最後の白けたような切ない落ちが
    この物語を胸の内に留まらせるのです。

  • 『夜長姫と耳男』 坂口安吾

    『光る道』 壇一雄

    『秘密』 谷崎潤一郎

  • 可憐であどけなく無邪気な笑顔を持つ残酷な夜長姫の持仏を作る事になった耳男の姫への恐怖と憧憬を描く坂口安吾『夜長姫と耳男』、火焚屋の衛士の故郷に連れて行ってとせがむ帝の三の姫宮。さらって逃げた衛士は姫宮の命に従い罪のない農婦を殺す、檀一雄『光る道』、幼い頃の隠れん坊の様な気持ちを体験したく、わざと人の気付かない下町に身を隠した秘密を好む「私」は夜毎女装し出掛けた映画館で以前別れた女と出逢う。女は名も住居も秘密にし男に目隠しをして車に乗せる谷崎潤一郎『秘密』の3篇を収録した女の妖しさを散りばめたアンソロジー。

  • (あらすじより)
    幼さの残る夜長姫は美しい笑顔に似ず、残忍きわまりない。「好きなものは呪うか殺すか争うかしなければならないのよ」――姫の魅力に抗しきれぬ若い匠の恐怖と憧れ(坂口安吾『夜長姫と耳男』)。名もなき衛士が三の姫宮をさらって逃げた。突如巻きおこる疾風のようなロマンス(檀一雄『光る道』)。白粉の下に「男」を隠し「私」は街の奥へ分け入っていく。女装することで変容していく男の心理を描きだした谷崎潤一郎の『秘密』。エロティシズムと夢魔が交錯する、妖気に満ちた世界。

  • 111002読了

    こういうの好きだーなのでどれもすごいよかった!
    夜長姫の魅力がすごい

  • うーん、女は魔物なのね。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。
    通常の配架場所は、2階文庫本コーナー 請求記号908.3/H99/16

  • ◎ 谷崎潤一郎 「秘密」

  • 私は少しばかり妖しいということばの意味をはきちがえていたのかもしれません。谷崎以外の二篇からはなまめかしい妖しさを感じることが出来ませんでした。
    私には妖というよりも歪。輪郭がはっきり縁取らた歪みのように思え、私が今まで妖という文字から連想していた、むしろ縁取られないぼかされた歪みを感じることが出来なかったからです。とても面白かったのですけれども。あ、てか今思えば妖怪の妖でもあるわけですね。なんか納得。自己完結出来ました。

  • 夜長姫と耳男、秘密は既読。読んでいてあらためてすばらしすぎると思い直した。夜長姫と耳男はあの暗い、汚い、どんよりとした様子の中の無邪気さ、きれいさ、すなおさのきらめきがすばらしい。大好きだし、こころをかけるというかんじ。秘密はうっとりとした陶酔の時間がてにとれるようにとろりとした文章で描かれているのがすごい。
    檀一雄が初めて読んだのだけどきれいでかわいらしい。詩のように情景がこころの中にしまわれていく。わたしもお姫様と一緒にゆれるすすきをながめていたよう、さわさわと、空に、ゆれるすすきと。夢の中にいるみたいで、うやむやなじかん。

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著者プロフィール

(さかぐち・あんご)1906~1955
新潟県生まれ。東洋大学印度倫理学科卒。1931年、同人誌「言葉」に発表した「風博士」が牧野信一に絶賛され注目を集める。太平洋戦争中は執筆量が減るが、1946年に戦後の世相をシニカルに分析した評論「堕落論」と創作「白痴」を発表、“無頼派作家”として一躍時代の寵児となる。純文学だけでなく『不連続殺人事件』や『明治開化安吾捕物帖』などのミステリーも執筆。信長を近代合理主義者とする嚆矢となった『信長』、伝奇小説としても秀逸な「桜の森の満開の下」、「夜長姫と耳男」など時代・歴史小説の名作も少なくない。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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