真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒 (ポプラ文庫) (ポプラ文庫 お 7-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591127513

作品紹介・あらすじ

真夜中にだけ開く不思議なパン屋さん「ブランジェリークレバヤシ」に現れたのは、美人で妖しい恋泥棒-。謎だらけの彼女がもたらすのは、チョコレートのように甘くてほろ苦い事件だった…。不器用な人たちの、切なく愛おしい恋愛模様を描き出す"まよパン"シリーズ第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • いつも穏やかに微笑み、誰にも寛容なオーナーの暮林、
    パンには限りなく優しいのに、人には乱暴な口を叩くブランジェの弘基。

    見た目も性格も、まるっきり白と黒のオセロのようなふたりが営む
    深夜営業のパン屋、ブランジェリークレバヤシに
    母親に見放された希実が加わって、やっと落ち着ついたところに
    2作めの今回は、弘基がサインした婚姻届を手に、謎の美女が闖入して。。。

    1作めでは、母親のあまりの無関心・無責任のせいとはいえ
    屈折しまくって解けない知恵の輪のように頑なだった希実がちょっと苦手だったけれど
    クレバヤシでの生活にすっかり馴染んでずいぶん丸くなり、
    弘基そっちのけで暮林べったりの佳乃にやきもきしているのが可愛い。

    迷える男子たちの理想をすべて具現化したような容貌と言動で
    一躍、真夜中のパン屋さんのアイドルとなる佳乃も
    前作の登場人物たち同様、見た目にそぐわぬ深い闇を抱えていて
    その闇を、いつもは直情型で、なんでも一刀両断☆な弘基が
    めずらしくじっくり時間をかけて晴らしていく今回、
    きっと弘基ファンが倍増したにちがいありません♪

    でも、私がいちばんきゅん♪ としたのは、
    何を隠そう、覗き魔のヘンタイを自認する、あの斑目!
    佳乃を救うため、結婚詐欺の網に自ら引っかかって
    屈折した自分の脚本が好きだと言うような女の子が
    あんなに性格がいいはずはないんだ、と俯く背中を抱きしめたくなってしまって。

    そんな斑目にふってわいたようなハッピーエンドもうれしく
    (覗きのための精密望遠鏡卒業、おめでとう♪)
    血の繋がりはないはずの美和子さんと希実を繋ぐ線もうっすらと見えてきて
    なかなか図書館に入ってこない3作目が気になる、
    『真夜中のパン屋さん』2作目なのでした。

    • だいさん
      このシリーズでは、脇役が気になるんですよネ。
      2作目では、多賀田(飲食店経営)。
      名がない!
      このシリーズでは、脇役が気になるんですよネ。
      2作目では、多賀田(飲食店経営)。
      名がない!
      2013/01/06
    • まろんさん
      だいさん☆

      おお、そういえば多賀田さんって下の名前が出てきませんでしたっけ!
      でも、登場シーンが少ないわりに、いいところをさらっていきまし...
      だいさん☆

      おお、そういえば多賀田さんって下の名前が出てきませんでしたっけ!
      でも、登場シーンが少ないわりに、いいところをさらっていきましたよね(笑)
      4月からドラマ化されるそうですけれど、とりあえず1作目だけなのかなぁ?
      2013/01/07
  • シリーズ2作目。
    「ブランジェリークレバヤシ」に突如現れた美女。
    彼女を中心に起こる様々な出来事に翻弄される3人。
    しかも彼女は更なる秘密も抱えていて…。
    チョコレートのように甘くほろ苦く。
    そんな恋愛模様が今回綴られていました。
    とは言っても少しハードなものもありましたけどね。
    事件に振り回されつつもクレバヤシファミリーの結束は堅いですね。
    また次回も読んでみます。

  • シリーズ2作目。
    弘基の元カノ、佳乃が結婚詐欺になっていて、ブランジェリークレバヤシのみんなで、彼女を救おうとするストーリー。

    その過程で、弘基の過去や暮林の亡き妻、美和子のことも少しずつ明らかにされていき、益々登場人物に感情移入してしまう。。

    少しミステリーっぽい展開もありながら、最後は、心優しい変態、斑目氏と、佳乃の双子の姉である綾乃が付き合うことになったり、暮林さんが妻の死後、初めて未来の約束をできるようになったりと、主要メンバーが少しずつよい方向に進んでいて、自分まで嬉しくなった。

  • 弘基の過去からの思わぬ訪問者に揺れる午前1時。
    褒められる方向じゃないけれど、女の子の天才・佳乃。
    華やかで甘やかな容姿と声と思わせぶりな態度で
    ぐるんぐるんと周りを台風の目のように絡めとり
    こだままで夢中にさせちゃう魔女っ子っぷり!

    軽快なテンポとは裏腹に重いものがぐいぐいとのしかかりつつ。
    それぞれに抱える心の傷と、衝撃の展開と、おいしそうなパンに
    今回も涙も涎も止まらない。
    クロワッサンにシュトレン、ガレッドデロワ!!!
    大好きなパンやイベントが詰まってて、いちいち大興奮!!

    ファンタジー力の相当逞しい進化する変態・斑目氏にもびっくり!
    いや、うそ、うそーー!?な展開でうれしいけど、
    "バレンタインの奇跡"恐るべし!そして次巻からは斑目氏の
    変態の矛先がどう変化していくのかも楽しみ[笑]

    ―――愛情なんていう、形のようわからんもんは、
    わかりやすく見せたほうがええ。―――

    好きだから好き。
    そうでなくても人間の心は複雑で、恋なんてしてしまうと
    それは更に複雑にこじれて捩れてしまったり。
    大切な大切な想いだからこそシンプルでストレートな
    感情でありたいなと思う。

    パンが大好きな旦那さんで、いつの日か自分の子供にも
    おいしいパンを食べてもらいたくて、自分なりにいろんなパンの
    研究をしながら楽しんで焼いていたけど、子供を亡くし、
    体と心の調子を崩して、もう2年ほどパンを焼いていない。

    でも、真夜中のパン屋さんを2冊読み終えて、
    パンを焼きたいなぁと心から思ってる自分がいた。
    たかがシュミのパン作りではあるけれど、
    私にとってパンを焼くことはとても大切な日常だった。

    ブランジェリークレバヤシから差し出された傘が
    私の中で1つの小さな光になってくれたから
    またパンが焼きたくなったんだと思う。
    希実ちゃんやパン屋さんを訪れる人たちと同じように
    私も本の中でブランジェリークレバヤシを訪れるたびに
    柔らかいキモチや元気をもらっていることに心から感謝したい。

    すぐ側にいる人に限らず、いつだって人は人と関わって
    誰かを救ったり救われたりして生きている。
    ほんの少しでも誰かの傘になり得た人生ならそれで十分だと思う。
    小さな傘が届けられるように私もがんばろう。

  • 今回の事件は結婚詐欺です。
    変態の斑目氏が不覚にもカッコよく見えてしまいました。
    『パン屋さん』を取り巻く人々がやさしいパンとチョコレートの香りに癒される様子が読んでて、心地いいです。

  • シリーズ2作目
    真夜中のパン屋さんへ突然飛び込んできたのは、弘基のモトカノ?
    なにやら秘密があるような佳乃さん。
    うやむやのまま、パン屋で一緒に暮らすことになる。
    清楚で八方美人な彼女はあっという間に看板娘になり、クレさんも魔の手に?斑目さんはゾッコン?
    なるほど「恋泥棒」なのね。

    すっかり「ブランジェリークレバヤシ」に馴染んだ希実ちゃんの新参者への視線が厳しい。
    自分も人のことは言えないと思いつつ、ムカムカもやもやする様子が可愛い。
    とにかく佳乃さんには最後まで同情も共感もできず、後半は話に入り込めず。残念。
    今回は班目さんの活躍がスーパー。
    ファンタジーな恋愛が他人事には思えず、彼には幸せでいて欲しいと切に願う。
    多分、自分で幸せを探せる人だとも思うし。

    クリスマスのシュトレン、ガレットデロワ、バレンタインのクロワッサンラスク、多賀田のワインのお店。
    とにかく美味しそうー!!
    パンの奥深さに触れた。
    以前、デニッシュを作るキットを自宅で作ったことがあったけど、バターと生地がデロデロになって泣きそうだった。そうか室温から管理してんだ。

    弘基の悪夢、クレさんの独白、希実ママの恋バナ、どれも重いけれど、ちょっとづつ前進してる。
    そのことにちょっとホッとする。

    「間違った傘でもいいと思う。なんの手も差し伸べられない絶望よりはずっといい。お門違いな傘でも、上手く掴んで川から這い上がれる人だっているかも知れないし」
    この「だれかの傘」とパン屋さんがふと小公女セーラに甘パンをおまけしてくれたパン屋さんと重なった。
    そういうことなのかも。
    それなら誰でもちょっとした「傘」を差し出すことができるね。

    「未来の約束を、俺はしたんやな。」

  • 作中に出てくるパンが美味しそう〜〜〜!!!
    食べたくなる〜〜〜!!!
    常連さんも一致団結して事件を解決していくところが好きだなぁ。

  • 『真夜中のパン屋さん』TVドラマ 地上波放送決定!! | ポプラ社
    4月にBSプレミアムで放送したプレミアムドラマ「真夜中のパン屋さん」が好評につき、11月から総合テレビ「ドラマ10」(毎週火曜よる10時)で再び放送することが決定しました!
    http://www.poplar.co.jp/info/news/007613.html

    ポプラ社のPR
    「おかげさまでシリーズ累計30万部突破!!
    大反響のベストセラー
    “まよパン”シリーズ第2弾!
    パン屋さんに、恋の嵐到来!!
    どうなるバレンタイン!?

    真夜中にだけ開く不思議なパン屋さん「ブランジェリークレバヤシ」に
    現れたのは、美人で妖しい恋泥棒――。
    謎だらけの彼女がもたらすのは、チョコレートのように
    甘くてほろ苦い事件だった・・・・・・。
    不器用な人たちの、切なく愛おしい恋愛模様を描き出す
    “まよパン”シリーズ第2弾!!」

  • 同じ女を愛した二人の男と、その彼女に導かれるようにしてやって来た一人の少女。そんな三人が集い、真夜中にだけ開店するパン屋に、またしてもとんでもない客が来る。
    どんなに嫌な人間もそれはほんの一面にすぎず、奥底では深い闇を抱え、そこから抜け出したいと願っている。そして、闇から救われた人間は、やはり誰かを助けたいと願って走る。幸せになれなくても、救われたい、救いたい。そんな気持ちが自分の中にもあることを思い出させてくれる。

  • シリーズ2作目。
    章により、いろいろな人の視点で書かれているのが面白い。男性陣が何だかんだみんな優しい。
    赤の他人だったはずの希実と美和子が、過去にも会ったことがあったという終わり方。どういう繋がりがあったんだろう?

  • このお話は何なのでしょう?ファンタジーのような、ミステリーのような・・・。
    読んでいくうちに、あれ?これってこんなお話だったっけ?みたいな。
    今回は途中から謎解きまで入ってきて…1冊で何度もおいしい状態になってきています。
    大体、え?この女誰?そして弘基そんな風に出ちゃってどこへ行くの?そしてそしてのこの写真どうして???
    面白いですね~、香ばしくて、優しいふわふわしたパンの皮を被った
    ものすごいお話ですよ!これは!
    次巻も早速読ませていただきます。

  • ヒロキの物語
    分かれた同級生の彼女が訪ねてきた、居候。結婚詐欺をしているようだ、男に追いかけられている様子。双子の姉妹=居候は姉、詐欺は妹(美人の双子)に斑目は結婚願望。中学同級生から、妹を助けてほしいと請願され乗り出す。

    「誰かの傘になれるような」

    今回の事件は別にパン屋でなくても良かったのではないか?と思うのだが?
    多賀田(飲食店経営)の想いに胸がつまる。
    カバーの絵はバレンタインのチョコレートか?

  • パン屋さんシリーズ第二弾。
    ちょっと気になるのは、いったい何時の所までこの本はシリーズ化されるのだろうというところですw

    内容は3人のもとにやってきたある女性にまつわる話。
    どんどん巻き込まれて、正直迷惑な存在だけれど、手助けしてあげちゃう優しいところがこの3人らしい。

    内容は意外とえげつない部分もある気がしましたが、大沼さんの書き口によって柔らかく、そして憎たらしくなく書かれていて、どの登場人物も恨めません。
    もちろん悪い人間も出てくるのですが、社会の中でそういう部分は少なからず存在してしまって、目をそらすのではなく、どう共に過ごせるようになるのか、に焦点が当たっている気がして、なんとなく心があったまりました。

    勢いがあるわけではありませんが、このまったり雰囲気に癒されます。

  • 読むのは時間がかかったけどじんわり染み込んでいくような素敵な小説です。真夜中に開くパン屋さんの人間ドラマをさらに掘り下げた2作目でした。昔ドラマをちょっとみて興味をもってからちみちみ少しずつ楽しみに読んでいます。次回作も面白いといいなぁ

  • まよパンシリーズ ②
    弘基の元カノは、結婚詐欺師?斑目氏に恋の魔の手が…。

    おいしいクロワッサンが食べたくなったー!!
    バターたっぷりの、サクッとした食感の高カロリーな奴ー笑
    クロワッサンだけでなく、話の内容も楽しめたよー。

    弘基の元カノの佳乃が突然、ブーランジェリークレバヤシを
    訪ねてくる。
    希実としては、彼女がどうも胡散臭い女って感じで、
    今一つ信用できない。
    そんな彼女が大金を持っていることを知り、ますます
    胡散臭さが際立つー!!
    どうやら、結婚詐欺をしてお金儲けしている様子。
    でも、佳乃にはいろんな過去があり、そして、いろんな
    現在へと繋がっていたー。

    どちらかというと、弘基メインの話だっなぁー。
    そして、斑目氏と綾乃さんのバレンタインの話に
    ちょっと、ほっこりしてしまいましたー(*´ω`*)

  • 真夜中にだけ開く不思議なパン屋さん
    「ブランジェリークレバヤシ」に現れたのは
    美人で怪しい恋泥棒――。

    佳乃ちゃん(綾乃ちゃん?)の言動は怪しげでミステリアス。
    ちょっと身勝手だなぁ...という気にもなったけれど
    幸せな暮らしを取り戻したかったのね。

    班目さんがいいです♪
    憎めなくて応援したくなっちゃいます。
    希実ちゃんもすっかり馴染んで少し大人になったような...。

    弘基からも暮林さんからも愛されて、ライバルともいえるふたりなのに
    パンで共有しあうことができていて、いったい美和子さんという女性は
    どれだけいい人だったのでしょう...

    もっともっと心のうちが知りたい覗いてみたいです。

  • 真夜中だけ開く不思議なパン屋さん「ブランジェリークレバヤシ」に現れたのは、美人で妖しい恋泥棒…。謎だらけの彼女がもたらすのは、チョコレートのように甘くてほろ苦い事件だった…。不器用な人たちの、切なく愛おしい恋愛模様を描き出す“まよパン”シリーズ第2弾!!

  •  夜11時から翌朝5時まで、真夜中だけ開くパン屋さん「ブランジェリークレバヤシ」の3人と、彼らを取り巻く人々の温かい交流を描いた「真夜中のパン屋さん」シリーズの第2弾。

     今回は、ブランジェ(パン職人)の柳弘基の前に突然現れた元カノが巻き起こす騒動が中心。とはいえ、内容は先に見たドラマの印象が強くてふむふむという感じ。
     原作ならではの場面では、バレンタインの件(くだり)がちょっと楽しかったなぁ~。

  • 前半の佳乃が現れたくだりは面白かったけど、後半の伏線回収は個人的には失速気味と思った。
    誰かを救うこと、救われること、誰かの傘になれるかどうかという部分は考えさせられたけど、感動というところまではいかなかった。
    斑目氏の恋愛は変態ぶりが炸裂していて笑えた。斑目氏に佳乃の正体について話した希実が絶交!と言われ、絶交なんて言われたのは小学生以来だという場面がツボでした。
    美和子さんと小さな頃の希実が会っていたことが次回への伏線なのかな?

  • まよパンシリーズ第2弾。人物紹介的にいろんなエピソードで構成されていた1巻と違い、今度は全編を通して弘基の中学生時代の元カノである佳乃を巡るお話。各章の構成も上手い(特に斑目氏の変態全開の妄想恋愛は清々しさを通り越してもはや格好いい!)が、要所要所に引きのある謎が配置されていて、とにかく読ませる展開となっている。冒頭の「救うことは、救われることに通じている」という台詞のとおり、救いがテーマとなっていて、笑顔の増えた希美とこだまの姿も楽しそうでとてもいい。果たして自分は、誰かの傘になり得るのだろうか。

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著者プロフィール

1975年、岐阜県生まれ。2005年に「ゆくとし くるとし」で第9回坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、小説家としてデビュー。『真夜中のパン屋さん』で注目を集める。

「2019年 『路地裏のほたる食堂 3つの嘘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大沼紀子の作品

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