([な]9-1)きみはいい子 (ポプラ文庫 な 9-1)

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591139752

感想・レビュー・書評

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  • 2013年本屋大賞4位。

    同じ町で行われていた子ども虐待5つの話。

    虐待している人、されている(た)人の思考ロジックってホントにこんな感じなの?
    かなりブルーになりますが「虐待」を知るいい作品です。

    2児(小学生)の父親としては、涙なくして読めません。

  • 心に傷を負う家族とその周囲の人々を描いた短編連作集。人によっては読むと辛くなるかもしれないけど、それでも生きて行かねばならないということを再確認するにはちょうど良いと思う。

  • とある街で、少しずつ登場物がリンクしている短編集。
    読み始めは苦しくて辛いけれど、最後は少しだけ光が射してホッとさせてくれる。
    ほんの少しの違いで起きる哀しい事、でも何処かで誰かが気づいてくれて、たった一言でどれだけ救われるんだろう・・・そんな思いが巡る物語。
    「きみはいい子」・・・みんな、いい子なんだよ。
    否定される事が怖い者にとって、どれだけ救われる言葉なんだろう・・・

  • 同じ町を舞台にした5作の短編集。
    被虐待児が登場するとの事で前々から気になっていたところ、ちょうど文庫化されていたので購読しました。


    『サンタさんの来ない家』
    学級崩壊させてしまった新任教師。保護者が給食費を払わない神田さん(この学校は男子でも「さん」呼び)。
    「誰でもいいからおうちの人に抱きしめられてくる」という宿題がクラスの児童と先生に変化をもたらした。でも神田さんは……。

    『べっぴんさん』
    虐待を連鎖させたママ。
    「やぼったい」と主人公が見下していたママ友はすべてをお見通しだったという点に何か象徴的なものを感じました。

    『うそつき』
    小学生の我が子を見ながら自身が子供だった頃の友達を思い出すお父さん。
    被虐待児は嘘をついてでも虐待されている事を家の外には言えないんですよね。

    『こんにちは、さようなら』
    独り暮らしのおばあさんと家の前を「こんにちは、さようなら」とあいさつしながら通る男子児童。
    彼におばあさんが癒されたように、彼の母親もおばあさんに救われた。

    『うばすて山』
    老いた母親はかつて自分を虐待していた。そんな母を3日間世話する事に……。
    痴呆の始まった母親は虐待の事など綺麗に忘れている。
    「ずるいよ、お母さん」と涙する主人公が切ない。


    レビューを見た限りではもっと強烈な虐待が描かれているのかと思っていましたが、案外綺麗にまとめられていました。
    『べっぴんさん』での叩く・蹴るの描写は経験者には確かに辛いかもしれませんが。
    被虐待児は「自分が悪い子だから」と自分のせいにしてしまいますが、タイトルのとおり「きみはいい子なんだよ」という言葉を欲しているのだなと心から実感しました。

    身体的虐待と育児放棄が主に描かれていますが、精神的な虐待の物語も読んでみたいです。
    表面化しにくくて分かりづらいぶん物語にもしにくいでしょうが、「やさしい虐待」を受けて大人になっても苦しんでいる人は多くいるので……。

  • 虐待をテーマにした短編集です。

    一番最初の、新米教師が学級崩壊させちゃうお話は胸が痛くなった。先生は決して悪い人じゃないのに、上手くいかないもどかしさ。先生が温かい家庭に育った人で良かったな。

    公園に集まるママ達のお話も痛い・・・
    外ではニコニコしているママ達も、家では怒鳴ってるに違いない、って私も思ってました。
    虐待までいくかどうかは紙一重なんじゃないかなぁって思えて怖くなりました。

    母親が子供に与える影響の大きさをまざまざと見せつけられ怖いし、反省しました。
    「お母さん」と呼びかけられて「は~い」なんて優しく答えた事が最近あるだろうか?「なに!!」って眉間にしわ寄せて言っちゃってる気が・・・

    どのお話も辛くて痛いですが、最後にはかすかな光が射す、その微妙な救いがなんとも言えず絶妙でした。
    一人でも誰かが温かく見守ってくれたら、「きみはいい子だ」って言ってくれたら、人は強く生きて行ける。そういうメッセージを感じました。

  • 答えなんかない。最善の方法はみえてる。けど、それができるかは自分次第。

  • 日本の今を切り取ったような五編から成る連作短編。学級崩壊、虐待、モンスターペアレント、老いた親…様々な人々が抱える悩みや問題を同じ街を舞台に描かれる。

    五編の中には、微かな救いを感じる作品もあるのだが、いずれも明確な答えは描かれておらず、あとは読者に考えさせるような作品になっている。それ故、非常に歯切れの悪さが残り、帯に書いてあるような『心揺さぶる感動作』とは思えなかった。

    読み手の自分のレベルの低さなのか、2013年本屋大賞第4位、第1回静岡書店大賞第1位、第28回坪田譲治文学賞受賞には納得出来ない作品だった。

  • 2023.9.7

  • 一万円選書!

    選書って本当にすごい、自分では選ばないだろうなというタイトルと表紙の作品が刺さりまくってびっくりする。
    西の魔女が死んだと並んで、お守りになりそうな本だった。

    短編の主人公それぞれがいろんなことを抱えていて、その事実も過去も変えられないけど、そのままの主人公たちがちょっと救われる瞬間がちゃんとあって、それがとってもきらきらしてた。何かを変えたりしなくとも、これでいいんだって思わせてくれる強さ。

  • 「みんなに難しい宿題を出すことにしました…
    家族に抱きしめてくることです。」
    人から愛情をもらうことの大事さを感じた。
    虐待が世の中からなくなって、親から愛される子どもが増えて欲しい。また自分も自分の子どもに愛情を100%注げるような親になりたいと思った。
    自分の言っていることは綺麗事だとは分かっているが、、

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著者プロフィール

徳島県に生まれ高知県で育つ。高校在学中に坊っちゃん文学賞を受賞。筑波大学で民俗学を学ぶ。創作、昔話を再話し語る。昔話集に『女の子の昔話 日本につたわるとっておきのおはなし』『ちゃあちゃんのむかしばなし』(産経児童出版文化賞JR賞)、絵本に「女の子の昔話えほん」シリーズ、『つるかめつるかめ』など。小説に『きみはいい子』(坪田譲治文学賞)『わたしをみつけて』『世界の果てのこどもたち』『神の島のこどもたち』などがある。

「2023年 『世界の女の子の昔話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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