([な]9-1)きみはいい子 (ポプラ文庫 な 9-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591139752

感想・レビュー・書評

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  • 虐待やネグレクトをあつかった連作短編集。
    とてもデリケートなテーマだけに、連作短編集という、ギミックを要する手法は、よほど技術が高度でない限り、あざとく伝わってしまうのではないかと、余計な心配をしながら読みおえた。

  • もう辛過ぎて読む手が止まってしまった。

    5篇の短編集。

    どれも辛く、悲しい気持ちになる。
    苦しい、苦しい。
    でもほんの少しだけの優しさに救われる5つのお話。

  • 「子どもの対するやさしい気持ちを充電したい」のコピーとヨシタケシンスケの表紙に惹かれて購入。(ヨシタケシンスケ好きだけど、最近多すぎてちょっと食傷気味・・・)

    すべての話がほんのり不幸なので、やさしい気持ちというよりも悲しい気持ちになってしまった。

  • 虐待を様々な立場の人から描いた短編作。

  • 虐待で辛い思いをする子どもたちや、昔そんな思いをした大人たちにも、救いとなる人がいてよかった。

    「うそつき」の中で心に残った文。
    「たとえ別れても、二度と会わなくても、一緒にいた場所がなくなったとしても、幸せなひとときがあった記憶が、それからの一生を支えてくれる。どんなに不幸なことがあったとしても、その記憶が自分を救ってくれる。」

  • 5篇全部辛い、劇的な展開や都合のいいハッピーエンドじゃないのがリアルでよかった。

  • 借りたもの。
    フィクションとして読めない生々しさ。
    現代のどこかの街のどこかの家庭で起こっている児童虐待、トラウマ、そして介護の問題……
    5つの物語は違う物語であるが、相互に関連性、別の視点から見た物語のように見受けられる。

    連綿と受け継がれた親子の負の遺産だろうか……
    子供は「認めてもらいたい」「愛されたい」と叫んでいる。
    親はその余裕が無い。子供の頃にそんな経験が無かったから――

    この本に円満な解決は描かれない。ただ、ほんの少しの希望の光が差す。
    それが傷ついた子供も大人も救う力になり得る。

    ほんの少し抱きしめたり、認められればそれで人は仕合わせになれる。
    それは同情ではない。良い面を素直に受け止める/受け止められることでもたらされる。

  • 児童虐待の連作オムニバス。

    読みやすかったので、すぐ読み終えることが出来た。

    悲惨なだけでは無く、救いがあるのはホッとする、それぞれ良く出来ているが、過干渉や性的虐待の話は無く、かなり甘いかなと思った。

  • なんだか、日記のような文章だなあと思った。
    小学生の子供が主人公の話だから、簡単な文章なのかと思ったら違った。
    しばらく読むとその文章にも慣れる。
    最初の話は、もう少し長く書いてほしかった。
    本では終わっていたけれど、本当はそこからの話が一番興味あるところなのに。
    そこで終わっちゃうんだぁという感じ。

    あとは、どの話も不覚にも泣きそうになってしまった。
    最初は気になっていた日記のような文章も、簡潔で分かり易く、スッと心になじむ。
    いい本だった。

  • 同じ町を舞台にした5作の短編集。
    被虐待児が登場するとの事で前々から気になっていたところ、ちょうど文庫化されていたので購読しました。


    『サンタさんの来ない家』
    学級崩壊させてしまった新任教師。保護者が給食費を払わない神田さん(この学校は男子でも「さん」呼び)。
    「誰でもいいからおうちの人に抱きしめられてくる」という宿題がクラスの児童と先生に変化をもたらした。でも神田さんは……。

    『べっぴんさん』
    虐待を連鎖させたママ。
    「やぼったい」と主人公が見下していたママ友はすべてをお見通しだったという点に何か象徴的なものを感じました。

    『うそつき』
    小学生の我が子を見ながら自身が子供だった頃の友達を思い出すお父さん。
    被虐待児は嘘をついてでも虐待されている事を家の外には言えないんですよね。

    『こんにちは、さようなら』
    独り暮らしのおばあさんと家の前を「こんにちは、さようなら」とあいさつしながら通る男子児童。
    彼におばあさんが癒されたように、彼の母親もおばあさんに救われた。

    『うばすて山』
    老いた母親はかつて自分を虐待していた。そんな母を3日間世話する事に……。
    痴呆の始まった母親は虐待の事など綺麗に忘れている。
    「ずるいよ、お母さん」と涙する主人公が切ない。


    レビューを見た限りではもっと強烈な虐待が描かれているのかと思っていましたが、案外綺麗にまとめられていました。
    『べっぴんさん』での叩く・蹴るの描写は経験者には確かに辛いかもしれませんが。
    被虐待児は「自分が悪い子だから」と自分のせいにしてしまいますが、タイトルのとおり「きみはいい子なんだよ」という言葉を欲しているのだなと心から実感しました。

    身体的虐待と育児放棄が主に描かれていますが、精神的な虐待の物語も読んでみたいです。
    表面化しにくくて分かりづらいぶん物語にもしにくいでしょうが、「やさしい虐待」を受けて大人になっても苦しんでいる人は多くいるので……。

著者プロフィール

徳島県に生まれ高知県で育つ。高校在学中に坊っちゃん文学賞を受賞。筑波大学で民俗学を学ぶ。創作、昔話を再話し語る。昔話集に『女の子の昔話 日本につたわるとっておきのおはなし』『ちゃあちゃんのむかしばなし』(産経児童出版文化賞JR賞)、絵本に「女の子の昔話えほん」シリーズ、『つるかめつるかめ』など。小説に『きみはいい子』(坪田譲治文学賞)『わたしをみつけて』『世界の果てのこどもたち』『神の島のこどもたち』などがある。

「2023年 『世界の女の子の昔話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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