- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591145616
感想・レビュー・書評
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「いつも心に棺桶を」「松竹梅で言えば蓼」
風変わりなフレーズが要所で登場する、一風変わった作品だというのが第1印象でした。
登場人物もしかり。浮き世離れした人々が次々と出てきます。テンポといい醸し出される空気といい、川上弘美ワールドかと見紛うよう。これがデビュー作とは驚きでした。
それにしても登場人物が皆、キャラが立っていていい。中でも特に菫さんが強烈です。妙のいびつと言ってもいい不器用さを叱咤するのですが、菫さんもなかなかに不器用です。なのに偉そうなのです。そしてそこがまた魅力的なのでした。(いちばん気に入ったのは妙の父親ですが。)
でも、生きる指針になりそうなフレーズ(「余白は大切」「寂しいは人間の標準仕様」「強いは弱いの対極じゃなく、弱さから目をそらさないのが強いってこと」等)が多く出てきていることや、主人公が少しずつ自分の殻を破っていくさまが描かれている(妙の場合はかなりヘンだが)ことなどから、やはり寺地ワールドなのだとニヤついてしまいました。
寺地はるなさん、最初からいい作家さんなのですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者の小説の登場人物はほんとうに魅力的な人が多いなぁと思う。
揺るぎなくて料理のできない菫さん。
誰かの庭になる、時々眼光の鋭い千歳さん。
父と母とことを一番理解している蓮太郎。
彼らに囲まれて、妙が変わっていく物語。
千歳さんの、「ボタンはいじらしい」発言とかすごく好きです。 -
人は孤独、だけど人は人に支えられたり勇気づけられたりしながら前に進んでいくのだな、思った。
妙が千歳さんに「どうってことないよ」と言ってもらうシーンはなんだか涙がでそうになった。誰かにそう言ってもらうことで、大丈夫って思えることはあるし、そう感じさせてくれる人を大事にしよう、と思った。
私も誰かの庭になれたら、と思った。 -
いつも心に棺桶を。
おしゃれというより武装
ボタンはいじらしい
余白は大切
揺るぎなさ(菫の持つ)
気まぐれな人にあっても動じない
さびしいのは標準仕様
千歳さんの心は美しい庭
必要とされてないのがつらい
「妙」という名前の意味
おかわりの回数の差は愛の差だバーカ
海に囲まれていて、逃げ場がない
棺桶に入れたいのは「海」
主人公の妙のまわりの人がみんな優しくて強くて弱い。
初めての寺地はるなさん。ブログははるか昔から拝読していましたが。
読後感はふわぁと包まれた感じ。
他の小説も読んでみようと思います。 -
もし、実写化するのなら菫さんは天海祐希さんでお願いしたい。
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主人公のダメっぷりにかなり嫌悪を感じますが、なぜかどんどん引き込まれます。結末に一安心。
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言葉選びが秀逸でするすると読めてしまった。お店の描写や地の文の言葉が面白い。
主人公の喪失と救済の物語と銘打たれるんだろうけど、救われたのは主人公だけじゃない。人と関わることで、人は傷つくし救われる。そうした、人を見つめた物語。欲を言えば、もっと掘り下げてほしかった人が何人かいた。 -
文章はとても上手。ユーモアもあって読後感はいい。
でも、どういう話かいまいち掴みづらい。作品解釈を楽しむためにはもう少し奥行きと抽象的な意味が欲しかった。 -
言葉ひとつひとつが丁寧に扱われており、とても好きな作品。妙と自分が似ており自分をしっかり持つことを意識し自己改革をした覚えがある。
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話を盛り込みすぎてごちゃごちゃしていて、各登場人物の人物設定もぶれている印象。