- Amazon.co.jp ・マンガ (241ページ)
- / ISBN・EAN: 9784592132165
感想・レビュー・書評
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■桃園の柱の穴より児の手の人を招くこと
冒頭、晴明の陰陽道講義が始まるのですが、よく連載一回の中でここまで簡潔に原理を説明しちゃえるなぁ~と感心させられました。ただ、最後に渦が出てくると、『ガラスの仮面』を思い出して「ああ、渦が…」とか余計な事考えちゃいましたが…orz
大納言・源高明の屋敷・桃園邸の柱の穴から赤ん坊の手が出てくるという怪奇現象が起きる。柱の穴に矢を突き刺したところ、手は出なくなったが、今度は天井から指がぽとり、と落ちてくるように。今度は天井に矢を打ち込むと、指は落ちてこなくなったが、今度はどこからか蛙が現れるように…
博雅をはじめ普通の人間はこれを怪奇現象と考えるが、ここで効いてくるのが冒頭の「安倍・陰陽道の実況中継」講義。この怪奇現象の原因をしっかり解き明かしてくれます。ただ、この辺からどんどん訳の分からないものが出てきて(本巻だと比丘尼)、それがきっちり説明されないまま晴明だけが「あああ…」と物憂げに独り考えるようになります。それがやがて…
■源野博雅 朱雀門の前に遊びて鬼の笛を得ること
これは『十訓抄』にも見える話をモチーフにしたもの。
源博雅が一人、夜な夜な朱雀門で笛を吹いていたところ(それにしても公卿のすることじゃねえよな(笑))、妖しげな男と笛を交換することに。それが「葉二(はふたつ)」。
さて、博雅が鬼と笛の交換をしている頃、橘則光は野盗の類と遭遇、逆にこれを斬り伏せています。
そして、同じ頃、三条の堀川橋には妖しげな女が現れるように。「牛車を降り、徒歩にて渡ってくれ」「朽ちた堀川橋の架け替えを延期してくれ」と頼むが、それが聞き入れられないと炎の幻術を以て追い返すというもの。
全然違う三つの話が同時進行するのだが、それがやがて一つの話に収束していくのが心地良い。やっぱり本作の魅力は「平安怪奇謎解き絵巻」にあると改めて思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
博雅が葉二つを手に入れる話。
(2001年01月28日読了) -
図書館の本
博雅を借りて清明がいろいろな理を教えてくれているような巻で面白かった。
相変わらず博雅がかわいい♪
吉兆を吉兆とわからないのも悲しいです。
そして喜びごとを喜びごとと出来ない人間関係も複雑でそして悲しい。
白蛇のために笛を吹く博雅はいい男だと思います。
牛車のサスペンション。。。。。 -
「原作を越えた」と原作者の夢枕獏に言わしめた作品。絵の美しさと大胆な展開が他の追随を許しません。漫画の域を超えています。特に後半の、原作からどんどん飛躍していく物語に関して、僕はおそらくその10%くらいしか理解できていなく、正直なところ「玄象と巻き物かわいいな」、くらいの勢いの駄目読者なのですが、その世界観には大いに感銘を受けました。
10巻以降、辞書みたいな厚さで、腕が疲れます…。 -
初版:1999/09/01