トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか (ヤマケイ文庫)

  • 山と渓谷社
3.86
  • (28)
  • (54)
  • (30)
  • (4)
  • (2)
本棚登録 : 414
感想 : 43
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635047463

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  低体温症の恐ろしさよ。己が正常だと思っているが、徐々に判断がつかなくなるのは怖い。ふとした拍子に、簡単にひとはしんでしまう。

     山岳ツアーの話は本当に難しい。
     ツアーだからガイドが守るというだろうが、過剰に防衛して、登れたかもしれない山を取りやめることはクレームにつながらないだろうか。帰りの飛行機は予約しているのに行程を遅らせていいのかとか、本当に迷う。
     もちろん命あっての物種なのだが、命を失うとは思っていないから難しい。  

  • 2009年の大惨事となったトムラウシ山事故の詳細な報告本

    低体温症で恐ろしいのは頭が悪くなってしまうというところであるということがよくわかる

    残念なところは,当然ながら死人からの証言は取れないところで,こういうのは間違ったケースのほうが役に立ちそうだと思った

  •  山ノボラーとしては必読の本。
     
     遭難事故があると、どうしても、
    安易な登山者による、、、軽装による、、、危機意識のない、、と報道されがちだが、事実を紐解いていくと、登山者たちは、少なくともそこそこ経験があり、最低限の装備はされていたことが明らかになる。

     報道って、要約してしまうが故に、真実は語られないのか?

     さて、筆者自体はツアー登山の危険性について訴えるべく、話が展開していく、しかしながら、生存者の感覚とは、微妙なずれがあることに気づかざるを得なかったという。とにかく、便利が故に使われるツアー登山には、その特性が故に危険性を持っていることは留意すべきである、ただし、留意したうえで利用する登山者を否定できないとも思う。

     どうでもよいところから語ってしまったが、この本は、遭難に関するドキュメントが証言によりまとめられていて、臨場感を感じながら読み進めることができる。ここまで来ると、決して語られることのない犠牲者たちの声を聞いてみたいものである。

     そして、私としては、こうした経験談を読むことで、自分の山行を反省し、チャレンジしつつもより安全に危機管理した登山を目指したいと、強く思った。

著者プロフィール

1961年埼玉県生まれ。ノンフィクションライター。長野県山岳遭難防止アドバイザー。山岳遭難や登山技術の記事を、山岳雑誌「山と溪谷」「岳人」などで発表する一方、自然、沖縄、人物などをテーマに執筆活動を続けている。おもな著書に『ドキュメント 生還』『ドキュメント 道迷い遭難』『野外毒本』『人を襲うクマ』(以上、山と溪谷社)、『山の遭難――あなたの山登りは大丈夫か』(平凡社新書)、『山はおそろしい――必ず生きて帰る! 事故から学ぶ山岳遭難』(幻冬舎新書)などがある。

「2023年 『山のリスクとどう向き合うか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

羽根田治の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三浦 しをん
J・モーティマー...
ジャレド・ダイア...
クリス・アンダー...
池井戸 潤
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×