たいせつな一日: 岸田衿子詩集 (詩と歩こう)

  • 理論社
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本棚登録 : 49
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (123ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652038499

感想・レビュー・書評

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  • 詩集が読みたくなって、図書館で探していると、岸田衿子さんの、この本を発見。パラパラ読んでいると、とてもかわいらしい詩を見つけました。

     クルミ
    りすはクルミを放したくない
    ねむるときも
    夢のなかでも
    クルミを抱きしめている

    りすはクルミを振ってみる
    ころろ ころろろ クルミは唄う
    その音をききながら
    りすは祖先の森へ旅立ってゆく

    この詩も素敵です

    南の絵本

    いそがなくたっていいんだよ
    オリイブ畑の 一ぽん一ぽんの
    オリイブの木が そう云っている
    汽車に乗りおくれたらジプシイの横穴に 眠ってもいい
    兎にも 馬にもなれなかったので
    ろばは村に残って 荷物をはこんでいる
    ゆっくり歩いて行けば
    明日には間に合わなくても
    来世の村に辿りつくだろう
    葉書を出し忘れたら歩いて届けてもいい
    走っても 走っても オリイブ畑は
    つきないのだから
    いそがなくても、いいんだよ
    種をまく人のあるく速度で
    あるいてゆけばいい


    花のかず

    ひとは行くところがないと
    花のそばにやってくる

    花は 咲いているだけなのに
    水は ひかっているだけなのに

    花のかずを かぞえるのは
    時をはかる方法
    ながれる 時の長さを

    ひとは 群からはなれると
    花のそばへやってくる

    花は 黙っているだけなのに
    水は みなぎっているだけなのに



    、、、岸田衿子さんの、自然をえがいた詩を読んでいると、無風だった自分の感性に、風が吹きわたっていくように感じました。 

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      りまのさん
      でも、もう何とかしないとヤバイかも(鴨なんて言っている場合じゃない)
      りまのさん
      でも、もう何とかしないとヤバイかも(鴨なんて言っている場合じゃない)
      2020/12/15
    • りまのさん
      にゃんこまるさん
      12月も中半になりました、、、まだ、何もしてないけど…お互い、頑張って、整理しましょう、、、
      にゃんこまるさん
      12月も中半になりました、、、まだ、何もしてないけど…お互い、頑張って、整理しましょう、、、
      2020/12/15
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      りまのさん
      にゃー
      りまのさん
      にゃー
      2020/12/15
  • シンプルな言葉で描かれる美しい自然と心象風景。岸田衿子さんの詩集を20年振りに読んだが、改めて、柔らかく瑞々しい言葉たちのとりこになった。季節の移ろい、澄んだ空気、色鮮やかな草花、愛らしい小動物。選詩集だからこそ、岸田さんの世界観を存分に味わうことができて大満足だ。
    今回は、選者による解説も大変読み応えがあった。岸田さんについては、女優・岸田今日子の姉という知識しかなかったが、お父様が劇作家・フランス文学者の岸田國士で、幼馴染みで最初の夫が谷川俊太郎だったとは今更ながら驚きだ。
    解説で紹介されていた、ちょっとシュールでコミカルなことばあそびの詩も楽しいし、幼い頃に読んだことがあるはずの絵本も改めて読んでみたいなと思う。
    表紙の草花も素敵だなぁ…と思ったら、何と、著者所有のスピネット(小型チェンバロ)に描かれた絵だなんて!言葉が、チェンバロで奏でられる音符のように感じられて本当に素敵だ。

    • りまのさん
      メイプルマフィンさん
      こんばんは。はじめまして (^^)
      こんな遅い時間に、ごめんなさい。…つい、うたた寝してしまい、さっき、眼が覚めまし...
      メイプルマフィンさん
      こんばんは。はじめまして (^^)
      こんな遅い時間に、ごめんなさい。…つい、うたた寝してしまい、さっき、眼が覚めました。
      フォローにお応え頂き、ありがとうございます。

      この、たいせつな一日 岸田衿子さんの詩集、私も去年の12月に、図書館で借りて読みました。とても素敵な詩集でした!

      それでは、これからどうぞよろしくお願いいたします (*^^*)
      2021/08/06
    • メイプルマフィンさん
      りまのさん
      初めまして!コメントありがとうございます。嬉しかったです♪
      何かと慌ただしく(それゆえ返事が遅れてごめんなさい)心すさみがちなこ...
      りまのさん
      初めまして!コメントありがとうございます。嬉しかったです♪
      何かと慌ただしく(それゆえ返事が遅れてごめんなさい)心すさみがちなこのところですが、だからこそ詩は沁みますね~。
      こちらこそ、どうぞよろしくです。時々コメントでお相手してください(^-^)
      2021/08/08
    • りまのさん
      メイプルマフィンさん
      お返事ありがとうございます♪
      私も、詩や絵本などを読んで、癒やされてます。
      コメント、大歓迎です。 (^^)
      口下手?...
      メイプルマフィンさん
      お返事ありがとうございます♪
      私も、詩や絵本などを読んで、癒やされてます。
      コメント、大歓迎です。 (^^)
      口下手?な私ですが、いつでもいらっしゃいませ ♡
      今日も暑くなりそうです。熱中症に、気をつけて、良い一日をお過ごしくださいね ☆
      2021/08/08
  • 岸田衿子詩集 (詩と歩こう)
    岸田 衿子
    水内 喜久雄 選・著
    古矢 一穂  絵
    理論社 (2005/03)

    〈どうしてこんなに透明な言葉を紡いでいかれるのでしょう
    木々や草花の歌を聴けるのでしょう
    自然豊かなところにお住まいだからだけではないですね
    画家でいらっしゃるからでしょうか

    4月に亡くなられた岸田 衿子さん
    言葉を大切にされた美しい作品をたくさん残して下さいました
    ありがとうございました

    ≪ 澄みきった 言葉を紡いで 逝った人 ≫

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著者プロフィール

1929年、劇作家・岸田国士の長女として東京府豊多摩郡に生まれる。立教女学院小学校、立教女学院女学校を経て、東京芸術大学油絵科に入学。1955年、谷川俊太郎の勧めで第一詩集『忘れた秋』を発表し、詩人としてデビューした。童話作家としても活躍し、1966年には画家の中谷千代子とコンビを組んだ『かばくん』でドイツ児童図書賞を受賞した。1973年、『かえってきたきつね』で産経児童出版文化賞大賞を受賞。

「2019年 『岸田衿子の詩による無伴奏男声合唱曲 うたをうたうのはわすれても』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岸田衿子の作品

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