- Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
- / ISBN・EAN: 9784652070710
感想・レビュー・書評
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子ども向けの本として描かれたこれらの作品には一体どんな意味があるのでしょう?
『遠くまでゆく日』(1970年)を読んだ時、前半が重苦しい展開だったのですが後半は一転して楽観的で明るい展開になったので、私は三田村さんは楽観的で明るい作品を描く方だと思っていたのです。
本書のフォア文庫版には巻末に「不思議な迷路ゲーム」という野上暁さんの解説が収録されています。それには、三田村さんの他の作品にも言及があります。
本書の原版が最初に出版された(1975年)翌年、『オオカミがきた』というこれまたショッキングな作品が発表されたこと。1980年に『風を売る男』が刊行されたこと。近作の『ドアの向こうの秘密』や『オオカミのゆめ ぼくのゆめ』はこれらの延長線上にある作品集だということ。
この辺から読んでいけば良いのでしょうか。
20世紀少年少女SFクラブ
世界は今でも落とし穴がいっぱい
【おとうさんがいっぱい】三田村信行
https://sfklubo.net/kiel_multaj_miaj_patroj_estas/
https://sfkid.seesaa.net/article/501629261.html詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
不条理さによる怖さを感じられる短編集。子供の頃より大人になった今のほうが楽しめる本。
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小学校の図書室でであった。
怖いという感覚はなく、ふしぎな世界にただ引き込まれた。
いま読むとこわい。 -
これは妹が買ってもらった本で、貸してもらって読んだんですね。
おとうさんが壁に閉じ込められて、息子に遺言を書き留めさせる話が、ふしぎで悲しくて怖くて、すごい印象に残りました。
いまでも時々思い出す。 -
談話室で怖い本として話題になっていたので。
うん、奇妙な味。トラウマになるのも頷ける。読書経験の浅い子供の頃に読んだなら、なおのこと。
何気ない日常がふとしたきっかけで見知らぬ姿に変わってしまう。その瞬間のぞっとする感覚は、おばけなんかよりずっとずっと恐ろしい。平和な町を上機嫌で散歩していて、ふと家と家の間の暗くて狭い隙間から何かがこちらをじっと見つめているのに気づいた、そんな感じ。『おとうさんがいっぱい』というひらがなの題名が、またグロテスクさを添えている。 -
『世にも奇妙な物語』のような短編が5つ。
今いる世界で確かだと思っていたことが急にあいまいになったら?
不思議な世界に引きずりこまれるような恐さが、初めて読んだ小学生の時から強く心に残っている作品。
なのに、何度もその恐さを確かめるように読み直してしまう。
佐々木マキの挿絵が場面と雰囲気にピタリとはまっていて印象的。 -
後味があまりよくないもの、読み終わった後も「あの後どうなったんだろう…」と感じる小説が好きなのですが、この『おとうさんがいっぱい』こそが、その原点だと思っています。
小学生のときに学級文庫にあり、強烈な印象が残っていた。
佐々木マキさんのイラストも不気味で、ずーっと思い出しては「あのお話はなんだったんだろう…」と気になっていた。
たまたま古本屋で見覚えのある背表紙が目に入り、あの本だ、と迷わず購入。
今読んでも強烈。
精神にくる怖さ。
日常が日常ではなくなる、目が回るような気分が味わえます。