本を読めなくなった人のための読書論

著者 :
  • 亜紀書房
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本棚登録 : 1737
感想 : 125
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750516080

感想・レビュー・書評

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  • 本を読めなくなった時は無理に読もうとせず、心の中で思っている事をテキストで書きだすと良い、という部分が読んだ時は説教ぽく感じて違和感があったけど今はむしろ助けになっている。自身が感じている問題を文章にして頭を整理する大切さを説いていると感じた。

  • この頃、あまり読書が楽しくなく、それでも何か読まなきゃいけないと焦りにも似た気持ちでいて、ふと以前にネットで仲良くしてる方が読んでいたの思い出したのがこちらの本でした。

    とても優しい語り口で、すっと若松英輔さんの言葉が心に入ってきます。

    正しい読み方は存在しない、読了数を他人と競うことは無意味、読書は数ではなく質、本は始めから最後まで読まなくてもよい、ゆっくり、ゆったり読む、等々、実践的なアドバイスや心構えが綴られています。

    ずっと本を読んできて、読書スランプに陥ると何だか気分も沈みがちでしたが、本書を読むと「読めない時間は新たな読書の扉を探している準備期間」と考えることができて、気持ちがとても楽になりました。無闇に本を読もうとはせず、じっと「その時」を待つことの大切さ。

    また読めなくなったら「書く」というのは目から鱗でした。この頃はインプットに重きをおいていたので、もう少しアウトプットに時間を割いてもいいのかなと思いました。

    本書は繰り返し読みたい、お気に入りの一冊。

  • 本を読むのが楽しくて仕方なかった。
    知らない世界を知っていく自分に感動していた。
    本屋に行けば、興味の幅がどんどん広がっていった。

    ある日、突然、読めなくなった。

    興味がなくなった。
    おもしろいと思えなくなった。

    せっかく築き上げてきたものが、崩れてしまう不安があった。

    でもこれは、『新しい読書の次元が開けるという人生からの合図』なのだと思うと、なにも焦る必要はないのだ。
    次に求めるものに出会えるまで待てばいいのだ。
    『自分を高めよう』とか『知識を蓄えて誇れる自分になりたい』とか、そのためにする読書は苦痛だ。
    言葉との出会いを楽しめるように、肩の力を抜いて、ゆっくり向き合っていきたい。

  • 読書の目的は言葉との出会い。

  •  ゆっくりと、出会いを、待つ。

  • 人と読書の関係でヘルシーなのは、他人の読み方と比較しないこと、意識しないこと、意識させる罠にハマらないこと。
    読書量や、知識量は無関係。

    正しい読み方など存在しない(激しく同意)
    読む人は、その本に何を見つけるか(いい本を読んだねとか、評判悪いよね、とかいちいち評価いらんのだわ。私が私の本に出会うだけ)

    本が読めなくなっているということは、「からだ」からの肌感覚を取り戻せ、という合図なのかも、とのこと。ロマン。
    情報収集としての読書に「からだ」が拒否反応を起こしているのかもしれない、と。

    でもそんなおかげで、この本とも出会えた。

    本を読むこと、人と話すことでいろんな自分と出会える、気づける。
    自分とゆっくり向き合えるいいきっかけになった。感謝。

  • 見逃していることの多くは既に自分の内にあることが多い

  • 知り合いのお母さんは大の読書家ですが、読むジャンルはSFやミステリーなどあまり現実的な話でないものしか読まない、と言う。その理由は現実の実生活が大変なので読書の時くらいかけ離れた世界に身を置きたい、というものだった。いわば逃避としての読書。
    読書に求めるものは人それぞれでいろいろなスタイルの読書かあるが、この本で取り上げられているのが、読まない読書。数十年、習慣として定着していても読まなく、いや「読めなく」なる時がある。その「読めなく」なることがわかりやすく説明がされているので、そのことに疑問、困惑しているひとには良き指針となる一冊。また、あえて読まない選択をすることの大切さも。いわば、読書版「こころの処方箋」、良書。79

  • 【4回目】オンライン読書会の機会を得ての4回目。もはや、私の読書論なのか、若松さんの読書論なのかがわからなくなってきている。本を読めないというのは、理由が合ってのことで、そこに喜びを見いだせなくなっているからであり、ムリをして読む必要はないとされている。おそらくだが、読めない理由の一つは、「身」が固くなっているからなのではないか。また、読めない理由は「外部」ではなくて、自分の内にあるとも。探さなければならないのは、自分のための「コトバ」であって、それは自身の内側にこそあるのだとされている。感銘深い。

  • 文字が大きめで、読むための心理的ハードルが低かった
    読めないことを肯定的に受け止められた

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著者プロフィール

1968年新潟県生まれ。批評家、随筆家。 慶應義塾大学文学部仏文科卒業。2007年「越知保夫とその時代 求道の文学」にて第14回三田文学新人賞評論部門当選、2016年『叡知の詩学 小林秀雄と井筒俊彦』(慶應義塾大学出版会)にて第2回西脇順三郎学術賞受賞、2018年『詩集 見えない涙』(亜紀書房)にて第33回詩歌文学館賞詩部門受賞、『小林秀雄 美しい花』(文藝春秋)にて第16回角川財団学芸賞、2019年に第16回蓮如賞受賞。
近著に、『ひとりだと感じたときあなたは探していた言葉に出会う』(亜紀書房)、『霧の彼方 須賀敦子』(集英社)、『光であることば』(小学館)、『藍色の福音』(講談社)、『読み終わらない本』(KADOKAWA)など。

「2023年 『詩集 ことばのきせき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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