本を読めなくなった人のための読書論

著者 :
  • 亜紀書房
3.96
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感想 : 125
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750516080

感想・レビュー・書評

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  • 今回の本は、本屋で「はじめに」を読んですぐに購入を決めた。

    「文字を眼で追うことはできるし、書かれている内容も理解できる。でも、まったく手応えがない。言葉に見棄てられたような感じがしました。連絡をしても返事がこない、そんな人との関係のように言葉が遠く感じられました。」(p.3)

    読書しなくちゃという焦れば焦るほど、「ちゃんとした」読書ができていないようなモヤモヤした思いが最近大きくなってきていました。この本は、終始「焦ることはない」というアドバイスをくれ、乱れていたペースを整えることができました。

    「まずは、時間をかけて、ゆっくりと言葉との関係を整え直していきましょう。繰り返しますが、あせりは禁物です。」(p.72)

    読書で大切なのは、確かに読むこと。それによって情報の入手としての読書から、経験となる人生のための読書へ昇華させることができるのだといいます。以前のように読めなくなった自分を情けなく思い焦っていたけど、「言葉の断食」の期間からの復食期なんだと思いなおして、今の自分が読めるものを確かに読んで、自分の血肉にしていきたい。

  • 読むことの本質に立ち返ることができる。読書においての「対話」では効率を求めず、「待つ」ことがもっとも大切。その行為は、日ごろ感じているよりもずっと、本質的かつ創造的な営み。一番、心を掴まれたのは“本を読む人が心を閉ざしたままでは、「小さな声」は聞き取れません。「効率」という考え方を忘れ、読む人が心を開いたとき、書物もまた、何かを語り始めるのです。”という箇所。この言葉に勇気づけられた。

  • 積読が多い自分ですが、読書に対してすごいハードルを下げてくれたような感じでほっとしました。
    焦らずゆっくりと自分のペースで読んでいいんだと、読書を楽しめそうと思いました。

  • すごく気持ちが楽になった

    まず、この本自体が読みやすくて
    小さい文字でびっちり
    とかではなく
    大きなフォントに短く
    優しい言葉で綴られていて
    一章も短くわかりやすく

    そもそも本が読めなくなって
    困っている人が手に取るであろうわけで

    読みやすくて
    サクサク読める
    それだけで、あ、読めた…と思って
    読書に戻る第一歩になった


    どれだけ読んだとか
    いかに吸収したとか
    良書であるとかないとか
    そうじゃなくって
    読書とは、旅のように
    人との出会いのように
    言葉のその先にある
    自分の感じるものに出会う体験なのだから
    読みたいところだけ読んだっていいし
    一冊を何年かけて読んでもいい
    なんなら読み終えなくてもいい

    読書って、本来
    人それぞれにとって違う体験なのだから
    正解はない
    自由だ

    好きなように、感じるように
    読めばいい
    読めないなら無理やり詰め込まなくていい

  • どんな本を読むのも、どう読むのも、読んでどう思うのも自由である、自分の感覚を大事にするということをひたすら書いてくれていて嬉しかった。

    本を読めなくなっていない人が読んでも参考になる読書論と思った。

  • 読書慣れしていなかった自分にとって、無理せず色々なジャンルに挑戦し、言葉をコトバとして感じる位ゆっくりと文字を読んでみようと思った。

    そして書く事も。。。

    時間は沢山かけても良いのだから。

    言葉が優しく丁寧で、一気読みした。

    一番好きなフレーズ :
    【あなたが、私をほんとうの「わたし」にしてくれた。あなたは、私のいちばん大切な人であるだけでなく、私よりも私の近くにいる人だということを伝えたい。】

  • 近頃、本を読みたいと思っても何故か手が伸びない、進まない事が続き苦しんでいた。
    そんな時にこのタイトルを見て、半信半疑で開いてみた。
    ここまで言葉が心に入ってくるのは初めてだった。文中にある「言葉のジュース」をごくごく飲んでいる気分だった。
    抜粋したい言葉が多すぎるため、上手く感想が書けないが、この本は間違いなく「本を読めなくなった人のための読書論」であると言える。
    無理に読書をしないでもいい、確かにこれが私の求めている言葉だった。

  • 正しい読書は存在しない
    他者と読み方を比べる事をやめる

    自分は楽しみのため 未知なる出会いのため
    時間を過ごすために本を読む
    何も残らないのが気になる
    言葉の意味?経験? 

    山に例えられる
    高い山に登頂するよりも何かを学んだり気付くこと

    美術館で解説文にとらわれてしまう事がある
    本当は自分で感じるのがいいはず
    この本では「肌感覚」と表現されている
    「あたま」だけで感じていると情報以外の意味が受け取れなくなる

    本当に求めているものは内面にある
    自己との対話を続ける
    青い鳥ってやっぱり近くにいるのかな

  • 言葉を五感でゆっくり感じることの大切さを教えてくれます。言葉がキリスト教っぽいと思ったら筆者がクリスチャンでした。

  • 本が読めなくなったのが、何が原因なのかとこの本で探ろうとしてました。でも、それが間違いだったんだなぁと気づくきっかけになんたんです。
    正しい読み方は一つとしてなくて、ゆっくり読んだり、自分に合う本に出会ったりと様々な方法が書いてありました。図書館や書店を利用することがきっかけになったりするんだなって納得しました。余白も多くて、文字に集中して読むことが出来たと思います。本が読めなくなることが一定期間ずっと出てくるので、そのたびにこの本を読みたいと思いました。購入を検討中です。

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著者プロフィール

1968年新潟県生まれ。批評家、随筆家。 慶應義塾大学文学部仏文科卒業。2007年「越知保夫とその時代 求道の文学」にて第14回三田文学新人賞評論部門当選、2016年『叡知の詩学 小林秀雄と井筒俊彦』(慶應義塾大学出版会)にて第2回西脇順三郎学術賞受賞、2018年『詩集 見えない涙』(亜紀書房)にて第33回詩歌文学館賞詩部門受賞、『小林秀雄 美しい花』(文藝春秋)にて第16回角川財団学芸賞、2019年に第16回蓮如賞受賞。
近著に、『ひとりだと感じたときあなたは探していた言葉に出会う』(亜紀書房)、『霧の彼方 須賀敦子』(集英社)、『光であることば』(小学館)、『藍色の福音』(講談社)、『読み終わらない本』(KADOKAWA)など。

「2023年 『詩集 ことばのきせき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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