キャベツ炒めに捧ぐ

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.51
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758411790

感想・レビュー・書評

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  • 60代の女性3人が主人公なのだけど、若いのを通り越してあまりにも幼い。
    これを読んで「いつまでも若々しくていいね」とは到底思えないなぁ…「BBA自重しろ」。息子どころか孫に近いような歳の男に熱を上げて(本気の恋愛感情じゃないにしろ)三者三様に気を惹こうと躍起になる姿はあまりにも醜かった。誰にも共感も感情移入もできず読むのがただただ苦痛。
    各章のタイトルになっている料理は物語に大きく絡むものから触れる程度までまちまちだけど料理自体の描写にはそれほど紙面は割かれていないし、キャラクターたちが悪目立ちしすぎていて印象にも残らなかった。

  • 今の60代って、こんな感じですか?というのが、第一の感想。というか、驚き。まったくもって枯れていない。私も、こんな60代を迎えることができるんだろうか?…ムリだな(笑)60代のおばさん3人が、それぞれに、悩みや悲しみは背負いつつも、力を合わせてお惣菜屋さんを盛り立てている。そのお惣菜が、とにかく美味しそう。年をとっても、こうやって仲良く働くって素敵なことだなと思った。

  • いわゆるアラ還のおばさん3人の可愛いこと!
    そして3人の作るお惣菜の美味しそうなこと!

    皆何かを抱えている。
    それを話さなくたって、わざわざ聞きださなくたっていい。
    わたしもすべて抱えたまま、美味しいものを食べて生きていこうと思った。

  • 惣菜屋「ここ家」で働く女性3人を主人公とした連作短編集。

    幼い息子を風邪で亡くし、ふたりで暮らしてきた夫も他界してひとりになった郁子。
    ここ家の主人の江子は、夫が別の女を好きになり熟年離婚。料理がうまく優しい元夫の罪悪感につけこんで、元夫の家庭を訪ねたりと繋がりを持ち続けようとする。
    別の女と結婚した男を今も思い続ける麻津子。

    主人公の3人共還暦を過ぎた立派なおばさんである。
    しかしこれは惣菜屋の日常ではなく、立派な恋愛小説。
    郁子は死んだ夫とのわだかまりを今も抱え、江子は別れた夫が忘れられない。麻津子もいい年して恋愛に右往左往している。

    短い話なのに、人間の機微が詰まった濃い物語。
    井上荒野はどうも波長が合わないと思っていたけれど、かなりじんわり染みる一冊だった。
    展開や文章から、心のひだを感じる。久しぶりに質の高い本を読んだ。
    そして出てくる料理どれもこれも美味しそう。

    http://www.horizon-t.net/?p=870

  • 「ここ家」があったのなら、仕事帰りに足繁く通って、このまえ食べたあれがおいしかった、今日のおすすめはなんですか、とか、ついおしゃべりしたくなっちゃうんだろうな。

    来る、待つ、行く。進む。江子、麻津子、郁子が営む小さな惣菜屋と、米屋の新米・進のおはなし。
    たのしいこともかなしいことも、おいしい料理といっしょにある。素敵なことだなぁ。

  • 60歳を過ぎた女性3人が営む惣菜屋「ここ屋」。江子、麻津子、郁子の3人はそれぞれ離婚経験を持ったり夫と子供を亡くしたり独身だったり。米屋の進に仄かな好意をもちそのやり取りもおもしろい。麻津子の別れた夫と恵海ちゃんも仲がよくホノボノ。
    とても60歳を過ぎた女性に思えない粋なやり取りがあり楽しそうな惣菜屋。そしてその料理も美味しそうだ。すべて料理名(惣菜)を表題にした短編連作。

  • とても楽しく読めました。
    もし、私が20代前半から中ごろだったら、この小説の世界を理解できなかったかもしれないなぁ と思いながら読んでいました。
    20代の頃、私は30代や40代の女性は自分とはまるで違うものだと思っていましたが、実際40代半ばになって、人間歳をとったからと言ってそう変わるものでもないとわかりました。だから、60代の女性3人が主役のこの小説をすんなり受け入れる事が出来るし、こんな風に歳を取れればいいなあ とさえ思えました。
    三人とも それなりに人生歩んできているからこそ スパイスの効いた生活をしていて、歳を取るのは悪い事じゃない と思える小説でした。

  • 井上荒野の作品はいくつか読んだけれど、これが一番好きかも。直木賞受賞作やその他諸々の作品と違うところは、多分彼女がそれだけ年齢を重ね、人生の緊張悲喜こもごもを描きたくなったからかもしれない。
    男女の美しくも醜くもある感情や行為のやり取りから、一歩も二歩も離れて行く、老成期に入りつつある女性たちのお話。身につまされるけど。しかし、それだけで終わらない、これからも続く人生をどう生きて行くのか、この3人の女性のおはなしをまた読みたくなった。

  • 表紙かわいいのに。
    ほのぼの系お料理小説だと思っていたのに。

    60歳のお姉さま方が元気だ。
    女女していて、生々しい。
    そうだよ、
    このご時世、60歳なんて全然元気なんだもん。

    いやはや、3人そろって女の業が強すぎる。
    くわばらくわばら。
    でも、ラストはさわやか。
    前に進んでいく小説は読んでいてすがすがしい。

  • 2012.04.11. とにかく食べ物たちがおいしそう!気ままに生きたい3人のご婦人たち。そうだな、井上さんの書く女性は、生々しいくらいの年齢よりも、このくらいの年の人たちの方がいいかもしれない。読むとどんどんお腹が空いてくる。近所にこんなお総菜屋さんがあったらいいな、個人的に関わりたくはないけれど。

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著者プロフィール

井上荒野
一九六一年東京生まれ。成蹊大学文学部卒。八九年「わたしのヌレエフ」で第一回フェミナ賞受賞。二〇〇四年『潤一』で第一一回島清恋愛文学賞、〇八年『切羽へ』で第一三九回直木賞、一一年『そこへ行くな』で第六回中央公論文芸賞、一六年『赤へ』で第二九回柴田錬三郎賞を受賞。その他の著書に『もう切るわ』『誰よりも美しい妻』『キャベツ炒めに捧ぐ』『結婚』『それを愛とまちがえるから』『悪い恋人』『ママがやった』『あちらにいる鬼』『よその島』など多数。

「2023年 『よその島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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