キャベツ炒めに捧ぐ

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.51
  • (60)
  • (187)
  • (214)
  • (36)
  • (7)
本棚登録 : 1323
感想 : 229
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758411790

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 同世代のおばちゃんたちのお話、面白かった❤️❤️
    わたしも、女友達と過ごすのが大好きすぎて、時間が足りなさすぎます。
    今のわたしの環境は、この小説と少しだけ似ていて、高校時代の同級生が社長で、わたしが唯一の従業員なので、恋バナしたり、子供の話をしたり、来週は、韓国弾丸一泊旅行に行くなど、しっちゃかめっちゃかな生活ですが、とても楽しく過ごせています。(ちゃんと仕事もしています。)
    現実は小説ではないので、わたしは平凡なおばあちゃんだけど、社長は二バツで、現実は小説よりすごいです‼️
    何が言いたいかというと、わたしはこういう現実的な自分と近い小説が大好きってことです❤️

  • 中年〜高齢の女性3人の物語。
    出てくるお惣菜が美味しそう。

  • 一万円選書の中の一冊です。
    江子、麻津子、郁子は、惣菜屋さん「ここ屋」で働く、シングル3人組。
    シングルなのには、それぞれ理由がある。そして乗り越えていく物語。
    お店で売られる惣菜は、あー、美味しそうなものばかり。私も通りかかったら、買っちゃいそう。そして江子さんに、つっこみ攻撃されながら、賑やかに話して楽しく買い物してそうな光景が浮かんできた。
    「料理ってすごいわよね。江子は思う。高級食材じゃなくても凝ったことをしなくても、おいしく作りさえすればちゃんと美味しくなるんだもの。」
    この一文が心に染みた。
    食事を食べて、美味しいと感じられることって、何気ないけど、実はすごく大切なことなんだって実感した

  • 小さな惣菜屋「ここ屋」で働く3人の中年女性を主人公とした小説。
    3人の性格や境遇はバラバラだが皆独り暮らし。
    3人とも店に出入りする米屋のイケメン店員に熱を上げるが何と言うか…パワフルだなぁ、と。別れて再婚しても尽くしてくれる元夫とそれに甘える江子さんも不思議だし、60歳でもそんなに恋愛で悶々と出来るのかなぁ…となる麻津子さん。幼くして亡くした息子の面影があるから、という理由の郁子さん(夫は他界している)のスタンスが一番イメージしやすい。
    自分が生まれ育った土地では考えられない、見てきた人達にはいない開けっぴろげで不思議な人達だった…。

    料理も沢山出てきて、美味しそうではある。が、読んでいて気付いたが、自分はレシピ通りにキッチリ作られた料理よりもざっくり適当に作って出来た料理が好きなのだ。
    荒野さんは料理上手らしい。多分、材料や分量が決まったレシピ作りが得意なのではと読みながら思う



  • こうこ、いくこ、それぞれがかかえていたわだかまりのようなものがとけていった瞬間がよかったな。老齢の独り身の女の、どうすることもできない、どうするともおもっていない日常の中に、ささやかな変化があり、救いがあって、それを読んでいるこちらも、救われる。
    新婦が所望して、新郎がつくったキャベツ炒めのシーンがなんともいえず、身に染み渡るようなしみじみとした、幸せな気持ちを思い出す、、、荒野さんの作品は、こういう1シーンが多いとおもう。なんともいえない、その人だけにわかる、とても大事な大切な感情をともなって、人生に深くしずみこんだ記憶が呼び覚まされる。

  • 東京の私鉄沿線の、小さな町のささやかな商店街の中に「ここ家」がある。
    こだわりのご飯に、ロールキャベツ、肉じゃが、コロッケ、ひじき煮、がんも、あさりのフライ、茄子の揚げ煮、鯵のフライ・・・・・・、「ここ家」のお惣菜は、どれもおいしい。
    オーナーの江子は61歳。
    友だちとダンナが恋仲になってしまい、離婚。
    麻津子は、60歳。
    ずっと想いつづけている幼なじみの年下の彼がいる。
    一番新入りの郁子は、子どもにもダンナにも死に別れた60歳過ぎ。
    3人は、それぞれ、悲しい過去や切ない想いをいだきながらも、季節ごとの野菜や魚を使い、おいしいお惣菜を沢山つくり、お酒を呑み、しゃべって、笑って、楽しく暮らしています。
    (アマゾンより引用)

    こんなお総菜屋さん、いいな

  • 一万円選書を読んで気になった本①

    主人公はお惣菜屋さんで働く料理上手な3人のアラ還おばさん。
    其々離婚や死別、未婚で独身。シングルの妙齢おばさんだけど、変に拗らせてはいなくて素直で可愛らしい。60年生きていればそれぞれ色んな事情や過去のしこりがあったりする。気を遣い過ぎず、近過ぎず、距離の取り方が絶妙な3人。60歳になってこんな友人関係があったら楽しいだろうなぁ。

    派手な演出は一切ない、すぐそこで起こりそうなちょっとした日々の出来事。
    ストーリーに抑揚がないので淡々と読み終わったという感じ。

    お惣菜やさんのメニューは本当に美味しそう。
    小説に出てくる料理を想像するのってなんて楽しいんだろう。
    がんもどきを手作りしたくなってしまった!

  • 惣菜屋さんで働くアラ還のシングル女性3人が、それぞれ変化をしていく物語。
    経営者江子は、元夫に不倫されあっさり別れたものの、自覚はないまま元夫に会おうとする。
    長く勤める麻津子は、子供の頃からずっと気になっているが、その人の結婚式にも出たことがあるバツイチダーリンがいる。
    最近勤め始めた郁子は随分前に幼い息子、最近は夫と死別し一人になる。
    3人はそれぞれ、変化を怖れているのか避けているのか。時間が経つにつれて、わだかまっていたさまざまな物事が、少しずつ解けて流れてく様子が気持ちいい。
    60になったって恋もする。いろんな出会いもある。歳をとることに、別れに恐れをなしてはいけないと教えてもらえた気がする。

  • 60歳超えのおばさま三人が働く総菜屋さん。
    オーナーの江子さんは底抜けに明るいが、離婚した元夫に電話するのをやめられない。いつも厳しい口調の麻津子さんは未婚だけど煮え切らない関係のダーリンがいる。夫を亡くした郁子さんは働き出してまだ日が浅い。
    60年以上生きていれば、誰にでも込み入った事情がある。人生はままならないものだということはじゅうぶんにわかっている。
    若い男をからかってみたり、酒を飲んで発散してみたり、色んな事にやきもきしながらおばさまたちの生活は続く。

    ---------------------------------------

    おばさまたちが笑って泣いて、楽しそうに過ごしているのを読んでいたら、不思議な気分になった。たぶんおばさまたちの年齢が、自分の母親くらいだったからだと思う。
    自分の母親も平日は朝から働き、休日は飲みに行ったり、たまに旅行に行ったりして楽しんでいる。60歳を過ぎても元気だ。
    何歳になっても”友だちと遊ぶ”のは楽しいんだな、と母親を見ていて思う。いつまでも健康で、ずっと遊んでいてほしい。
    ここ家のおばさまたちも楽しく長生きしてほしい。どうせ生きるなら楽しくあるべきなんだ。

  • 60歳近くの女性たちの恋愛模様という、珍しい設定だが、いつまで経っても乙女なんだなぁと。

全229件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

井上荒野
一九六一年東京生まれ。成蹊大学文学部卒。八九年「わたしのヌレエフ」で第一回フェミナ賞受賞。二〇〇四年『潤一』で第一一回島清恋愛文学賞、〇八年『切羽へ』で第一三九回直木賞、一一年『そこへ行くな』で第六回中央公論文芸賞、一六年『赤へ』で第二九回柴田錬三郎賞を受賞。その他の著書に『もう切るわ』『誰よりも美しい妻』『キャベツ炒めに捧ぐ』『結婚』『それを愛とまちがえるから』『悪い恋人』『ママがやった』『あちらにいる鬼』『よその島』など多数。

「2023年 『よその島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

井上荒野の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×