ウィメンズマラソン (ハルキ文庫 さ 19-2)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758439787

作品紹介・あらすじ

岸峰子、三〇歳。シングルマザー。幸田生命女子陸上競技部所属。自己ベストは、二〇一二年の名古屋で出した二時間二四分一二秒。ロンドン五輪女子マラソン代表選出という栄誉を手に入れた彼女は、人生のピークに立っていた。だが、あるアクシデントによって辞退を余儀なくされてしまい…。そして今、二年以上のブランクを経て、復活へのラストチャンスを掴むため、リオ五輪を目指し闘い続ける。このままじゃ、次に進めないから-。一人の女性の強く切なく美しい人生を描く、感動の人間ドラマ。

感想・レビュー・書評

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  • オリンピック代表から外されることになった峰子が、妊娠、出産、子育てを経て再びオリンピックを目指す。
    妊娠と出産と子育てを経験した女性として、共感する感情がたくさんあった。近くに峰子がいたら、そんな風に思うのはあなただけではないのだと声を掛けたいと思った。

    辻本に対する感情は私の理解を超える部分があったけど、オリンピックを目指すくらいの選手だから、根性も感情も強くて粘り強くて感動する。

    これは実話なのかな。

    読みながら探し続けていた、最後にさりげなく書かれた結果に、涙が流れた。


    市民ランナーの端くれとして、またマラソンしてみようかな、という気になった ^_^

  • 女子マラソンのオリンピック代表に選ばれながら、妊娠が発覚しバッシングを受けながら娘を産んだ峰子。彼女は離婚を経てまたマラソン競技へ戻ろうとするが…

    自分の信じた道を行こうとして、何度も惑いながら、それでもずんずんと前へ前へと進んでいく「強い」主人公、峰子の姿に引っ張られるままに、あっという間に物語のゴールへとたどり着きます。爽快感、がまず後に残る清々しいお話です。

    といっても彼女の道は苦難ばかりで、まったく理不尽なものも少なくない。それでも、大切な娘や親、ライバル、コーチたちの支えを得て、彼女は進んでいく。いっしんにゴールを目指していく。

    そんな芯のゆるがない彼女の姿は時折痛々しいほどだけれど、それでも、ゴールの果てを目指さざるを得ない。その果てを超えないと、自分が未来へと、これまでの自分自身ではない自分へ変わってゆけない。その真摯さが、ひたすらまぶしく、時折うらやましく思いました。

    マラソンを描いた物語ですが、スポーツ物というよりも、ひとりの女性の生きかたを描いた話として、とても心に残りました。

  • 名古屋走ろう!

  • ロンドン五輪女子マラソン代表選手に選ばれながら、妊娠発覚で出場辞退。当然、日本中から総バッシングで四面楚歌状態。岸峰子、三十歳、シングルマザー。リオ五輪に向けて彼女の再挑戦が始まる。
    ヒロイン・峰子が最初はどうにも取っ付きにくい。それが読み進めにつれて、拳を握りしめるほど応援したくなる。マラソンほど「がんばれー!」という声援がぴったりはまるスポーツはない。頑張るとは我を張ること。限界は自分で決めるもの。彼女の真っ直ぐな生き方は応援せざるえない。

  • これまで数冊読んできました。「虹猫喫茶店」「ハーレーじじいの背中」、良かったです。でも、今回読んだ「ウィメンズマラソン」、感動しました。1977年生まれの坂井希久子さん、すっかりファンになりました(^-^) 2016.2発行の作品です!走るひと、ライバル、監督、コーチ、家族、記者、世間・・・、栄光と挫折・・・、さまざまな要素が交錯した味わい深い感動作です!

  • 「ウィメンズマラソン」坂井希久子
    オリンピックのマラソン代表となった岸峰子は、突然の妊娠により代表を辞退することに。独身だった峰子は、自己管理が甘い責任感がないとマスコミをはじめ日本中からバッシングを受ける。娘が2歳となり、シングルマザーとなった峰子は、再びオリンピックを目指そうとするが世間の風当たりは強く、慕っていたコーチからも見離される。果たして峰子はマラソンを続け、オリンピックに出場することができるのか…。
    ライバル関係は、スポーツマンシップの綺麗ゴトで描くのではなく、嫉妬や嫌がらせ、牽制などドロドロした感じで描いた方ががリアルさを増す。なんせオリンピック代表なんだから。それでもはじめは峰子のキャラが好きになれなかったが、女性ならではの身体の悩みや弱さだと思えるようになり、途中からどんどん感情移入、応援したくなった。誹謗中傷に負けず、子育てというハンデを抱えた中の峰子のひた向きさ、強さには共感せずにはいられない。マラソンの場面の臨場感から読後感の良いラストへ、スポ根ものの楽しさが、詰まった一冊(^o^)

  • マラソン小説の傑作。
    主人公の設定がラストのレースでものすごく活かされて感動する。

  • 「限界?そんなもの誰が決めたの?」
    そうだよねぇ。こんなことガタガタ言ってるスタミナがあるなら、一歩でも前に進まなきゃ。

    明日からもがんばるか、と思えるのでぜひ日曜の午後に読んでください。

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著者プロフィール

1977年、和歌山県生まれ。同志社女子大学学芸学部卒業。2008年、「虫のいどころ」(「男と女の腹の蟲」を改題)でオール讀物新人賞を受賞。17年、『ほかほか蕗ご飯 居酒屋ぜんや』(ハルキ文庫)で髙田郁賞、歴史時代作家クラブ賞新人賞を受賞。著書に、『小説 品川心中』(二見書房)、『花は散っても』(中央公論新社)、『愛と追憶の泥濘』(幻冬舎)、『雨の日は、一回休み』(PHP研究所)など。

「2023年 『セクシャル・ルールズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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