あきない世傳 金と銀 源流篇 (ハルキ文庫 た 19-15 時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758439817

感想・レビュー・書評

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  • BSのドラマがおもしろくて、これは原作を読もうと1巻から13巻まで読み終えました。ぐいぐい引き込まれおよそ10日、幸と一緒に呉服屋さんの世界に浸っていました。う~ん、幸、スーパーすぎる! 艱難辛苦のりこえやりましたな。

    享保16年(1731)、寺子屋の師匠の父のもと母と兄、妹のそろった幸せな日々。そして父と兄の死から一転大阪の呉服屋に女衆として下働きに出た幸9才の享保18年。ここから幸の怒涛の人生が始まる。

    流れるのは呉服商いへの興味と意欲の飽くなき探求。これが13巻通じて大河のように流れ、各巻ごとに起きる難題を知恵と誠意と度胸で乗り越える。店のメンバー、商い組合仲間、など相対する敵味方を配して物語は進む。呉服商いなので、着物の着方とか、帯は結婚した女性は前で結んでいたとか、今でいう商品券の発売とか、今は普通になっている、あるいは消え去った習俗が巧みに描かれていて、そこらへんもおもしろいです。

    ドラマを先に見ているので、読みながらは俳優さんたちの顔が浮かぶのですが、これまたぴったり。お家(え)さんと呼ばれる店主の祖母役の高島礼子、店主3兄弟の、渡辺大、加藤シゲアキ、松本怜生、女衆のいしのようこ、がとてもいい。そして長男の嫁の菊栄役の朝倉あきが大店の娘という雰囲気がとてもいいです。

    ドラマでは原作にない女衆をひとり登場させている。これはやり手だがきつい性格の次男に思いを寄せる役。ドラマは4巻の中盤くらいまでで終わる。

    1巻で書かれるのは
    享保16年(1731)から
    元文2年(1737)まで 菊栄は五十鈴屋に嫁いで3度目の秋を迎えた19才。幸は7才から13才。


    時代小説文庫(ハルキ文庫)書き下ろし

    2016.2.18第1刷 図書館

  • 旱魃と飢饉で飢える貧困、そして、女性が学問をできない社会であるなど、江戸時代の厳しい現実が描かれる。その中で翻弄され、耐える主人公の幸。
    この巻では、まだ、運命や社会に翻弄されるだけの幸だったが、次巻以降で立ち上がっていくのか。スカッとする様なカタルシスは味わえずに、物語はまだ動き出していない。今後の展開にむけた、静かなる序章といった、静謐な出だしでした。ドラマのおしんの様な壮大な物語が予感される。

  • 主人公幸の幼少期からの話。知恵と笑顔で乗り越えていってほしいと祈るばかり。続きも読みたいような、幸の辛抱が続きそうな大変なことが始まりそうなことで終わった。続きを読むか迷う。でも、必ず知恵と笑顔でハッピーになると信じて。

  • 大飢饉や家族との別離を経て
    齢九つで大坂天満にある呉服商「五鈴屋」に奉公へ出されることになる
    慣れない商家で「一生、鍋の底を磨いて過ごす」女衆でありながら、
    番頭・治兵衛に才を認められ、徐々に商いに心を惹かれていく。
    「BOOK」データベースより

    ほんでな、ほんで、この呉服屋の3人息子が絵に描いたようなアホなんですわ。
    ということで
    とうとうこのシリーズに手を出してしまった。
    たくさんの読友さんがレビューをあげていて
    面白いことはわかっていた。

    そして読んで幸の故郷はなんとご近所ということがわかる。

    巻頭の地図みたらさ、
    甲山も廣田神社も西宮神社もあるしさぁ、
    俄然身近!

    そうなんだぁ、
    ここから天満まで行ったんかぁ、
    それは遠いなぁ。まだ子どもやのに。

    と、私、宮っ子、幸を応援する所存です。

  • ひっさしぶりに読書できそうになったので、みをつくし料理帳で好きになった高田郁さんの作品を手に取る。疲れてても読める心に優しいストーリーでちょっと経済小説的な要素もある?と期待して読んだ、のだけど、うーんこれはちょっときつかった。ひたすら暗い!ベタな辛い展開が続いて、おしん読んでるような気持ちになった。登場人物も深掘りした描写が少なく(敢えてだと思うんだけど)感情移入しにくい。
    時代小説としての情景描写は緻密で前作よりも磨かれてるので、情景が浮かびやすくて没入感があるんだけど、人の描写の少なさとギャップがあって、なんか設定集でも読んでるような気に。。
    そうやって考えるとみおつくし料理帳はほんとにいろんな要素が噛み合ってていい作品だったなと。今3巻でストーリー動きそうなのでここから期待!

  • 武庫川の近くにある農村で学者をしている父親を持ち、学ぶことの楽しさを知り「知恵」がほしいと願う少女、幸。
    商売人は汗をかかずにものを右から左に移すだけで利を得る詐だと父親に教えられて育ったが、相次ぐ不幸によって少女は父の忌んだ大阪の商売人のもとへ奉公に出ることになる。
    女に学はいらないとされた時代、それでも知恵を得たいと願う少女が商いの面白さ、奥深さに目を開いていく様を優しくのびやかに描いている。
    幸のいたいけさと愛らしさに、ああもうこの先どうなるの、と気になってならない。

  • 20170821 高田郁さんの新しいシリーズ。澪つくしからの流れで読んだので最初は少し戸惑った。これからの展開の伏線もたくさん撒かれたと思うのでこの先が楽しみ。

  • 兵庫県に今津の近くに生まれた幸という女の子が天満の呉服屋に奉公に出て、御寮人さんが実家に帰ってしまうまで。
    突然の不幸に見舞われた少女が立ち上がって頑張っていく物語になっていくんだろうなあと想像がつく。けど、これからも読んでしまうんだろうと思う。
    花登筺さんの再来かもしれない。

  • 大切な家族を失ったのち、商人の家に奉公に出された幸。

    まずは、大まかな人物紹介といったところ。

    「知恵」は身につけておいて損はない。

  • 2024.01.25 ★3.6


    ↓↓↓内容↓↓↓

    物がさっぱり売れない享保期に、摂津の津門村に学者の子として生を受けた幸。父から「商は詐なり」と教えられて育ったはずが、享保の大飢饉や家族との別離を経て、齢九つで大坂天満にある呉服商「五鈴屋」に奉公へ出されることになる。慣れない商家で「一生、鍋の底を磨いて過ごす」女衆でありながら、番頭・治兵衛に才を認められ、徐々に商いに心を惹かれていく。果たして、商いは詐なのか。あるいは、ひとが生涯を賭けて歩むべき道か―大ベストセラー「みをつくし料理帖」の著者が贈る、商道を見据える新シリーズ、ついに開幕!

著者プロフィール

髙田 郁(たかだ かおる)
1959年生まれ、兵庫県宝塚市出身。日本の小説家、時代小説作家。元々は漫画原作者で、その時のペンネームは川富士立夏(かわふじ りっか)。
中央大学法学部卒業後、1993年集英社の女性向け漫画雑誌『YOU』で漫画原作者としてデビュー。その後山本周五郎の「なんの花か薫る」に衝撃を受けて、時代小説の執筆に至る。2006年「志乃の桜」で第4回北区内田康夫ミステリー文学賞区長賞(特別賞)を受賞。2007年「出世花」で第2回小説NON短編時代小説賞奨励賞を受賞。そして2008年に同作を含む短編集『出世花』で小説家デビューを果たした。
代表作に、全10巻で300万部を超える大ヒット『みをつくし料理帖』シリーズ。同作は2012年にテレビドラマ化。2013年に『銀二貫』が大阪の書店員らが大阪ゆかりの小説の中から「ほんまに読んでほしい」本を選ぶ「Osaka Book One Project」の第1回受賞作品に選出、2014年にNHK木曜時代劇にて林遣都主演によりテレビドラマ化された。

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