イシマル書房編集部 (ハルキ文庫 ひ 8-2)

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.66
  • (7)
  • (35)
  • (23)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 226
感想 : 28
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758441278

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 会社存続の危機にある出版社イシマル書房。存続するためにはベストセラー小説を生み出さねばならない。奮闘する本を愛する人達の姿に胸が熱くなりました。
    ある理由で一度は筆を折った著者の島津さんが再度奮起して書くことに決めた題材は古事記。私は歴史ものはどちらかというと苦手なジャンルなんですが、この島津さんが書いた古事記なら読んでみたいって思いました。
    そして最後は涙なしでは読めなかったです。。

  • 皆が全力で力を合わせても、アイディアを出し合っても叶わないこともある。「そうだよね。それが現実だよね…」と気持ちが沈みかけたところに新展開!

    結局、現実世界では、なかなかあり得ない結末に落ち着きましたが、それが心地よく「やっぱり、小説はそうでなくっちゃ!」と思いました。

  •  インターネットが出版業を追いやっている。生きるか死ぬか、瀬戸際の出版業界。神保町の小さな出版社、イシマル書房の再建を賭けた人たちの物語。平岡陽明「イシマル書房編集部」、2017.11発行。楽しく読了しました。「道をたずねる」は地図作成の話。「イシマル書房編集部」は出版社が生き延びる話。「小説・古事記」が当たりました。私が膝を叩いたのは、主人公の満島絢子(みつしま あやこ)が「読書メーター」に「あやたんぬ」のHNで加入してること、そして関係者が取材兼息抜きで出雲・松江を旅したことです。

  • 書店、出版業界のお話は興味あるので目に止まると手に取ってしまう。今時の業界が厳しいのは想像はできるけど実際働いている人のことはこんな小説を読むと伝わりやすい。軸となるのが歴史小説で古事記、正直あまりそそられなかったけど今は興味もてなくてもいつか開眼するかもしれないな。絢子さんの速読の能力は羨ましい、編集者として今後も才能を発揮していくに違いない。

  • 主人公の満島絢子は、念願が叶って小さな出版社のイシマル書房にインターンとして入社することができました。しかし、イシマル書房の経営は危機的状況で、出資を受けている親会社に、半年で経営が改善できなければ、パチンコの会社に株を売却すると最後通告されます。そこで、起死回生のために、経験豊富な引退した編集者を募集し、ベストセラー小説を出版することにします。イシマル書房の石丸社長を中心に、主人公の絢子、元編集者の岩田鉄夫、過去に岩田が担当していたときにトラブルに見舞われた小説家の島津や出版仲間、本を愛する人々により、親会社から株を買い戻すために奔走します。
    小説・本好きの人のための小説で、楽しく読みました。後半は岩田が主人公な気がしました。

  • さらさらっと読了。絶賛レビュー多いですが、私はそこまでは入り込めなかった。素直にその能力はすごいと思うけど、カリスマとかいらないと思う。本を生み出し、会社を支えていく大変さは他の作品でも読んで知っているつもり、だけど場所や価格を考えると、「趣味」と言えるほどにお金をつぎ込むのはなかなか難しい。こういう主旨の作品を読むと必ず「図書館あかんのかな」って思ってしまう。

  • 22才の女の子がそんな言動するかよという位おっさんくさいですが、書いている人がおっさんのまま書いているので仕方が無いかもしれません。肢体とか熟れた体とか言わんでしょう。プロならちゃんとキャラクターになりきって書いて欲しいという切なる希望です。
    ところが内容的には新興弱小出版社の生き残りを掛けた戦いに、ロートル元編集者が参加して、過去に挫折に導いてしまった天才小説家を担ぎ出そうという胸が高鳴る話でした。かっこいいおじさんが大活躍し、しかもちょっと苦味も有る展開なので文句なしです。
    本関系を題材にした小説って最近多いですが、僕みたいなものを獲りこむには絶好の題材です。一般受けってどうなんでしょうかね。
    個人的には大好きな本です。

  • 【あらすじ】
    満島絢子は念願かなって神保町の小さな出版社にインターンとして採用された。しかし、当のイシマル書房は親会社から「半年で経営が改善されなければ他社に株を売却する」と最後通告を受ける―
    会社存続の危機に、石丸社長を中心に、理由あり作家、引退していた編集者、活版職人で絢子の祖父、元ヤンキーの営業マン、全国の書店員…など「小説」を愛する人々が立ち上がった。
    果たして起死回生のベストセラー小説は生まれるのか?書き下ろし長篇。

  • 発行される新刊の数、年間8万点。返品率は平均4割。売上金の入金は発行から7か月後。書籍、雑誌の売上は年々下降線をたどる一方。1タイトルあたりの売上が落ちた出版社は、新刊の点数を増やすことで増益を狙うが、その殆どは「売れない新刊」でしかない。
    これはここ20年程の出版業界が罹っている『死に至る病』。紛れもない出版不況の現実。
    古い流通制度は経年劣化をおこし、マーケティングは弱い。なにより働いている人の頭の中が古い。
    この業界はすでに死に体なのか?

    イシマル書房もまた、経営不振を理由に親会社から最後通告を受けている小さな出版社だ。そこにインターンとして採用された絢子が、ベテラン編集者、元ヤン営業マン、全国の書店員、そして一旦は表舞台から姿を消したいわくつきの作家と、起死回生のベストセラー小説の出版を目指す。
    目標売上、7千万。――粗利は増刷から約4割。1,300円のハードカバーを15万部。1年で5点発行、それぞれ3万部を売り上げる。
    無理難題だが、それを可能にする秘策とは!?


    生き延びる――その言葉をテーマに、身売り寸前まで追い詰められた小さな出版社が仕掛ける起死回生のプロジェクトを、新人編集者の視点から描くお仕事小説。
    作家や編集、装幀家などの本の作り手と、書店員や営業マンなど、売り手の顏が見えてくる一冊。

  • 弱小出版社・イシマル書房は資金不足で絶体絶命の崖っぷち状態。起死回生のベストセラー小説誕生に命懸けで闘う人たちを描く長編小説。
    本には魔力がある。一度とりつかれると逃れられない。作中に「孤独じゃない人は本を読まない」とあるが、確かにそうかもしれない。それでもどちらかを選ぶなら、私は孤独を選びます。

全28件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

平岡陽明
1977年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2013年『松田さんの181日』(文藝春秋)で第93回オール讀物新人賞を受賞し、デビュー。19年刊行の『ロス男』で第41回吉川英治文学新人賞候補。22年刊行の『素数とバレーボール』は、「本の雑誌」が選んだ「2022年度エンターテインメントベスト10」第3位。他の著書に『ライオンズ。1958。』『イシマル書房編集部』『道をたずねる』『ぼくもだよ。神楽坂の奇跡の木曜日』がある。

「2023年 『眠る邪馬台国 夢見る探偵 高宮アスカ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

平岡陽明の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×