パターン、Wiki、XP ~時を超えた創造の原則 (WEB+DB PRESS plusシリーズ)
- 技術評論社 (2009年7月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784774138978
感想・レビュー・書評
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XP目当てで読んだけど、理論的な新情報はなかった。
タイトルの通り、成り立ちとか、前身になってる考え方を物語風に紹介している。
XPとかをやるときに、よく自分達で変えていくんだ的なことを言われるけど、それって結局どうやってくの??って辺りの参考にはなるかも。
というか、ベックさん達はパターンとか考えながら自分のベストプラクティスまとめたんだなーというお話。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
webの登場により複数の作業者による並行編集が目に見えるカタチになったけど、世の中に本しかない時代にもアイデアはあったのだ、という話。wikiとアジャイル開発を結びつけて考えたことがなかったが、源泉は同じなのだな。思考はハードウェアに導かれるのであり、その逆ではない、とかも思った。
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アジャイル開発の手法の一つ、XPについてその思想の源流をたどっていく。
元々は建築家の都市を、利用者と一緒に漸進的に作り上げていく、という考え方にその原点とも言えるものがある。
自然な都市には言葉に出来ない何かしかの価値がある。
それは全てを計画してから作ったからではなく、中の生活者達が作り上げていくなかで生まれたもの、との考え方だ。
その例としてwikiを上げる。
wikiとは利用者がページを作り上げていくことが出来る仕組みだ。
この中にも上記の都市と同様に、漸進的に利用者によって作り上げられている、という特徴がある。
それによって、全てを設計して作ったページとは異なるところに価値がある。
アジャイル開発も同様だ。
顧客を開発に巻き込み、一緒に価値のあるものを生み出していく。
システムとは、構築を任された者だけが作るのではなく、利用者も一緒に作り上げて行くものだと感じることが出来る。 -
評価の高い書籍であることは前から知っていたが、予想していたよりもはるかに読後の衝撃は強い。アレグザンダーのパターンランゲージ、GoFのデザインパターン、ハイパーカード、XP、そしてWiki。それぞれは知識として知っていたが、それが有機的に繋がるとは思いもしなかった。そして、この書籍を読了したいまとなっては、この一連の繋がりこそが個々の概念の本質を理解する道なのだと分かった。
文芸であろうとプログラミングであろうと建築であろうと、何を作り上げようとする人には有益な書籍だと思う。 -
アレグザンダーの「6つの原理」がデザインパターン、XP、Wikiへどのように影響しているのかが非常に分かりやすく解説されている。分厚い「パターンランゲージ」はなかなか読む気が起きないので、こうしてその内容を端的にまとめ、その波及の仕方まで描かれている本は非常にありがたい。
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名著
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2年近く積読したものの、読み始めたら 1日で読み終わった。
XP やデザイン・パターンの源流が建築家アレグザンダーのパターン・ランゲージに影響を受けているという話は有名だし、僕も知識として知ってはいたのだが、実際にここまで似通ったものだとは、この本を読むまで知らなかった。適用分野こそ異なるものの、XP の原則はアレグザンダーが提唱した(たとえばオレゴン大学の実験で示した)原則のアナロジーどころか、一言一句同じと言ってもいいくらいだ。
常々、ソフトウェア業界が抱える問題の一つは「建築のアナロジー」であって、あたかも高層ビルを建てるかのようにプログラムを開発しようとする姿勢だと思っていた。しかし、建築業界にもソフトウェア業界が抱えているのと同じ問題があったらしい。それを解決しようとしたアレグザンダーが建築業界では異端とされ、ソフトウェア業界では主流になりつつあるという現象は面白い。 -
2010 11/5読了。筑波大学図書館情報学図書館で借りて読んだ。
江渡さんご本人にお会いする機会も幾度かあり、pingpongプロジェクトでも自分のブログで取り上げたサイエンスアゴラ(http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20091102/1257184329)やWikiバナ(http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20100612/1276326074、http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20100613/1276380049)でもたびたび話題にあがっていながら、なぜか今まで手にとっていなかった本。
L-1グランプリ参加チームでやっているUstream、「図書館情報学チャンネル」で取り上げるかも・・・ということでやっと読んだ。
なかなか手に取らなかった一因は、アレグザンダーの「パターンランゲージ」というのがなんか難しそうというかとっつきにくそう、というイメージがあったからなのだが、読んでみると確かにアレグザンダーの考えはとっつきにくそうであるものの、本書自体は非常に読みやすい上にめちゃめちゃ面白かった。
「ちょっと時間あるし、少し読んで帰るか」と思ってたのに最後まで読み通してしまったことが面白さの証(現在 3:56a.mでまだ研究室)。
研究関連の本で手が止まらないってのは久々かも。
何十年も前に建築の世界でとなえられたパターンランゲージがプログラミングの世界に取り入れられ、さらにそれが普段身近に接している(Wikipediaはもちろん、qwikWebも非常にお世話になっています)Wikiにつながっていく・・・という、「時を超えた創造の原則」の指摘が素晴らしかった。
で、図書館情報学者としてはそのWikiにまでつながる思想が、情報探索者・発信者にどのような影響を与えているのか・・・ってところに興味があるわけで、今後関連研究を読むときには留意したい。
あともちろん、pingpongプロジェクトに関わるときにも。 -
「クリストファー・アレグザンダーなんて、昔読んだ柄谷行人以来、久しぶりに見たわ」「HyperCardとか、使ったなー」などなど、お懐かしメソッドてんこ盛り。
こういう他業態のアナロジーをやすやすと並列するを見るにつけ、プログラミング業界って発展途上だねと噛みしめること、ひとしきり。
文章も構成も丁寧で、面白い読み物――技術解説書ではなく「読み物」ですのでご留意を。
はてなを評しweb2.0とかいうとなんだかキナ臭いですが、「wiki技術を面白くつかっている日本式wiki展開の会社」と書かれるあたり、慧眼です。
べつに創造的ではないです。 -
CMSやwikiの起源に興味があり購入。デザインパターンがどのようなものか知らずに読んでみたので、概念としては理解できても、実際にどのようなものが使われているのかはまったくイメージできず、その点が残念だった。今度はデザインパターンそのものについて書かれた本を読んでみたいと思う。