地雷を踏む勇気 ~人生のとるにたらない警句 (生きる技術!叢書)

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  • 技術評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774148700

感想・レビュー・書評

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  • 流行の事件や言葉から、ウラの意味を解釈するオダジマ思考に何度も感心。特に蓮舫議員の「2位じゃダメなんですか?」の隠された反語。うーむ、このコトバにそんな深い意味があったとは。

    他にも、スーパークールビズが定着しない理由、原発を推進する男たちの本音。おちゃらけているようで、最後には、見事な結論に着地。

    著者が選ぶコトバは少しでも扱いを間違えると、多くの反発をかいそうな地雷のようなものばかり。そんな地雷地帯を著者は確かに歩いている。でも、地雷を除去しているようで、実は紙一重で交わしているのだ。誰もいない地雷地帯を笑顔で走り抜けるコトバのスペシャリストがこの本にいる。

  • どれもすばらしい時評ばかりであるが、特に「千代に八千代に気味が良いのか」は白眉。
    「待機と教育の場である学校は、成長過程にある人間のバラつきについて、原理的に寛大であらねばならない。と、同時に、学校は、教師の人間性についても、ある一定の寛大さを持って臨まないといけない。理由は単純。抑圧された人間は、自由な人間を導くことができないからだ」(84頁)
    学校現場への何よりの励ましの言葉と思う。
    昨今、教員の不祥事対応が厳罰を以て臨む方向にシフトしているが、何か違うのではないかと思っていた。これを読んですっきりした。

  • 自称「引きこもり系コラムニスト」小田嶋隆のサッカー関係書籍は良く読んでいたが、日経ビジネスオンラインにまで書いていたとは知らんかったが、本書はそこで時事問題について書いたコラムを纏めたもの。

    サッカー記事でもそうだが小田嶋の文章は一つの物事について一般人的な視点から「ああでもない、こおでもない」とかなりイジクリ回すタイプであり、まどろっこしさも時折あるのだが、意外や意外、論旨は一本筋が通っているのだ。それが今回の時事ネタコラムでも充分に生きており自分にとっては新たな発見というわけだ。

    唯一、ぶれたのは蓮坊に対する評価だ。小田嶋は震災直後の記者会見に出た蓮坊を見ての感想で「百面相、高校の演劇部の赤毛芝居、宝塚ダメな男役の発声」等というメモを残したと書いた。が後日別のコラムでは米国に住む中国人母親の「何事も一番でなければならぬ」とばかりのスパルタ教育を描いた「タイガーマザー」に関連付けて、蓮坊にそれと同じに匂いを感じてこう言いきるのだ。

    ”「2位じゃダメなんですか?」はあれは質問ではない。反語だ。「ダメにきまってるじゃない!あーたそんなこともわからないの?」という隠れた語尾を読み解かないといけない。その通りだ大臣、オレはあんたを支持する。”

    オレは聞きたい。小田嶋よ、あんたは蓮坊をどう評価するのか、と。まあそれは冗談だ。

    それはそれとして本書に小田嶋といえばお決まりのあの水彩画っぽいイラストが無かったのだけが残念だ。

  • 日経ビジネスオンラインで連載中のコラムの単行本化。
    NBOのなかではなんか浮いてるような感じがしていたのだが、
    単行本としてまとめて読むとなかなか面白い。
    同じ文章でも、パッケージングの違いでこうも印象が変わるものかと
    興味深い。
    本の内容はおもしろいです。
    岩田先生や内田先生が面白いというのもわかる。
    考え方の枠組みを考えるのが好きな人は是非!

  • 11/11/05。

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著者プロフィール

1956年東京赤羽生まれ。早稲田大学卒業。食品メーカー勤務などを経て、テクニカルライターの草分けとなる。国内では稀有となったコラムニストの一人。
著作は、『我が心はICにあらず』(BNN、1988年、のち光文社文庫)をはじめ、『パソコンゲーマーは眠らない』(朝日新聞社、1992年、のち文庫)、『地雷を踏む勇気』(技術評論社、2011年)、『小田嶋隆のコラム道』(ミシマ社、2012年)、『ポエムに万歳!』(新潮社、2014年)、『ア・ピース・オブ・警句』(日経BP社、2020年)、『日本語を、取り戻す。』(亜紀書房、2020年)、『災間の唄』(サイゾー、2020年)、『小田嶋隆のコラムの向こう側』(ミシマ社、2022年)など多数がある。
また共著に『人生2割がちょうどいい』(岡康道、講談社、2009年)などの他、『9条どうでしょう』(内田樹・平川克美・町山智浩共著、毎日新聞社、2006年)などがある。
2022年、はじめての小説『東京四次元紀行』(イースト・プレス)を刊行、6月24日病気のため死去。

「2022年 『諦念後 男の老後の大問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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