よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり

  • 太田出版
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感想 : 185
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778310875

感想・レビュー・書評

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  • 大変お恥ずかしいことですが、太田出版というのがどういう会社かとか全然わからないまま「よしながふみの対談集だって!」というだけで図書館で借りたもんで、中身があまりにBLの話ばかりで開いてのけぞってしまいました。一生分の「攻」「受」という文字を見た。いや、あとで考えれば、表紙でわかっただろうよって話なんですが。
    とはいえ、三浦しをん、羽海野チカ、萩尾望都といった超メジャーな方も対談相手として登場しているし、話題になっているのはサブカル以外の漫画の場合も多いので話についていけないということはなく楽しく読みました。特に、きっと有名な話なんだろうけど、よしながふみと羽海野チカの同人(というかスラムダンク)まわりの話とかはまとめて読むのは初めてだったので大変興味深く、あらためて井上雄彦の凄さを感じたり、縁というものの不思議さを思ったり。
    私がよしながふみの漫画の何を好きかというと、風呂敷を広げすぎないできちんと畳んで完結させていくところなのですが、今回この対談集の中で彼女が語るのを読んで、「自覚的」であることも好みなんだな、と認識しました。特に少女漫画の描き手の中には、無自覚にエゴを漫画の中に放出しているようでそれもまあ面白い場合もままあるんだけど、よしながふみはそこのところをコントロールしていて、それが私にはここちよい。対談集の中でもよしながふみはいろんなことを語りまくっているわけですが、その場の思いつきで垂れ流しているわけではなく、永年ひとりでじっくり考えてきたことがたくさんあるんだろうなとわかるような語りっぷりなわけです。だから漫画を描く時にも、自分の思想や嗜好の言語化の上に立って表現活動を行っているので、作品の中で剥き出しの生のものをぶつけられることないのがいいんだな、と。逆に、これだけものを考えて喋る人でありながら、文字メディアには(読むのも書くのも)興味が向かないというのもまた面白いなと思いました。漫画バカ一代ですね。(もちろん最大の賛辞です)

  • 才能があるもの同士の対談に圧倒されつつ、
    まさにこれを読んでる時間が幸せの瞬間だった。
    分かり合えている感覚や信頼関係が文章から溢れていた。
    羽海野チカの森田さんと山田さんの困ったらすぐ飛んでいくけどべたべた仲良くはない、という関係性が好きだったのでその話が書いててとても嬉しかった。
    好きだ好きだで真山に根負けした理花さんがアンドレとオスカルというのも面白かった。
    改めてハチクロが好きだと思ったし、読みたい漫画が増えた。
    こんなふうに語り合える相手がいるのは幸せだと思った。

  • 2007年発行。

    よしながふみと、やまだないと+福田里香、三浦しをん、こだか和麻、羽海野チカ、志村貴子、萩尾望都(敬称略)の対談集。志村さんだけ読んで積んでたので再読。今回は三浦さん目当て。

    有名どころの漫画(花とゆめ)と中学~高校2年まで二次創作BLは読んでたので出てくる用語はなんとか分かる、程度の知識で読み進めました。

    ①やまだないと+福田里香
    「ベルばら」、「ホッとロード」など少し前の漫画について。多数の少女漫画が次から次へと語られます。未読の漫画の話が多くてちょっと困りましたが、ページ下部の脚注がとても詳しく親切。漫画をこんなに深く考えて読む、というのは自分にはないことなので新鮮です。

    ②三浦しをん
    しをんさんは『キャンディ・キャンディ』から雑誌「プリンセス」に進む。懐かしい。『魔天道ソナタ』はうっすら知ってる。少女漫画界と小説界の違い。小説は人ごとに印象が感想が拡散するため人と共有しにくい。少年マンガと少女マンガの文法の違い。

    生き方は変えなくていい、幸せは、継続的な幸せはなく一瞬の積み重ねを貯金していく感じ。

    〈受〉〈攻〉どちらに感情移入するか
    自分とかけ離れた可愛い女子には感情移入できないけど〈受〉になら感情移入できる、だからBLが生み出された。同性が主人公だと要求が厳しい。

    ③こだか和麻
    「三種の神器「絶愛・絆・炎の蜃気楼」」、全部未読(;'∀')「絶愛」と「炎の蜃気楼」は友人が呼んでたかな?この章は知識がなくちょっとついていけなかった。

    ④三浦しをん(その2)
    しをんさんは直木賞受賞時に「愛読書はBL」と発言されたらしい。少女マンガが取り上げられるために女性の漫画評論家の人がもっと増えてほしいと思っている。BLの実写化希望(これは最近増えてきましたね!)

    ⑤羽海野チカ
    お二人は同人誌即売会でお隣配置だったそうで。でもそのときは会話はせず、知り合いの仲介で会ってそこから仲良しに。メディア化のときの葛藤が語られる。

    腑に落ちました。このお二人の漫画、どこか似てると思ってました。

    ⑥志村貴子
    自分と読んでいた漫画が似ていたのでやっぱり志村さんが一番しっくりくる。

    ⑦萩尾望都
    よしながさんの萩尾さんへの愛がさく裂していた。
    よしながさん→→→→→→→←萩尾さん
    ぐらいにグイグイ行ってました。

    いや、面白かったー。2021年現在、BLを取り巻く状況はもう状況が少し変わってる気がします。深夜とはいえ地上波でBLドラマが制作放送されてますから。

  • 面白い!

  • 初読。

    カフェに置いてあったのを冒頭の鼎談があんまり面白かったので
    買って読みました。

    「おたくの友人達は口を極めて紡木たくをののしっていた」
    笑ったし、私もその通りだったけど、鼎談にあったように
    大人になったらわかる、あの一瞬のきらめきは凄かった。
    ホットロードの表紙よ…
    くらもちふさこといくえみ綾の違い、グレンスミスの呪い、
    一条ゆかりが三井本を読んでる事。
    件の鼎談だけでこの濃さ。

  • 前々からよしながさんの作品を読んで、フェミニズム的な意識を感じると思っていたので、この対談集でよしなが氏がフェミニストであることを初めてカミングアウトしたというのが興味深かった。本文でも幾度となく語られているけれど、やっぱり本人のそういうものの考えなどは意識して描かなくても滲み出てしまうものなのだなと思う。
    またよしながさんが非常に賢い人間なのだということが伝わってきた。対談相手の作品への分析だけでなく、なぜ自分が「やおい」(これが男同士でなくても良い、という分析もまた面白い)に萌えるのか、などの検証も非常に興味深い。
    対談相手や、出てくる作家名・漫画などに知らない人なども多かったが、脚注のフォローがあり非常に読みやすかった。

  • 萩尾望都さんの名前で図書館で検索していたらこの本がヒットしました。よしながふみさんの作品も好きなので、萩尾さんのエッセイと一緒に借りました。

    たぶん、よしながふみさんと私は同世代なのかも。最初の対談で、よしながさんの発言すべて、「これ、私の発言か?」と思うくらいに激しくシンパシイ。読んできた漫画も同じ。
    紡木たくさんの登場についての回想・感想も、くらもちふさこさんに対する尊敬のポイントもまったく同じ。
    以降、すべての対談において、対談相手の発言にはほとんどすべてにおいて「?」と疑問ばかり感じましたが、よしながさんの発言にだけ激しく共感の針が振れまくってました。
    萩尾望都さんが相手の時の、ちょっと前のめり気味、上ずり気味な気配までも、ものすごく共感しました。
    とてもおもしろかったです。
    ただ、BLには私は何の思い入れもないので、その部分の発言についてはピンとこなかったので、★マイナス1つです。

  • 三浦しをんさんや、羽海野チカさんなど、私にとっては興味深い方たちと、よしながふみさんが対談されています。

    話の内容は仕事のこと、マンガのことと大変マニアックですが、すごく真剣に語りあっている。女性は色々なものに縛られている…という話とか、マンガやドラマにおける名コンビの最高の関係性についてとか、おもしろく読みました。

  • 漫画家よしながふみの対談集。
    大ファンです。
    この人と一度でいいからお酒を呑みたい。


    三浦しをんや羽海野チカ、萩尾望都まで有名所がずらり。
    その中でまあ喋る、喋る。


    対談している本人達が読者そっちのけの盛り上がり。
    BLのヲタ話からジェンダー論までどんとこい。



    「妄想の方が快楽の純度が高いんですよ」


    凄いこと言うなあ。
    24年組はやっぱり読もうっと。

  • あたしに一番足りてないのはここなんだよなというところが書いてあった本。

    あとマンガってこの世の中にほんとにたくさんあってこの本にでてきたマンガは大半がまだ読んでないやつで読みたいと思わされた作品も割とあって、こんなにたくさんのマンガをこのあとの人生で読み切れるかちょっと不安になった笑

    好きなこの好きな本だったっていうのも知らずに読んでなんだかハッピー☆

著者プロフィール

東京都生まれ。代表作の『西洋骨董洋菓子店』は2002年、第26回(平成14年度)講談社漫画賞少女部門受賞。2006年、第5回(2005年度)センス・オブ・ジェンダー賞特別賞、第10回(平成18年度)文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。ほかの作品に、『大奥』『フラワー・オブ・ライフ』『愛がなくても喰ってゆけます』『愛すべき娘たち』『こどもの体温』などがある。


「2022年 『きのう何食べた?(20)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

よしながふみの作品

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