借りの哲学 (atプラス叢書06)

制作 : 國分功一郎(解説) 
  • 太田出版
4.15
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本棚登録 : 217
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778313937

感想・レビュー・書評

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  • 千夜千冊で紹介されていたので興味を持ち読んだ。

  • 主張している内容も丁寧で分かりやすく、哲学に免疫のない私でもサラサラと読めました。確かに具体性に欠ける部分もあるかもしれませんが、ポスト資本主義を考える上で、重要なヒントとなる希望に満ちた内容であると思います。
    エッセンスだけでも知りたい人は千夜千冊でも○
    http://1000ya.isis.ne.jp/1542.html

  • 人は自らの力だけで生きているのではない、生まれたときから大きな「借り」を持って生きている。
    そのことを自覚しようという教え。

    金儲けという形でエゴ丸出しの資本主義への警鐘的な一冊。

    等価交換では貸し借りが発生しない、借りを解放するための取引であってそれは社会的には関係が断絶してしまう原因だ、というあたりの部分が一番印象的で共感もした。

  • 誰もが日常的に周囲の人とやり取りしている「貸し借り」の感覚。著者は資本主義社会においては、お金ですべてが清算できるようになった反面、お金がなければ自律できず、社会や制度、人間関係に頼る「借り」でも解決できなくなっているため、信頼や相互扶助意識で社会が成立していた時代の「借り」の概念を復活させる必要があるのではないか、とまず問題提起する。

    その後はシェイクスピア『ヴェニスの商人』、マルセル・モース『贈与論』、ニーチェ『道徳の系譜』などを用いつつ、交換や贈与や借りといった概念について、その時代や著作における理解を整理していく。
    著者は、現在の世界は借り(相互扶助)ではなく等価交換(負債)の概念で動いているが、これは負債を返せない限り、負い目とマイナスを背負い続けることになるため、国家が「生きていくための最低限の負担」を貧困層に対して肩代わりすることで、貧困層は受けた「借り」を返し、再び社会に組み込まれることができるようになる、と主張する。個人対個人の関係と考えがちな「借り」の概念を、国家対個人でも成立させられると考えているのは面白い。

    著者は最後に、「等価交換は一対一の関係しか作らず、将来、関わっていく未知の人々には貢献しない。借りを受けた人が、他者に何かを与えていけばいい。前の世代からの借りを、価値を加えて次の世代に渡していく。そのような、「与えてくれた人に返さなくてもいい借り」をシステムの中心に据えていく必要がある」と述べて、この本の結論としている。そのような関係性が成立しているのは、現代では親と子の関係ぐらい。経済主眼の資本主義システムそのものはこの先も不変だと思われる中、世界そのものが持続していくためには、確かに著者が言うような「借り」の復権が必要なのかもしれない、と感じた。

  • 「《借り》を拒否する人々」って、貸し借りの中でも、《借り》が出来ない人?それとも借り倒す人のコトかな

    『借りの哲学』 太田出版 | 宗教情報センター(2014/04/22)
    https://www.circam.jp/book/detail/id=4902

    1542夜 『借りの哲学』 ナタリー・サルトゥー=ラジュ − 松岡正剛の千夜千冊(2014年4月21日)
    https://1000ya.isis.ne.jp/1542.html

    Nathalie Sarthou-Lajus | Auteurs | Etudes | Revue de Culture Contemporaine
    https://www.revue-etudes.com/auteur/nathalie-sarthou-lajus/24360

    借りの哲学(atプラス叢書06) - 太田出版
    http://www.ohtabooks.com/publish/2014/02/27173801.html

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      本を届けるという仕事 | 一般財団法人 高田郁文化財団(2023/06/02)
      https://dokusho-culture.or.jp...
      本を届けるという仕事 | 一般財団法人 高田郁文化財団(2023/06/02)
      https://dokusho-culture.or.jp/book/22/
      2023/06/12
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