ネズミ

  • 彩流社
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784779114632

作品紹介・あらすじ

ノーベル賞候補のスペイン文学を代表する国民作家の記念碑的な作品! フランコ独裁政権下、作家として抵抗する作者デリーベスが、カスティーリャ地方の貧しい農村の描写を通して、その怒りを文学に昇華させたロングセラー!

感想・レビュー・書評

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  • 「マリオとの5時間」とは全く別の風合いの作品。

    1950年代ころと思われるカスティーリャの寒村で暮らすネズミ捕り(売るのではなく、食用!)父子、特に聡明な息子ニーニを中心に農村の一年を描く。聖人暦をカレンダー代わりに雨、風、雪、降霜の予測、種まき、刈り取り、脱穀、渡り鳥の渡来などのエピソードをつないで当時のカスティーリャの厳しい自然の中で暮らす農村の姿を淡々と語っている。

    作者デリーベスの意図は検閲批判にあったー当時のフランコ政権は「貧しいスペインの農村の姿」を報道するのを許さなかったーが、その目的以上に文学の「力」を感じさせる作品。

    ところで注釈の鳥の説明が結構詳しいんですが、訳者さんは野鳥好きなのかな?普通オナガの説明に「飛ぶさまはエレガントだが、カラスの仲間で鳴き声が悪い」とは書かないと思う(笑)。

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著者プロフィール

Miguel Delibes Setién (1920-2010)
20世紀のスペインを代表する作家の一人。『糸杉の影は長い』(1947年:岩根圀和 訳、2010年、彩流社)でナダル賞を受賞し文壇登場。自然の中で伸び伸びと生きる子どもたちを描いた『エルカミーノ(道)』(1950年:喜多延鷹 訳、2000年、彩流社)で確固たる地位を得た。以後、家族・子ども・自然・死をテーマに、独自のスタイルで数多くの作品を発表し、セルバンテス賞を始め、多くの文学賞を獲得した。時期的にはフランコの厳しい検閲(1940-1975年)と重なるが、検閲を巧みにかわし抵抗した『ネズミ』(1962年:喜多延鷹 訳、2009年、彩流社)や『マリオとの五時間』(1966:岩根圀和 訳、2004年、彩流社)などの作品もある。その他の邦訳された作品に、『そよ吹く南風にまどろむ』(喜多延鷹 訳、2020年、彩流社)、『落ちた王子さま』(岩根圀和 訳、2011年、彩流社)、『翼を失った天使』(ミゲル・デリベス 著、近藤勝彦 訳、2007年、私家版)『異端者』(岩根圀和 訳、2002年、彩流社)、『灰地に赤の夫人像』(喜多延鷹 訳、1995年、彩流社)、『赤い紙』(岩根圀和 訳、1994年、彩流社)、『好色六十路の恋文』(喜多延鷹 訳、1989年、西和書林)がある。



「2023年 『無垢なる聖人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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