オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険

著者 :
  • 新曜社
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788511248

感想・レビュー・書評

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  • 家にあるリサイクル本を消化していこうシリーズ

    大学の図書館の廃棄本を拾ってきて長らく本棚の肥やしとなっていたが、満を持して読むことに。

    オオカミ少女はいなかった、という話だけで終わるものと思っていたら、それ以外にも科学的発見が実は誤っていた、というような事例を分析していく内容で非常に面白かった。

    作為的に発見を捏造する例から、勘違いや、思い込みが誤った発見に至る事例などがあり、読んでいてどきどきわくわくする感覚。大学時代に読んでいたら間違いなく夢中になっていたことだろう。

    基本的に読み終わったら捨てる本であったが、無事一軍昇格を果たし、とりあえず母に読むように勧めておいた。

  • 歴史的に有名な心理学の実験について、その真偽や精度を問う本。オオカミ少女アマラとカマラの話だけじゃなく、サブリミナルとかワトソンのアルバート坊やとか、教科書にも載ってる話まで。

    おもしろいんだけど、ちょっと鼻息が荒いっていうか、まぁ眉唾な話を教科書に載せるなよっていうのはおっしゃる通りなんだけど…

    でもそんなに言うならこの本自体についてもツッコミたいとこいっぱいあるぜ?ってことで、付箋いっぱいになりました。

    あ、ただ、関心を持ったことを、自分の専門領域に拘らずにかなり細かく調べて原稿にしていくその営みには脱帽です。

  • ☆知らなかったな。オオカミ少女をめぐる真実。全部で8章あるが、実験偽装など、どれもこれも、心理学をめぐる不都合な真実だ。

  • 心理学に関する間違った情報を暴く

  • 「教科書に載っている話が必ずしも正しいとは限らない」

    所蔵情報
    https://keiai-media.opac.jp/opac/Holding_list/detail?rgtn=076485

  • 社会
    思索

  • ”アマラとカマラ”や一卵性双生児の奇跡など、誰でも一度は目にしたことのある有名な逸話を徹底検証し、捏造問題を明るみに出すという、一見センセーショナルな本なのだが、ただあげつらい断罪するのでなく、なぜそこに至ったのか背景を丁寧に追い、また当事者の功績にも触れた、フェアな内容である。
    心理学を、きちんとした学問として発展向上させたいという筆者の熱意が伝わる好著。
    ただしタイトルはいただけない気がする。内容の品格に比してちょっと安っぽい。

    P31 懐疑を論理的に克服すると、それは信念に変わることがあるのだ。

    P46 閾には「絶対閾」と「弁別閾」がある。閾下知覚は、このうち前者の絶対閾に関係する。

    P51 認知心理学でいう「意識下(閾下)」とフロイトの「無意識」には大きな違いがあるということである。この二つを混同しているために、話がわけのわからないところに行ってしまうのだ。

    P109 実際には、環境なくしての遺伝はあり得ない(遺伝は環境を前提にしている)のだから、問題は両者がどのように相互作用しあうか、であるはずである。遺伝と環境という二項対立でものを考える限り、新たな学問的展開など、期待できるわけがない。

    P211 そうした「心」を心理学ではどのように扱うのか。オーソドックスには、言語的反応や行動や生理的な反応を通してである。行動や反応のデータから、心の中で、脳の中で、体の中で、どんなことが起こっているかを推測する。つまり、心理学とは間接科学である。(中略)心理学が客観性を備えた自然科学のようにも見え、どこかしら胡散臭さも残しているのは、間接科学の持つ宿命に他ならない。 

  • テキストに載っている内容を疑うことはほとんどしない。それによって神話が広がることがある。教科書は知的経済性が高いものとして認識しているので批判が向きにくい。また,それを使う者も信じていれば神話は再生産され続ける。

  • 心理学の胡散臭さを解消したいと言った本だったが、実験に対するダメ出しばかりで実際はどうだったかといった点がいまいち弱い気がした。

    もう少し明確にこの実験はここがダメだったので結果は、ここが間違っていると言うことを述べてもらいたかった。

    やっと自分も自分に合う著者、本がわかってきた気がする。
    この本の著者とはあまり相性が良くなかった。

    狼少女の件は、様々な状況から考えてやはりなかったのだと思う。今回そのことがよくわかった。

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著者プロフィール

新潟大学名誉教授。
著書『動物は世界をどう見るか』『オオカミ少女はいなかった』(新曜社)
訳書 R・N・シェパード『視覚のトリック』
ジャン=フランソワ・ドルティエ 著『ヒト、この奇妙な動物』
P.エーリック、A.エーリック『支配的動物』
フィリップ・ステッドマン 著『フェルメールのカメラ』他多数

「2019年 『謎解き アヴェロンの野生児』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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