しょぼい生活革命

  • 晶文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794971685

作品紹介・あらすじ

ほんとうに新しいものは、いつも思いがけないところからやってくる! 仕事、結婚、家族、教育、福祉、共同体、宗教……私たちをとりまく「あたりまえ」を刷新する、新しくも懐かしい生活実践の提案。

しょぼい起業でまっとうな資本主義を再生/もののはずみで家族になる/国家が掲げる大義名分より仲間が大事/欲しいものがあればまずそれを他人に与えるところから/話はどんどん複雑にする/お金は「思いがけない使い道」に……。
世界を変えるには、まず自分の生活を変えること。熟達の武道家から若き起業家へ、世代間の隔絶を越えて渡す「生き方革命」のバトン。

何か「新しいけれど、懐かしいもの」が思いがけないところから登場してくる。それを見て、僕たちは、日本人がまったく創造性を失ったわけではないし、才能が枯渇したわけでもないと知って、ほっとする。きっとそういうことがこれから起きる。もうすぐ起きる。それが「どこ」から始まるのかは予想できないけれど、もうすぐ起きる。そういう予感が僕にはします。えらてんさんとの出会いは僕にとってそのような徴候の一つでした。
(内田樹 まえがきより)

【目次】
1章 全共闘、マルクス、そして身体
2章 しょぼいビジネス、まっとうな資本主義
3章 共同体のあたらしいあり方
4章 教育、福祉制度を考える
5章 先祖と宗教とユーチューバー
6章 日本とアジアのあるべき未来

感想・レビュー・書評

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  • えらいてんちょうの、しょぼい起業で生きていくを読んで感動した。
    そこで、しょぼいシリーズを片っ端から読もうと、これも予約した。
    なんと大嫌いな内田樹との対談。
    内田の部分は読んでて阿保らしくなるので、えらてん氏の部分だけ抜き読み。
    えらてん氏の考え方や生い立ちなどがわかって興味深かった。

  • フランス哲学の日本での流行の変遷のくだりが面白かった。

    自分の専門分野はずっと付き合いがあるから諸々思うところや事情があるにせよ、やはり外側の人(特に若者)に向けては「仏文科(文学部、仏哲=自分の専門分野)面白いよ!」って言いたくなるのが人情だと思う。

  • 普段自分が考えていることの話と全然考えていないことの話が半々くらいで出てきて、面白かった。
    ・身体性
    ・共同体は持ち出し過剰で成り立つ、合意形成はみんな同じくらい不満にもっていく
    ・株主の配当は、継続したサービスの提供でいい
    ・責任は責任をとるといったら発生する
    ・共同体としては構成員に屈辱を与えないことが大事
    ・成長するところは複雑化し、単純な社会な衰退する

    誰これ?なにこれ?みたいなのが多いので、内輪なところに脚注をつけてほしいなと思う。

  • YouTubeの対談なんかもそうだが、研究論文でも娯楽用の創作物でもなく、単に自分の成り立ちとか主義主張をぶつけ合うだけの対談が有料コンテンツとして成り立つというのが、そもそも生活革命だろうと改めて考えさせられた。で、自分も消費者の一人なわけだが、内田樹とかえらてんとか、その視点で見れば、結局何を言おうが、思想のバラ売り屋さんであって、商業主義的思想家、あるいは、カタカナでコンサルタントと呼ばれる種族。研究職との違いは、反論に磨かれない事。内田樹は、考え方の異なる弟子を破門したと対談でコメントしているが、まさに。そして、えらてんは、コンサルタントであり、ユーチューバーである。

    決して否定的に見ているのではなく、こうしたコンテンツが成立していく事こそ、生活革命であるし、そのニーズの根源をよく見抜いていかねばならないと感じたという事。えらてんは、立花孝志に突撃口論した動画をアップしていたのが懐かしい。再生数稼ぎか、正義の棍棒を振りかざした思想のバラ売りか。今回、この本では、思っていた以上にマトモな感じがした。

  • 僕は内田樹という知性を信頼している。

    膨大な知識・鋭い感性・身体性に裏打ちされた独自の視点を持ちつつ、さらに自分より若い世代や異なる分野の専門家に対してオープンマインドな姿勢を保ち続けている人だからだ。

    自分はもうすぐ40歳を迎える人間(内田樹氏から見ればまだまだ若造)だが、既に自分より遥かに若い人たちの感性やスピードについていけず、徐々の頭が徐々に柔軟性を失いつつように感じ始めている。

    そういう自分の老化のようなものを自覚し始めた今だからこそ、内田樹氏の開放性というか、しなやかさに尊敬の念を禁じ得ない。


    本書「しょぼい生活革命」は、そんな敬愛する内田樹氏が、自身の娘よりも若い30歳の青年(えらいてんちょう氏)と真正面から向かい合い、経済、政治、教育などについて、自分の感覚を頼りに率直に意見を語り合う本だ。

    えらいてんちょう氏については、本書を通じて初めて知ることになったわけだが、内田樹氏が対談相手に選んだだけのことはある。
    彼は単に若さに由来する溢れるエネルギーを頼りに影響力を拡大している若者とは一線を画す人物だと感じた。

    えらいてんちょう氏の行動の一つ一つが、単なる衝動から来るものとは明らかに違う。
    自らの経験と思索を元にした思想に裏付けされているように感じる。

    こういう若者の行動は、状況が少し悪化し追い風が向かい風に変わったとしても、まわりの注目が落ち着き大多数の人に忘れられてしまったとしても、静かに着実に継続される。強靭な植物の根のように、地中に深く広く張り巡らされていく。

    そして、まわりの人たちがふと思い出し、その人に再度注目した時には、すでにより強くより偉大な人物に成長している。
    周りの人から見るとまるで変身してしまったかのように見えるが、本人からしてみれば日々着実に学んでいった結果に過ぎない。
    えらいてんちょう氏はそういう人なのだろうという印象を受けた。

  • 《中立的な第三者が出てきて、身銭を切って「不満の程度」を揃える。よく「ウィン・ウィン」とか気楽なことを言うやつがいますけれど、そんな合意形成はまずあり得ないんです。誰かがが身銭を切らないと、合意形成は成らない。合意形成は基本「ルーズ・ルーズ・ルーズ」の三項関係なんです。》(p.111)

    《いま、パターナリズムというと全部ダメということになってしまいましたけれど、パターナリズムがダメになるのは、メンバーの間にディセンシーが欠けている場合なんです。距離感と言ってもいいし、あるいは無関心と言ってもいいのですが、そういう「家族が何を考えているかはわからないけれど、自分が彼らのために何をしなければいけないのかはわかっている」というのが家長の条件だったと思います。》(p.143)


  • 矢内氏(えらいてんちょう)のご両親は東大全共闘の生き残り。1990年生まれの矢内氏はご両親が指揮するコミューン(原始共産制)で育った。
    1950年生まれの内田樹氏は言うまでもなくその世代の人。
    革命で世界を変えられなかった世代(それよりはちょっと年下か)の内田氏と、共産制のコミューンで育った矢内氏が対談し、「まっとうな資本主義を再生する」などと述べているのは、それはまぁ,かなり面白い。笑 

    帯にもある、「世界を変えるには、まず自分の生活を変えよう。」というのは、この本のタイトル、「しょぼい生活革命」を一言で表していると思う。「自分の生活を変えよう」とするのは新たな試みで、だから全然「しょぼ」くないけど、「しょぼい」をキーワードにすることで生活のハードルを低くし、生きやすさにもつながる。
    刺激的な内容で読めてよかったです。

  • えらいてんちょうの本をまた読んでみたかったので借りてみた。この内田樹という人は初めて知ったし、この人の方が多くしゃべってるけど、また知らない世界を知ったなという感じ。左翼と右翼の違いも分かってないので勉強不足なんだろうけど。田舎の空き家に引きこもりの人に住んでもらうとか、漫画喫茶で座って漫画読み放題、ドリンクバー飲み放題だけでいい、それで時給500円で、というのはぜひやりたいけどね。最低賃金を設定したせいで皆がちゃんと働かなきゃならなくなったというのは目から鱗だったなぁ。私のようにちゃんと働くなんてしたくない人が多いのだ。あと、えらいてんちょうがコミューンの出身というのは驚きだった。こんな人たちがまだいるとは。

  • 全然しょぼくない話ばかり
    成熟は複雑化していくこと、というのは気に入った
    社会、世の中なんでも複雑過ぎて嫌になる事が多いけど、成熟していると思えば、ほんの少しだけど前ほど嫌な気分にならなくなった

  • 小さなコミュニティを横断して生きていく

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。神戸女学院大学を2011年3月に退官、同大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。著書に、『街場の教育論』『増補版 街場の中国論』『街場の文体論』『街場の戦争論』『日本習合論』(以上、ミシマ社)、『私家版・ユダヤ文化論』『日本辺境論』など多数。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。

「2023年 『日本宗教のクセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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