イノベーションへの解

  • 翔泳社
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798104935

感想・レビュー・書評

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  • クリステンセンのイノベーションに対する取り組み仮説について記した本。名著
    イノベーションにおける名著。イノベーションに関連する各重要論点に対してどう取り組んでいくべきかについての示唆を与えてくれる。

    <メモ>
    ・イノベーションのプロセスでは中間管理職が極めて重要な役割を果たす。信憑性を担保するために主要顧客の肯定意見や成功類似製品から将来に関する裏付けがもたらされる。成功しやすいもの、過去に成功したものに似せる力が働くことになる。

    ・破壊的イノベーションにおける新市場型とローエンド型の存在。

    ・アイデアを破壊的戦略として形成するためのリトマス試験
    1 金道具スキルがないためにできなかったか、料金を払って専門家にやってもらわなかったものか?
    顧客はこの製品を利用するために不便なところにいかなければならなかったか? →新市場型破壊戦略につながる可能性
    2 ローエンドに価格低ければ性能面で劣っても買おうとする顧客がいるか?低価格でも魅力的な利益を得られるビジネスを構築できるか?
    →ローエンド型破壊戦略につながる可能性
    3 業界大手企業すべにとって破壊的か?
    →そうでなければ持続的イノベーションに該当する企業が勝つ可能性が高い。


    ・顧客が求める製品とは顧客のジョブを解決してくれるものである。これに焦点を当てるべきだが、定量化の魔力や組織のメカニズム、チャネルは顧客別に設定されやすいなどがあり、なかなかこれを実現することは難しい。
    顧客が片付けようとしている用事を反映する区分ではなく、データが入手可能な区分に沿って市場を細分化することが多い。

    ・新市場型破壊は金やスキルを持たなかった人が利用することで自力で用事をこなせるようにするイノベーション

    ・望ましい顧客は長年ある製品を欲しいと思っていて、あなたの製品でようやく手に入れられた顧客。あなたを必要とする顧客。競合企業の誘惑にまけず、あなたの製品に忠実な顧客。
    資源配分プロセスで正反対タイプの顧客を追求してしまう。既存顧客を標的にしてしまう。ジレンマを逃れたい経営者は破壊的イノベーションを脅威と位置づけつつ、事業構築を任せたチームに成長機会の追求として位置付けさせる。

    ・モジュール型破壊者にとって健全な利益を確保する唯一の方法は低コストのビジネスモデルをできるだけ速く上位市場に持ち込み、高コストの独自製品メーカーと最前線で競争し続けること。

    ・競争力は単に得意だと自負する業務を行うことではなく、むしろ顧客が高く評価する業務を行うことから生まれる。新しい物事を学習する意欲と能力を持つことが絶対的に必要。

    ・魅力的な利益を獲得する能力はバリューチェーンのなかを動いて、直接顧客が入手可能な製品の性能にまだ満足していない付加価値活動へと移動する。十分に顧客が満足している領域からは離れていく。モジュール化や標準化で差異がなくなるため。周辺部からコモディティ化と脱コモディティ化のプロセスは始まっていく。

    ・成長機会に取り組む経営者はまず成功するために必要な人材や資源があるか判断する必要がある。それから「組織で慣習的に用いられているプロセスは新しい課題にふさわしいのか?」「組織の価値基準はこの実行計画に必要な優先順位を与えるのか?」この2つの質問に考える必要がある。実績ある企業が破壊的イノベーションの成功確率を高めるには、機能別に構成された軽量級チームと重量級チームをそれぞれ適切な場合にもちい、持続イノベーションは主流組織で商品化し、破壊的イノベーションは自律的組織に任せる必要がある。
    軽量級とは機能別に構成されたチームで既存プロセスを活用する。
    重量級とは新しいプロセスや協力して仕事を行うための新しい方法を生み出す手段

    ・事業の生成期に最も適した資金は成長は気長に待つが、利益は気短に急かすタイプの資金。ただし、必勝戦略が明らかになった後は成長を気短に急かす資金を用いなければならない。早期に利益を実現できれば、必要な資金を投資家から引き出し続けられる。成功の鍵にもなる。収益化を先延ばしにすることを許された新事業が成功することはない。

    ・破壊能力をプロセスに埋め込む方法。成長エンジンを作り出す。
    1 必要になる前に始める。企業が成長しているときに始めるべき。破壊的事業が軌道に乗り規模が大きくなるまでには長い助走路が必要。
    2 アイデアを適切な形成プロセスおよび資源配分プロセスへ導く上級役員を任命する。新事業を会社の既存プロセスから免除し、新しいプロセス設計が必要だと宣言し、資源配分が適切になされるようにできるのは彼らを置いて他にいない。
    3 アイデアを形成するためのチームやプロセスをつくる。
    アイデアを成功確率の高い破壊的イノベーションに形成するための独立的に運営されるプロセスをつくること。
    4 部隊を訓練して破壊的アイデアを発見させる。営業、マーケティング、エンジニアリングの部員を訓練する。

    ・上級役員がイノベーションのマネジメントで果たすべき役割。適切な連携プロセスがなければ自ら連携させる。部下が新しいコミュニケーション、連携、意思決定のパターンを必要とする課題に直面したときは、既存プロセスの支配力を崩す必要がある。同じ行動がおこなわれるときら確実に導き、連携させるプロセスをつくる。様さな組織の橋渡しを行い、新成長事業での有益な学習を主流部門に還流させ、適切な資源プロセス価値基準が適切な状況で用いられるよう心を砕く。

  • イノベーションのジレンマの続編である本書
    持続的イノベーションを継続する企業が破壊的イノベーションに対する対応として
    組織構造やイノベーションを起こすプロセスなどについて
    過去の成功事例を分析して言及している
    予防策として頭に入れる分には良いと思うが
    あくまで過去事例なので、参考までが限界だとは思う
    また、書いている通り実践しても仕方ないので、アレンジは必要。頭を使う部分かもしれない

  • ”「破壊型イノベーション」で無消費に挑め”

  • 「イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき」のレビューを参照してください。

  • イノベーションにdisruptiveという形容詞が加わったのはこの何年かのことだと思うが、それは著者の一連のイノベーションにかかわる研究に起因するものであるようだ。その意味ではかなり大きな影響力を持った本だといえるが、それがよかったかどうかは定かではない。

  • クリステンセンは、「イノベーションのジレンマ」を読んで、面白かったものの、その後の本は読んでいなかったところ、先日、たまたま「ジョブ理論」を読んで刺激を受けたので、こちらも読んで見た。

    「ジョブ理論」については、わたしは面白いと思ったのだが、「新しみがない」という評価も多そう。ということから類推すると、「ジョブ理論」は、「イノベーションへの解」の焼き直しなのかな?と想像していたのだが、そうでもないかな?

    「イノベーションのジレンマ」が問題提起編だとすると、こちらは「対応編」。

    とは言え、ものすごく新しいことが書いてあるような感じでもないな。

    色々な他の研究で言われているようなことをうまくまとめているみたいな印象。

    ある意味、ドラッカーのイノベーション論をアップデートした感じ、というと言い過ぎかな?

    破壊的イノベーションは、天才のアイディアではなくて、計画的に生み出せるもの。

    とは言っても、それを本当にやるためには、通常のマネジメントとは大きく違う思考、判断、プロセスを採用する必要があるので、それを徹底するのは、やはり難しそう。

    イノベーションに関して色々な方向から整理されていているのだが、個人的には、一点突破な「ジョブ理論」の方が、好きだな。

  • 今後の仕事の進め方を考える上で、非常に参考になりました。
    自分の会社の商品サービスの向かうべき方向も何となく見えてきましたし。

    時間を見つけて、また、読み直したいと思います。
    きっと、読み直すたびに、新たな気付きがあると思います。

  • 会社の研修課題として読了。
    破壊的イノベーションを生む土壌やプロセス、組織など知見を獲得できる内容であるが、外国書籍の翻訳で読みにくいというのと内容がアカデミックなのでちょっと難解。
    同じ知見を咀嚼できる分かりやすい書籍があるんじゃないかなーと思いながら読んだ感あり。

  • 「イノベーションのジレンマ」の続編。前作がなぜイノベーションのジレンマがなぜ起きるのかということに書かれていたのに対して、本書ではそのイノベーションのジレンマにどう立ち向かえばいいのか、またはどのように破壊的イノベーション起こせるのかということを理論立てて書かれている。

  • 難解だが示唆に富む。このような本をネイティブの言語でリアルタイムで読める人たちを羨ましく思う。

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