しずるさんと偏屈な死者たち: The Eccentric Dead In White Sickroom (富士見ミステリー文庫 52-1)
- KADOKAWA(富士見書房) (2003年6月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
- / ISBN・EAN: 9784829162149
作品紹介・あらすじ
「ねえ、よーちゃん-この世界には不条理としか思えない謎がいくつもあるわね?」しずるさんはそう言うけれど、私には彼女こそ、この世で一番謎めいてみえる-何年も病床にありながら、とても綺麗で、この世の誰よりも聡明で-どんな不可解なおぞましい殺人事件の数々も、彼女の前では只のごまかしになってしまう-妖怪化したり、宇宙人に狙われたり、幽霊犬に襲われたり、吊られたりする死体の謎を病室から外に出られない少女の推理が解き明かす、これはすこし不気味で、かなり奇妙で、ちょっと切なげな、少女たちの不思議な冒険をめぐる物語です。
感想・レビュー・書評
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百合風味のトンデモバカミスです。
(虫太郎→)麻耶→清涼院→西尾(上遠野)って感じの新本格の流れの一つに位置づけられるかと。
本格ミステリの構造を使いながらも、トリックの現実性を徹底的に無視して、独自の世界観の中に吸収してしまうという手法の流れ。
それらは巫山戯たトリックをあくまで大真面目に使ってみせることで、「フェアな謎解きゲーム」でなくとも、その構造を用いてさえいれば「ミステリ」であり得ることを証明している。
これはミステリを構成する要素として「館・密室・探偵」などといった外的要因が重要視された時代から、ノックスの十戒のようなルール重視のゲーム的読み物の時代を経て、「不可能事件→推理→論理的解決」という手順をメインに据えた小説ならなんでも「ミステリ」と称してよい時代になった、ということではないだろうか。
ミステリは理論的でなければならない、という主義を推し進めた結果、理論的であればミステリである、という境地に達してしまったかのような。
私個人の好き嫌いで言えば、結構好きですけどね。ミステリ愛が暴走したようなバカミス。
ただ受け付けない人の方が多数だと思いますので、あんまりお薦めはできないかな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
短編4編なので、ネタバレOKドキドキワクワクNGの私にとって読みやすかったです。
二人の関係が思春期の友人関係って言うとちょっと違うかなと感じるので、今後その辺をどうしていくのかなって思う。きっとこのまま変な関係で突っ走りそうだけど。 -
安楽椅子探偵ものといっていいんだろうか。トリックというかとってつけたような真相。しずるさんとよーちゃんのイラストを愛でればそれでよいのだろうか。う~ん。
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偏屈な死者、とあるように変死体ものを4編。解決は強引な感じがするが、謎にはインパクトがあった。幽霊犬はマスコミが騒いでるあたりを読み返すと面白い。気付かんよ。
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富士見ミステリー文庫。
安楽椅子探偵で短編が四本。テレビや新聞、雑誌記事だけからそんなに物事を推測することができるのかが非常に疑問。証拠もなにもないから、安楽椅子探偵の定石どおり全て推測でしかないけど。(ただまあ、当たってるんだよな。)
ライノベとして楽しむには十分。上遠野だし。
ただ、ミステリとしてはやっぱり富士見でしかないな、といった感。
しずるさんの推理過程が一切分からないし、与えられた条件からはこの結果しか導き出せない、とか云われてもね。
途中途中に挟まってた短編「はりねずみチクタの冒険」はいい味を出していると思う。ラストなんか特にね。さしずめ船=しずるさん、チクタ=よーちゃんといったところか。
しかし、結局四つ目の「しずるさんと吊られた男」でしずるさんが何を思い、何をしたのかよく分からなかった。あのメールを送ったのはしずるさんなのか? ってか、メールの意味すら分からないし。相変わらずよく分からないな、上遠野の作品は。
04.05.27 -
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病院から出られないしずるさんが大好きなよーちゃんをアゴで使い情報を得ておかしな死体の謎を解く。
裸のまま電車内で読むのはつらいのでカバーが必要だなあ・・・
(2005年10月31日読了)