研ぎ澄まされた美貌と一流の腕を持つ証券会社ディーラー・秦部直弥は、あるクラブで、夜な夜なもてあまし気味な自分の心を慰めるために、あるクラブに出入りしていた。
そこは、同性愛の性癖を持つ人々が出会いを求めて、集まる場所で、直弥はそこに行き、誰の誘いにもなびかないことで、「自分はそうではないのだ」ということを確かめていたのだった。
ところが、ある夜、そのクラブであった男に突然肌をまさぐられてしまう。
直弥の行きつけのクラブは、どちらかといえば、紳士的な振る舞いをヨシとするような場所で、そんなことをされたことは一度もなく、直弥は怒りに震えるけれど、圧倒的な存在感を持つ斉木という男に、不埒なまねをされ、直弥は反応してしまう。
おまけに、フルネームと所属する部署名まで言い当てられ、直弥はついふらふらと斉木についていってしまう。
斉木の意図もわからず、ホテルに連れ込まれた直弥は、被虐の肉欲を暴かれ、周知と苦痛の歓びを叩き込まれていくことになる。
度重なる過ぎた快感と放置の繰り返しに、直弥自身も認められずにいた、本性が暴かれる。
どうしてこんなにいいのだろうか?
直弥はとけていく身体と、理性の間で葛藤をするが、次第に堕とされ、斉木に言われるがままに仕事も辞めてしまう。
そして、直弥が斉木に命じられた仕事は、「共生者」としての役割だった。
という話でした。
前々から、この作者さんの書かれる話ってとても男性的な話……というか、官能小説的な話だなー……と思って読んでいるんですが、今回もそんな感じのお話でした。
物語が始まってから、延々100ページ、斉木の出会いから直弥が堕とされるまでのシーンだったんですが、ほぼやっている描写。
カーテンレールにつるされて放置した挙句、足元に大人のおもちゃを置いたり、いかないように根元をしめつけたままだったり……
その間、斉木がどうしてこんなことを直弥にするのか、どこで直弥のことを知ったのか、まったく触れられることはありません。
で、ようやく100ページが終わった頃にネタばらし、なんですが。
快楽でわけがわかんない状態にされた直弥が組のために、お金を稼いでくれ、と頼まれて、投げやりになっちゃった直弥はそれを引き受ける、という流れ。
そして、一緒に暮らしていくうちに些細な優しさに惹かれていって……と。
なんだか、割と官能小説っぽいですよね。
でも、個人的にはこんなハードめなえろいBLってなかなかないので、割と好きだったりします。
ただ、右の乳首ばっかり弄り過ぎて、変形させてしまう、とかはちょっと美的センス的にいただけませんでしたけど。
ハードなBLを読みたい人にはオススメな話でしたが、ちょっとストーリーが甘いかなー……と思ってしまってイマイチ萌えられなかったので、普通の点数にしておきました。