年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学
- プレジデント社 (2014年4月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784833420822
感想・レビュー・書評
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原文の題は”The New Generation of Jobs”で、邦題はゴシップ的だが、まじめな都市経済学の書。物理的な距離はもはや意味がなくなったといわれるが、その一方で、世界の都市への吸引力は強まっている。どこに住み、どこで職につくかが、かつてなく大きな意味を持つようになっている。東京やDC、サンノゼなど大都市で生活し、働く意味は大きい。
グローバル・ローカルエコノミーという、経済のグローバル化が進むとともに、都市のローカル化が進んでいる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
イノベーションと都市経済学の学際領域。タイトルはイマイチだけど、中身はアカデミックにも価値が高い。イノベーションはなぜ特定の都市・地域に集中するのか、そしてそれがいかに大事なのか、ということが良く分かります。僕、将来こういう本を書きたいんだろうな、と読んでいて思いました。
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米国では製造業の新興国シフトに伴い、地域間の所得格差が拡大しているそうです。これは今日の付加価値を生んでいるイノベーション産業での雇用の乗数効果が従来の製造業よりも高いことに起因しているとの事。また、イノベーションハブでの知識伝播、雇用の厚み、関連サービス業の充実などにより、その傾向に拍車がかかっているのだとか。これらの弊害を緩和しながら、米国経済を拡大するために、雇用のミスマッチや補助金を含めた投資効果向上を実現すべく様々な提言もなされていますが、日本でも地方の疲弊やバラマキ財政などで考えさせられる場面も多く、非常に知的な刺激を受けた一冊でした。
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タイトル釣りだが、むしろエビデンスをこれでもかと投げつけてきて冗長なくらい。内容は常識的ではあるものの参考には大いになる。そりゃ製造業労働者は定型化された消費を好む、もしくは、そのような消費を行う分しか持っていないが、高所得者たるイノベーション産業労働者は、非定型の消費を好む。そりゃそうだ。ただ、その二つの労働者の乗数効果の差であったりとか、都市間でその階層の所得の逆転すらありえるというのは驚きである。ただ、残念なのはイノベーション産業の集積地と今までの経済の中心地が異なる国がアメリカくらいしかなく日本ではいずれも東京なので戦略的な行動でどうにか、とかは難しいこと。
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表題から感じる軽薄な印象とは裏腹に、とても内容の濃い本でした。米国におけるイノベーション産業の興亡と地域に与える影響に対する考察。革新的な労働人口を確保するための国際的な戦略。地方の過疎化など日本にも当てはまる。米国での最近の傾向として、白人居住区と黒人居住区のような棲み分けが減って来て、同じような学歴や職業に従事する人間同士が住む地域が増えているというのと、高学歴者と低学歴者の格差が一層大きくなって来ているというのが印象的だった。やっぱ勉強しないとね。
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先進国の製造業は復活しない。これからは、イノベーション産業が根付き、栄えるようにすべき。優秀な人が集まり、相互に知識や情報交換が行われ、文化やアートや健康産業が集まる場所。
都市経営や政策立案者には重要な提言。