農場の少年―インガルス一家の物語〈5〉 (世界傑作童話シリーズ)

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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834004106

感想・レビュー・書評

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  • 大きな農場の次男坊、アルマンゾの物語。『大草原の小さな家』ローラの未来の夫でもある(が、どうやらまだ出会っていないようだ)。
    農場の生活が細かく語られる。動物の世話にしつけ、畑の手入れ、織物縫い物、バター作りにろうそく作り、氷の切り出し、丸太運び、その他もろもろ。家族は夜討ち朝駆けで働く。仕事量だけでなく技術も高く、何でもできるゼネラリストだ。アルマンゾは両親から多くのことを学んでいる。働くことの喜びや誇らしさ、確かな手技、金銭とは労働の対価であること、など。早く一人前になりたくて、懸命に働く。これでまだ8歳!
    初めて、「アメリカってやっぱりすごい国だったのかも」と思った。こんな人々が下支えしているのだから。
    しかしこの物語のなかですでに、人々は土から離れ始めている。アルマンゾのいとこは町の子だし、兄は農家を継ぐ気がないのだ。だからこそ、アルマンゾが一心に父の背中を追う姿に心動かされる。いや、あられもなく感動してしまった。ローラにはまさに似合いの伴侶である。
    ラスト近く、アルマンゾの父親が農家の仕事について、「自由で自分の思い通りに生きていける」と話す部分がとても印象的だった。この「自由で思い通り」には、「無責任で自分勝手」というニュアンスはみじんもない。真に自由で誇り高い大人の言葉だ。かっこよすぎる。(そして、とてもまねできない…)。

  • ローラと結婚することになるアルマンゾの少年時代の物語。生きていく上で大切なことを両親からしっかり教わって大きくなったんだなぁ。
    独立記念日にいとことつい張り合ってしまって、お父さんにお金をもらいに行く場面、ジャガイモづくりになぞらえてお金の価値を話してくれた末に父さんがくれた50セントでレモネードではなくて子豚を買うエピソードが好きだ。

    アルマンゾがお腹いっぱい食べている食べ物の美味しそうなこと!

  • なんとなく不穏な雰囲気で始まる。不良少年たちが先生を襲って下手したら殺してしまう、という…。
    しかしコアーズ先生の皮鞭での反撃は素晴らしかった。そしてその皮鞭を提供したのはアルマンゾの父親だったのだ。かっこよくて痺れますね。

    この本は食べ物シーンが充実してます。
    p.39「アルマンゾは、あまくてとろっとしたベイクド・ビーンズをたべた。塩づけ豚をひとくち口にいれると、クリームのように口のなかでとけていく。茶色のハムの焼汁をかけて、粉ふきにしたジャガイモをたべた。つぎにハムをたべた。……」

    ポップコーンにリンゴ液(サイダー)てな食べ物は、いかにもアメリカン!
    次の食べ物たちも。「濃いクリームとメイプル・シュガーをたっぷりかけたオートミールがある。薄切りにしていためたジャガイモがあり、金色の、そば粉入りのホットケーキがある。」(p.44-45)

    『長い冬』でアルマンゾの作るおいしいホットケーキが登場するのだけど、それは母親ゆずりだったのだね。(p.96「日曜日」)

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    このシリーズはローラ姉妹、女の子たちのお話なので、この巻だけ男の子のお話で異色。
    アルマンゾは父親から、家畜のこと畑のことをみっちり教わりながら育っていく。家畜の手なずけ方。絶対にやってはいけないこと(子牛の段階でからかったりしてはいけないなど)、危険なことは厳しく教え、成長に応じて子どもにさせ、考えさせる。
    立派ですよ。じつに立派です。お父さん。
    アルマンゾも、だから、賢い少年に成長していきます。

    大人も子どももまあ働くこと働くこと…
    橇など暮らしの道具作りから帽子や洋服、バターに砂糖作り、何から何まですべて手作り、それどころか食料源となる家畜や労働力としての家畜を飼い…その世話がまた大変なのだ。
    というのはローラたちと同じですが、定住している分、少し苦労は少ないかなという印象。
    「るす番」なんて、子どもたちがあんまり好き勝手しすぎて、アイスだのケーキだのたんまり作って家の仕事を全然しないものだから、ハラハラしてしまった。
    まるでローラシリーズではない児童文学を読んでいるような気がしました(リンドグレーンとかね)。

    最後、父さんは馬車やのパドックさんにアルマンゾを見習いによこさないかと誘われるけど、アルマンゾは父さんみたいに農場で働いていきたいと思う。
    父さんを尊敬しているのだ。好きなのだ、この仕事が。
    父さんが仕事について、農民と商人(町での暮らし)の長所短所をアルマンゾに語って聞かせるところも、いいなあと思いました。

  • ドーナツが油の中で勝手にひっくり返るのってどうやったらいいの?

    昔チャレンジしたけどうまくいかなかった。

    またやってみようかな?

  • 憧れてしまう。農場の暮らし。でも自然は厳しい。雪の日なんてもう何もできない。アルマンゾえらいなあ。きょうだいで喧嘩もしつつ、力を合わせて両親を手伝って…いいなあ。食べものが全部おいしそうでうらやましくなる。石けんも、ろうそくも自家製すごい。馬、いいなあ。アルマンゾは農場で成長してゆきたいのね。この人がローラと結婚するのだなあ。

  • 農場での暮らしぶりが四季を通して描かれている。
    自然が相手なので厳しいものだが、すごく充実している。
    いつも美味しい食事をたっぷり用意してくれるお母さん。家族の衣類も流行を取り入れて仕立ててくれる。
    家のことは全て安心して任せられる。
    更に、バター作りの名人で高値で売ることもできる。
    お父さんは、農夫としての誇りを持って生き生きと仕事をしている。農作物を育てるだけでなく、酪農・畜産、農耕のための牛馬を育てたり馬車用の馬を育てたり。毛糸のための羊も。そういった家畜の餌も自分たちで確保する…
    生活のほぼ全てのものを自分たちでまかなっている。
    また、お金の価値や、農夫として生きることの素晴らしさを伝えてくれるし、アルマンゾが困難に直面した時に必要なだけ手を貸してくれてあとは自力でやり遂げるのを見守ってくれる。
    そんなお父さんは、アルマンゾの憧れなんだな!
    素晴らしい。

  • 何度読みなおしても隅々まで面白い。最後のページを読むといつも涙がじわっときちゃうんだが、今回は「終わりのページ」をめくったとたんにジワッと!なんかもうパブロフの犬ですね

  • 少年アルマンゾが主人公なせいか、今までのシリーズ以上に食べ物が美味しそう……

  • ローラが書いた本の中でいちばん好きかも。後にご主人になられたアルマンゾの子どもの頃の話ですが、豊かな農家の生活が描かれていて おもしろかった。

  • ねじりドーナツ、メリノ種、爆編み。

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著者プロフィール

1867年、アメリカ北部のウィスコンシン州に生まれる。1932年、西部開拓時代の体験をもとにした自伝的小説、『大きな森の小さな家』を発表。『大草原の小さな家』『プラム・クリークの土手で』などとあわせ、「小さな家シリーズ」として世界中で読まれてきた。テレビドラマの「大草原の小さな家」は、このシリーズをもとにしている。1957年、90歳で亡くなる。



「2017年 『小さな家のローラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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