- Amazon.co.jp ・本 (52ページ)
- / ISBN・EAN: 9784834005400
感想・レビュー・書評
-
大人になってからははじめて読んだか?
矢川澄子は「堂々たる姦通小説」と評していた。清水真砂子がそれを踏まえて評論しているみたいだから今度読もう。
外を求めていく気持ちはどうしても、内に対する不貞なのだと思った。(もちろん現実世界での寛容さは別問題として)
ねずみ女房の姦通は星をみたときに果たされたのであって、その意味では鳩は窓に過ぎない。
姦通小説といえば江國香織の「真昼なのに暗い部屋」を思い出した。そういえばあれも世界の内側と外側、すなわち窓の話であった。真昼なのに暗い部屋では窓が輝いて見える。陰影礼賛。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
↓に記録したMousewifeの翻訳版。
とってもよいです。
英語にしろ日本語にしろ、絵と文をかんで含むようにじっくり楽しみたい本。秋の夜長にいいかも。 -
児童文学に分類されているようですが、子ども向けではないです。
子どもには理解できない。
毎日の暮らしに飽き足りない、何か違うと感じるねずみの女房。
鳥かごのハトに外の世界の話を聞いて想像するだけ。
読みながら、ずっと「いつ出て行くの?出て行って、生きて行けるの?」と思ってました。
結局、ハトが出て行っても、ねずみの女房は一生狭い世界で過ごします。
一歩踏み出す勇気がなかった?外の世界を疑似体験できただけで満足だった?
いろいろ考えさせられます。 -
私の両親が結婚した時、お返しとしてこの絵本を配ったと聞いた覚えがある。
当時まだ20代前半だった母がこの絵本を選ぶとは思えないから、40代に乗ろうかとする当時の父が選んだのだろう。
当時の彼は何を考えてこの絵本を配ったのか。そうやって読もうとすると、不思議な気分になる。
話してくれるひとがいなくなっても、私は自分の目で大きな世界を見ることができる。そしてそんな自分を誇りに思える。
父は年の離れた母を預かって、育て上げる心境に近かったのかなぁ。まぁわからないけど。。。 -
これは大人こそ読むべきお話だと私は思います。
この本を読んで、私もいつかこんなお話を作れる人になりたいと思いました。狭いかごから飛び出した鳩と,狭い世界の中にいるままで,広い世界を理解しあこがれたネズミのおはなし。 -
床や階段が木でできていて・・
フラネレット
ねずみの涙は、アワのたねのように見えます。
わたし、自分で見たんだもの。 -
ウィルキンソンさんの家に住んでいためすねずみは、この家を全世界だと思っていました。窓から見える庭や森は私達にとっての星のように遠いものだと思っていたのです。捕まえられ、鳥かごに入ったはとを見たときも、猫のように恐ろしいものだと思ったのですが、鳥かごの中には豆があったので、また出かけて行き、鳩と話をするようになっためすねずみ。『知らない世界を知る』ということは、理屈ではなく、心動かされるものです。ねずみは、夫に叱られ、幼い子供達の為に忙しい毎日の中で、やっぱり鳩に会いに行くのです。人間も同じ気持ちを持っていますね。
うちの娘が好きなルーマー・ゴッテン。小さいものを描くのが上手いです。ドロシー・ワーズワスが書いた日記の中の本当の話からとったもので、ドロシーの日記の中のねずみは鳩を鳥かごから出してやらなかったけれど、ゴッテンのねずみは「出してやらなくてはならない」と考えてそうしたのだと、あとがきにあります。 -
自分の知らない世界に触れた時、
自分の固定概念が解けた時、
人は感動する、のかも。 -
これを「マディソン郡の橋」だという佐野洋子が可笑しい。
この作者、「人形の家」の作者だったんだ。そこにびっくり。
「人形の家」も、この「ねずみ女房」も、楽しい楽しいって話ではなく、奥のほうに苦みがあります。 -
どれだけ遠くのことまで思いをはせるかで、その人の気品のようなものが変わってくるのかなぁ。