ねずみ女房 (世界傑作童話シリーズ)

  • 福音館書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (52ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834005400

感想・レビュー・書評

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  • ていねいでやさしくて愛おしい

  • 同僚から児童書なんだけどに大人の女性が好きだと思う、と聞いて手に取る。
    以下内容覚書と感想

    めすねずみとして忙しく暮らす中、鳥かごに囚われたハトと出会う。
    何も食べようとしないハト。口にしたいものはコレジャナイ。自由に空を飛び朝のつゆをついばみたい。めすねずみはハトから空を飛ぶことの素晴らしさや自由な外の暮らしを聞く。
    空を飛べたら、外の世界を見られたらと憧れを抱きながらこねずみがうまれ、ハトに会えない日が続くが思い立ってハトの元へ。ハトはめすねずみの訪れををずっと待っていた。もう会えないかもと思ったよぅと何度も言いハグをするハト。羽毛の胸は暖かく。
    ある日めすねずみはハトを逃がす。
    ※こんなに短いお話なのに、暖かくて切なくて胸がぎゅぅぅとなった。小さな生きものたちのお話ではあるがいわずもがな、置き換えて思うところがあるヒトはたくさんいることだろう。おすねずみも登場するがこういう夫さんいるよねという感じ。
    昔の映画「テルマ&ルイーズ」とかちょっと思い出した。
    著者には『ねずみの家』というお話もあり、こちらはどうなっているか気になる。

  • 「ねずみ女房の心にめばえた未知の世界への憧れ
    平凡に暮らしていた女房ネズミとオスネズミ。ある日女房ネズミは、いつものように食べ物を探していると、家主のウィルキンソンさんが用意したかごに捕えられているハトと出会います。ハトからを空を飛んでいたころの外の世界の話を聞いた女房ネズミは、自由に羽ばたきたいハトの心情に強く心を打たれ、渾身の力で、かごの戸を開けてやります……。美しい魂の輝きが伝わってくる珠玉の名編です。

    読んであげるなら ―
    自分で読むなら 小学中学年から」

  • ハトとの出会いを通して、日々の貧しいルーチンの生活の中で、これまで思考したことのない事を思考し、やがて、「星を見る」一瞬の体験を得る、めすねずみ。

    自分を取り巻く小さな世界から、ほんの一瞬だけれど、さらに広い世界、自分の世界を超えた世界に触れた者の、内面の輝き。めすねずみにとって、ハトを自由にしてやった後、窓から見えた光景は、神秘体験と言ってもいいかもしれない。

    人生は、そんな「永遠の瞬間」によって、意味あるものとされ、輝きを放つ。たとえ、他の誰も、最も身近な家族でさえも、気が付かなかったとしても。

    ハトの「物語」を通して、めすねずみの想像の翼が羽ばたいていく描写も良かった。

    色々な解釈ができる、寓話的、詩的な物語。

  • 河合隼雄さんの本ではじめて知り、図書館で借りました。これは大人の女性のための本ですね。主人公のめすねずみに自分を重ねて読んでしまいます…。
    なんて書くと、既婚女性にしか面白くない本みたいに思わせてしまうかもしれませんが、もちろんそんなことはないです。

    外の世界を知らないめすねずみの素直な質問や行動はかわいいですし、ハトとのやりとりはさり気なくても心打たれるものがあります。

    それに何といっても挿絵がとっても素敵。細かな表情の描き分けもされていて、お話を一層魅力的にしてくれています。

    私も狭い世界で生きているので、このねずみにとっても共感してしまいました。広い世界に自由に羽ばたいていくものを見送る立場は少し切ないですが、ねずみは自分なりに納得できる答えを見つけたので良かったです。

    いろいろな気持ちにが沸き起こってくる本で、とても感動しました。母親にも見せてあげたかったな。
    子供向けの本だなんて、なんだか信じられない。

  • 女性の自立・生き方について考えさせてくれる本です。
    短くて、読みやすい本でした。

  • ゴッデンの追記まで含めて物語。「わたしのねずみは、出してやらなければいけない」。そう自分の範囲のものは、断固としてあるべき場所に戻すべきなのです。囚われをほどかなくてはいけません。ほどくものは、これまでの誰かと比べて、とりわけ何か特別な才能が必要なわけではありません。ほんの少し心を震わすことさえできればいいのです。

    何もないような物語ですが、いえいえ、どこでも掘れば豊かな泉が湧いてきます。ジェンダーの問題も外に目を向けさせてくれる教育や対話の重要性も感じ取れます。

  • わたしも新しい世界に胸をときめかせ、自ら行動できるねずみになろう。一生井の中で暮らさなければいけないとしても、海を知りたい。知って、ときどき忘れつつ、恋焦がれながら暮らしたい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ラララライブラリさん
      ねずみのお話は秀作が多数ありますか、ルーマー・ゴッデンの此の作品は、斎藤惇夫「冒険者たち」とは別の意味で波乱万丈の作品...
      ラララライブラリさん
      ねずみのお話は秀作が多数ありますか、ルーマー・ゴッデンの此の作品は、斎藤惇夫「冒険者たち」とは別の意味で波乱万丈の作品。素晴らしいです!
      ・・・矢川澄子の一言は、きっと何か嫌なコトがあったんだろう、、、と思っています。
      2021/05/22
    • ラララライブラリさん
      猫丸さん、コメントありがとうございます!いろんな読み方ができる作品ですよね。長く読み継がれている児童文学作品って本当にあなどれません。
      猫丸さん、コメントありがとうございます!いろんな読み方ができる作品ですよね。長く読み継がれている児童文学作品って本当にあなどれません。
      2021/05/22
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ラララライブラリさん
      仰言る通りにゃん
      ラララライブラリさん
      仰言る通りにゃん
      2021/05/22
  • すっごく地味ですが、どことなく、滋養のあるお話のような気がしました。【2020年9月26日読了】

  • タイトルだけではどんな話なのか想像しにくい。
    しかし児童文学という枠におさめるにはもったいない。
    いろいろな方が推薦されていて、だいたい内容を分かった上で読みました。それでも、非常に味わい深く物語の意味するところが、またメッセージが何だったのか、考えさせられました。

    家庭を持っているねずみの奥さんが、自分の気持ちや意志、行動の選択などを、悩み、考え、自ら切り開いていく物語です。
    いつの時代も変わらない、女性の生き様・悩みなど児童文学には収まらないメッセージ性があるように思います。
    女性が読むも良し、男性が読むも良し、高校生くらいなら教科書に載せてディスカッションしても良いくらいかと思います。
    後半、涙が出ました。何と言ったら良いのか。自分はどの登場人物(動物)に当てはまるのか。ふさわしい場所に居場所があることが幸せなんだろうけど、もっともっと素敵な場所もたくさんある。自分が見たい場所、行きたい場所、でも自分が選ぶ場所、選んだ場所。人生はまさに選択の連続、そして解答のない問い。

    ねずみ女房が、晩年家族に囲まれていたことが救いでした。

    • moyojiさん
      nejidonさん、こちらこそはじめまして!
      コメントくださり、ありがとうございます。つい嬉しくてコメントしました! ゴッデン作品、他も読み...
      nejidonさん、こちらこそはじめまして!
      コメントくださり、ありがとうございます。つい嬉しくてコメントしました! ゴッデン作品、他も読みたくなりました。そしてnejidonさんのレビュー、文章力が高く感心いたしました。
      この本に限らずですが、「児童文学は奥が深い」と改めて感じているところです。
      これからも素晴らしい本に出会いたいので、nejidonさんの本棚も参考にさせてください。
      2020/11/25
    • nejidonさん
      moyojiさん、お返事を下さりありがとうございます!
      始めてコメントするときはいつもドキドキします(*'▽')
      児童文学、いいですよね...
      moyojiさん、お返事を下さりありがとうございます!
      始めてコメントするときはいつもドキドキします(*'▽')
      児童文学、いいですよね。
      心がすっきりしますし、生きる力がわいてきます。
      昨年から「本にまつわる本」を集め出して少し遠ざかっていますが、たまに読みますので
      思い出したときに覗きに来てくださいませ♪
      こちらからもフォローさせていただきます。
      どうぞよろしくお願いします。
      2020/11/25
    • moyojiさん
      nejidonさん、こちらこそよろしくお願いします!
      本棚、チラッと拝見させていただきましたが、複数かぶってる本があったので興味が出ました。...
      nejidonさん、こちらこそよろしくお願いします!
      本棚、チラッと拝見させていただきましたが、複数かぶってる本があったので興味が出ました。お互いマイペースで読みたい本、読んでいきましょう!
      2020/11/25
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著者プロフィール

ルーマー・ゴッデンRumerGodden1907~1998。英国サセックス州生まれ。父の仕事の関係で、生後六カ月で当時英国領だったインドに移り住む。十二歳のときに英国へもどるが、その後もインドとを行き来して暮らした。一九三五年に作家として活動をはじめ、おとな向けや子ども向けに数々の作品を生み出した。作品は長編小説、短編小説、戯曲、詩など多岐にわたる。日本で紹介されている子どもむけの本に、『人形の家』(岩波書店)、『ねずみ女房』(福音館書店)、『バレエダンサー』(偕成社)、『ディダコイ』(評論社、ウィットブレッド賞)、『ねずみの家』『おすのつぼにすんでいたおばあさん』『帰ってきた船乗り人形』『すももの夏』などがある。

「2019年 『ふしぎなようせい人形』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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