- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784838730971
感想・レビュー・書評
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著者の亡父の太平洋戦争史を辿るという話。
父は満鉄に勤務したのち、シベリアの捕虜で強制労働させられたという。
清水さんの本だから期待していたけど、父の話はほとんどなく、シベリア鉄道の珍道中がほとんどで微妙な内容だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
前作を読み、この人はどういう人なのか知りたくて読みました。肩の荷が少しでも下りて(下りてないのかもしれませんが)ルーツを巡る旅の良い味出てました。僕もいつか、と思います。
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筆者は、亡き父が残した本の中に貼りつけられたメモ用紙から、生前は戦争や抑留体験についてほとんど語らなかった父親のシベリア体験の痕跡を見つける。筆者は、メモに残された「だまされた」の一言にまるで追い立てられるように、長年取材を共にしてきた友人と共に、父が強制労働に明け暮れたシベリアの地に出掛けることを決意する――。
戦争や抑留の記憶をほとんど語らなかった「父」の語りの不在から、いわゆる「第2世代」の記憶の実践が駆動する。どちらかといえば韓国・中国・東シベリアと続く鉄道紀行というべき内容だが、その鉄路がまさに戦争の手段であり、戦争の目的でさえあったことが、車窓からの風景に重ねて書きつけられる。軍事力で変更された境界は戦争によって再び引き直されるが、そのはざまで多くの人びとがいともたやすく見捨てられ、生命を奪われていく。「知る」ことで、更地になった土地からも、茫漠と広がる森林や草原からも、氷結したバイカルの湖面からでさえ、人びとの生きた痕跡を浮上させることができる。『南京事件――兵士たちの証言』の著者らしいノンフィクションだと思う。 -
ジャーナリスト清水氏が終戦後にシベリア抑留されていた父親の足跡を追って,イルクーツクまで旅をする.わが国がかつて満州で中国の人のみならず自国民ををどんなに痛めつけたか,をたどる旅であり,その過程で日露戦争から第二次大戦におけるソ連参戦までの日露関係の意味を明らかにしてゆく.
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第二次世界大戦中の日本軍とソ連軍の戦い、両国民のおかれた状況、またシベリア鉄道のことや道中に通る街並みや人柄など様々な情景を語った一冊。
戦争後の日本軍におかれた立場や、日本軍がもたらした災いも含めて全て理解できる一冊ではなかろうか。 -
p47 南満州鉄道株式会社 満鉄
満鉄はただの鉄道会社ではありません。鉄鋼生産、炭鉱開発、教育、医療、観光業。あらゆる分野に手を伸ばし、膨大な収益をあげて企業集団
p73 日ソ中立条約は1945年の四月にソ連から不延長を通告されていたが、それでも条約そのものは後1年間有効だと日本政府は都合よく受け止めていた
p35 三八式歩兵銃 1905 明治38年採用の日露戦争時のシロモノ
p103 ボストーク BosToKとはロシア語で東方という意味
p154 標高203メートルの高台 旅順港が直接見える
28インチ榴弾砲 旅順港のロシア軍艦を攻撃 のべ 2930発 -
亡き父の戦争体験を追って。釜山からイルクーツクへ。朝鮮半島から満州、シベリアを辿る旅。
亡くなった父の残したメモ。多くを語らなかったシベリア抑留を追体験するため筆者は旅に出る。
父は鉄道連隊に所属し満州へ。終戦直前のソ連軍の突然の侵攻。捕虜となりシベリアへ送られていた。
日本から大陸を渡る筆者。ちょうど明治維新後の日本が日本が大陸に進出していく道と重なる。複雑な歴史を筆者は簡潔にまとめて描写している。特に鉄道の占める役割が強調されている。
南京大虐殺であったり政府の姿勢を追求する筆者。日本政府の暴走により名も無き庶民が犠牲となるという構図。もちろん父もその犠牲者。本書で終始変わらぬ視点。満州やソ連の人々から見た残虐な日本の軍人。逆に進行したソ連軍による略奪行為。被害者目線が強い。昔も今も政府が悪く民衆が正しいという一方的な視点が多い。筆者の父も当時の中国人から見れば残酷な日本軍人の一人であったと思うのだがそのような視点はない。
筆者の紀行にはセンセイという同行者がいる。重いテーマの紀行に余計な挿話が雑音となっている。スジの通った内容が阻害されており残念。被害者、加害者の視点は個々の思想もあるので許容範囲だが、こちらは気になる。
日本人として知っておくべき歴史。戦争という大きなテーマを史実もコンパクトに解説しつつも、見事にまとめた紀行でした。