冥談 (幽BOOKS)

著者 :
  • メディアファクトリー
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本棚登録 : 988
感想 : 141
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840132350

感想・レビュー・書評

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  • 闇は怖くて、そりゃあ見えぬことには何をどう防げばいいのやら分からず、そうなんだろう。とっさの際には、聴覚でも臭覚でも味覚でも触覚でもなくて、やはり視覚が頼り。ところが、見えてなお一層怖いこともある。見えるモノの得体か知れない、さらに見えるはずのないモノが見えているならばそうだ。錯覚で片付けられる範疇ならまだしも、そうでなければどう始末してよいのやら道理に合わず、そうなると無性に怖い。著者によれば、習いにあてはまらぬコト多くして恐るるに足らず、頑冥不霊こそ愚かなのだろう。そんなこんなの冥想談義が朧げに8話。

  • 『冬』『凮の橋』が好み。ジワジワと湧き上がる恐怖あり、不思議と懐かしく読後感は悪くない。京極夏彦さんらしい小説でした。

  • 久しぶりの京極小説。
    うーん。やっぱりいいなぁ。この独特な雰囲気。
    しっとりと心の襞に吸い付くような薄気味悪さ。
    溜まらない。

  • ”冥談”京極夏彦著 メディアファクトリー(2010/03発売)

    ・・・怪異譚。短編集。
    ”庭のある家”・・・病の友人を見舞う主人公。友人から留守番を頼まれるが。
    ”冬”・・・幼少時の記憶の違和感。それは旧家にあった”穴”についてであった。
    ”凬の橋”・・・死者の声が聞こえるという魔所。
    ”遠野物語より”・・・遠野についての語りを聞く男。
    ”柿”・・・古木に残る柿。
    ”空地のおんな”・・・ふと見た空地には無表情の女が佇んでいた。
    ”予感”・・・持家について語られる話。
    ”先輩の話”・・・おばあちゃんが見たのは遠く離れた地で戦死する叔父の姿であった。

    ・・・こうして書いてみるとさほど怖くなさそうですが、すべて不気味な話でした。(笑)
    違和感から恐怖に変わる、といった話が多かったですね。
    同著者の長編とはまた違った趣きが楽しめました。

  • 淡い記憶。
    もしかしたら、あの時のあれは…
    みたいな、気づいてはいけないものにあとから気づいて少し寒くなるような、そんなお話が8篇。
    怖い。忌まわしい。寒い。少し哀しい。
    また、この本の装丁がそういうイメージをさらに高める。
    少しくすんだ紙。濃紫の文字色と書体。上の余白がすごく空いていてぱっと見上下逆にしているような感じ。頁数やタイトルの向きがあっちこっちしているところ。すごいなぁ。本ってこんなに自由に作れるんだ、と思った。

  • 帯表
    荒木飛呂彦氏、叫喚
    (漫画家『ジョジョの奇妙な冒険』)
    『京極先生ェェーッ』
    夕暮れの柳の木を見上げて
    なぜか そう叫びたい。
    帯裏
    ふいに日常が崩れてゆくー。
    生と死の狭間の世界を、細やかな筆致と巧みな構成で紡ぎ上げる。
    初出一覧
    庭のある家 『幽』vol.10(二〇〇八年十二月)
    冬 『幽』vol.10(二〇〇八年十二月)
    凮の橋 『幽』vol.11(二〇〇九年七月)
    遠野物語より 『幽』vol.11(二〇〇九年七月)
    柿 『幽』vol.12(二〇〇九年十二月)
    空き地のおんな 書き下ろし
    予感 書き下ろし
    先輩の話 『怪談実話系3 書き下ろし怪談文芸競作集』(二〇一〇年二月)
    *収録にあたり、加筆・訂正がなされています。

  • 幽霊の話というより、あの世ー冥界に触れているような短編集

    仄暗い家屋、古く大きな祖母の生家、橋を渡った先、山、死んでしまった家、忘れていた子供の時の記憶
    幽霊という個ではなくあの世という空間が間近にあるというか、あの世がにじり寄ってじわじわとこの世と混じりあって、その境界が曖昧なところにぽつんと置いていかれた気分である

    仄暗い世界の中で、赤い椿、白い石、樹のてっぺんにある大きな柿の実、真っ青な空と海など、輪郭のはっきりした色がでてくる。それらが彼岸から此岸の人に手招きする物のように思えた

    読了後の薄ら寒さ、物悲しさ、少しの喪失感。
    この京極ワールドも胸の中に悪くない霞を産んでくれた

    読み進めていくと急に怖い展開になっていく話は、まだ慣れない


    あと遠野に行きたい

  • こういう感性が好き。 ただただ才能に感服!

  • こわきもちわるい短編集。スッキリしない終わりかたが好きじゃないと読めないかもしれない
    独特の雰囲気がとても好きです

  • 京極夏彦は雰囲気を味あう本だと思っている。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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