- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840220330
作品紹介・あらすじ
人の命は、二つの要素-"魂"と、"魄"から成り立つ。そして人が死んだ時、魂魄は"魂"と"魄"に分離し、"魂"は天へ、"魄"は地へ還る、と言う。今、一人の悪名高い貴族が倒れた。知らせを聞いて駆けつけた安倍晴明の息子-吉平は、その貴族の魂魄のうち"魄"が失われていることに気づく。いったい何がその貴族の身に生じたのか?"魄"の筋を手繰っていくうちに現れたのは父である晴明とそして陰陽寮にまつわる十一年前の因縁だった…。第七回電撃ゲーム小説大賞金賞受賞シリーズの第2作。
感想・レビュー・書評
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本シリーズの主役は保胤である。
悪名高い貴族が倒れ、それに関わっているのが晴明とも因縁のある男だった。
忠憲の夢の為、晴明は男を始末するしかないと思っている。
そこに優し過ぎる保胤が出てくるとなると、なんとなく想像はつく。
しかし、その持って行きかたがうまい。
陰陽寮が一目置いている伯家。伯家を代々守っている佐伯家。
更には晴明の宿敵であるはずの蘆屋道満が、何故かいい人で
さりげなく関わってたりして大いに盛り上がっていくのですよ。
色んな怒りを前面に押し出して感情を揺さぶってきます。
位置的には獏さんの陰陽師の後日談的存在と言ってもいいでしょう。
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平安時代の陰陽師の有力家系・賀茂氏に連なる慶滋保胤を主人公とした伝奇ファンタジー第二巻。昏睡状態に陥った貴族を診断に訪れた安倍晴明の息子、吉平だったが、父を待つ間に調査を進めようとして逆に事件に巻き込まれてしまう。そこには父晴明も深くかかわる過去の因縁が待ち構えているのであった。
ということで、ほとんどは晴明親子をメインに話が進んでいく。そしてお膳立てが済んだ後に、主人公保胤がおいしいところを全部持って行った感じ(笑)それも最終決戦というよりはあっさり片付いてプロローグ感すらあるのだけれど、まあ、敵方を悪く貶めすぎないためにはこれくらいでオチをつけるのがいいのかもしれない。綺麗事が過ぎると言えなくもないが、本作の保胤のキャラならこれまたこれくらいでいいのかなと思う。
保胤と時継、吉平と貴年のカップル描写もちょいちょい。吉平はちょっとタラシが過ぎるなあ(笑) -
ある貴族が何者かの呪を受けて、魄を切り離されてしまうという事件が起きます。安倍晴明の息子である安倍吉平と佐伯貴年は、魄の筋をたどって貴族の魄を奪った外法師・氏家千早(うじいえ・ちはや)のもとへと向かいますが、吉平もまた、千早の人形・沙汰丸によって魄を奪われてしまいます。
千早はかつて陰陽寮の役人であり、晴明の弟子だったのですが、民を苦しめるだけの貴族の依頼で働くことに耐えられず、外法師となりました。そして晴明は、貴族もまた人でしかなく、その命の貴さをないがしろにすることはできないということを千早に教えるため、人の命を奪うと自身の寿命を縮めることになる呪を千早に施したのでした。
そして今、千早は自身の命を犠牲にしてまでも、悪行を重ねて民を苦しめる貴族の命を奪おうとします。晴明はもはや千早を野放しにしておくことはできないと、生死をかけて彼と戦うことを決意しますが、保胤は千早の良心を信じ、あくまで彼に語りかけることで翻意を促そうとします。
和風ファンタジーの雰囲気と、善悪を超えた真実を見据えようとする保胤の決意が、見事に調和している物語でした。保胤×時継、吉平×貴年のかけあいも可愛らしくて楽しめます。 -
本当にどうしようもない、誰も悪くない話をどうすっきりとまとめあげれば良いものか──。その結末に答えはなく、ぽつりと落とされた幕引きがそれでも、すごく美しく渡瀬さんらしい。また「陰陽師」として動く賀茂保憲の本心を知ると、ますますおもしろくこの世界の行く末を見てみたいと思ってしまう。その半分で吉平・貴年かわいいを拗らせても良いと思います。
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陰陽シリーズ二作目。安倍清明のキャラが、珍しいくらいおっさん風情で好きです。息子が一生懸命すぎて可愛い。
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*2010.4 *2012.11
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2011年3月 読了
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罪の償い方を考えた本。
登場人物がみんな癒し系